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ポーランドオペレーション6

閉店状態となっている辺鄙なヤノス書店という建物の近くの電柱で、マクナルディは慎重にあたりをうかがっていた。そして電柱の下に小石を3つ、置き、そのあと何事もなかったかのように去り、


10メートル離れたバス停のベンチに腰かけた。時刻の確認のために腕時計を見た直後、女がひとり書店から出ていき、電柱に接近した。


一瞬、地面を見たあと、煙草を取り出し、一服して、それを捨てていった。しかし、捨て方が妙に几帳面で地面にそっと置いたのだ。


女は店に戻ると明かりをつけた。その様子をマクナルディは無表情に観察したあと、まっすぐ書店に向かい、店内に入り込んだ。女は軽く微笑んだあと、英国人を迎えた。


「ブライアン!、、」。そう高めのトーンで口走った後、さっと明かりを消し、書店の奥のカウンターに彼を素早く案内すると、ペンライトの電源を入れた。


「悪いね、こんな訪問をして、、、」

マクナルディはそう詫び、女の瞳を覗いた。淡いエメラルド色をしたその瞳は宝石以上に輝き、

容姿でいえば、ファッション誌の表紙に載っても、一般人なら、うん、というような秀麗さが全体的にあった。


だが、彼女は書店員でも、モデルでもなかった。

「状況は分かってる。ここの通信設備でポーランド当局のやり取りを傍受していたから、、、。ケスラー達のことは残念だけど、、」。


「俺は問題ないんだ アン だが、打つ手として君にたよらざるを得なかった。


アンと呼ばれた女、CIAエージェンシー工作要員の悲しげにうなずいた。彼女の父は80年代にアメリカに亡命した。現地で結婚し、生まれたのがこのアンであり、


彼女は大学卒業後CIAの勧誘を受け、入局した。幼いころから父にポーランド語を習い、ほぼポーランド人として、通るまでに、語学力はついていたので、


そこにCIAは魅力を感じた。やがて、アンは在ポーランド米大使館に勤務するアタッシェという身分を利用し、現地での工作に関与することとなった。


ポーランドは地政学上、ロシア当局との外交がデリケートな部分があり、不安定な要素がはらむ。


それで、現在の米大使館は対ロシア戦略の要衝であるから、日夜、CIAは情報の収集と分析に精を出していた。


アン ヤノスのこの書店はCIAの隠れセーフハウスであり、また、時に工作の進行に手を貸すこともある。


「あなたがさっきの会合を求めるサインを出したとき、まさかと思ったわ。確かに(助けを求められたら、応じる)、と請け合った事はあるわ、でも、それは任務時じゃない。俗世で友人としての場合よ、、、」。


マクナルディはためいき混じりにそばの椅子に腰かけた。「分かってる。本来ならルール違反だし、勝手すぎる。でも聞いてくれよ!、作戦中にアクシデントがあったんだ。」、


マクナルディは検問所での事件の詳細をアンに語った。アンも少しずつ疑問を示し始めた。「おかしいわね、確かに、英情報部ファーム、にモグラがいるのなら、作戦はそうもなるわ、でも、肝心のモグラの正体が分からないわ。」、


そう、アンが言って、マクナルディは端末の電源を入れ、事情を10分ほどかけて説明した。

「ファームだけでなく、そっちの局内にいる、モグラのリストもある。俺の国だけの問題じゃないんだ。」アンは説明を受けて、眼差しを一層、厳しくした。そしてカウンターから出て、イギリス人を誘って数メートル程、

通路を進むと、鍵を出し、あるドアを開けた。


その先は下に階段が続き、地下室となっていた。アンはマクナルディを連れ、階段を下り、その地下の帝国を披露した。


部屋の広さは、20人以上は入室出来るほどで、そこにあらゆる、各種通信装置、コンピュータが配置され、中央にブリーフィング用テーブルとホワイトボードがあった。


さらにアンは鍵を出し、ロッカーを3つほど、全開にした。思わずマクナルディはうめいた。


武器庫には、9ミリのSIG拳銃、カービンライフル、狙撃用ライフルなどが銃架に各自数点、あった。


他のロッカーには、作戦用に使う、小道具があり、カツラ、衣服、偽造ID、携帯無線機が収められていた。


「フリーマントルに見せたい光景だね、だが、エージェント ヤノス君、これから戦争を始める訳じゃない、君の考えていることを話してもらいたいね。」


そう言われて、アメリカ人の女性工作員は軽く、笑って、英国から来た、男に向き直った。

「計画を立てるわ、

あなたと私でね、、」。


そう彼女は告げると、SOFCの男と20分近く、議論を続けた。

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