理不尽を召喚した王
かーんえーだよー。
ども、翰哉です。
2つの小説を同時進行させるって凄く難しいですね。
創作意欲が湧く方に書きたくなりますよね。
(これで戦争に勝てる!!)
人族の王、アドルと召喚魔法を使った魔術師達はそう確信した。
古代から伝わりし究極の召喚魔法。
それは神をも召喚できると言われた魔法だった。
現在人族は全員が魔力をもつ魔人族と高い身体能力と感覚をもった獣人族と戦争の1歩手前まで来ていた。
しかし勝てる見込みは薄くだからこの召喚魔法を使い神を呼んだ。
そして召喚されたのはガッシリとした体をもち額には力強い角をもつ種族そう暴虐の化身とも言われた鬼神族だった。
しかもそれが3匹もだ。
もちろん逆らえないように服従の首輪が召喚された瞬間に着くように設定されていてしっかりと鬼神3人の首についている。
これ程の戦力、伝承通りなら大国を1人で潰せるくらいの戦力を得られたのだ。
人族の神である人神は確かにこの国にいる。
しかし人神は自分勝手な性格をしておりとても操作できる相手では無かった。
無論戦争にも参加する気は無いようで今もどこかで魔物を倒していると聞いた。
だがもし戦争に負けてしまったら他の種族の奴隷以下に成り下がる可能性も充分ある。
だからこそ戦争で勝たなければ行けない。
しかし人族にも強みが無いわけではない。
人族には適正職業があるのだ。
だが、今の代では勇者も賢者も剣聖もその他の上位職をもった人族は誕生していない。
発見されたのは拳聖と聖女だけだ。
けれど聖女の性格は酷い。
姿は皆が振り向くほど美しいもののその言葉遣い横暴な態度は聖女より悪女と言われた方がしっくり来るくらいだ。
人神にも適正職業をもっているが秘匿しておりこっちは把握出来ていない。
要するにまともな戦力になるのは拳聖のみだ。
他は地力の差で兵士は負けてしまう。
数では劣ってこそいないが勝ってもいない。
そういった事情もあり失敗した時のリスクもあるが召喚魔法を使ったのだ。
そうして結果は大成功。
見事最高戦力を手に入れれることになった。
「ここはどこだ?」
鬼神族の中の軽装備をした男が威圧を含めた声を発した瞬間周りの温度が凍った。
この時、周りにいる全員が察した。
これが本当の強者だと言うことを。
自分たちでは束になっても叶わないと言うことを。
しかしアドルはここで諦めるわけにはいかなかった。
ここで鬼神を手放せば戦争に負けるのは確実に戦争に負ける。
しかもこの3人が他の種族の仲間になったらこちらは少数でも生き残れない可能性もある。
何より服従の首輪と言う保険もあった。
「私は人族のガルベレラン国の王。アドル・ガルベレランじゃ。お主ら名前は何て言うのだ?」
「夜音多津味です。名前の方が多津味です。」
「藍咲涼ッス。名前が涼ッス。」
「歳月智生です。名前が智生です。」
アドルの命令にそう鬼神族は自己紹介して言った。
王とその周りはホッと息を撫で下ろした。
ちゃんと服従の首輪は効いていると思ったのだ。
アドルは油断しなかった。
これがただ単に自己紹介を親切心でしただけかもしれない。
今度は確認のために普段しないようなことを命令する。
「膝まつげ。」
「えっ?つけまつ毛?」
「そんなこと言ってねぇだろうがよ、ふざけるな夜音。」
ローブをきた鬼神がふざけたことを言ってそれを咎めるように軽装備をした鬼神が言うが周りは騒然となる。
それもそのはずだろう。
鬼神達は膝をついていない。
それは頼みの綱の服従の首輪が効果を成してないと言う意味だ。
「と言うか2人とも首になんかついてるッスよ。」
「ん。本当だ。」
「なんか趣味悪いな。……あっすいません。壊しちゃいました。」
先ほどトモイと名乗った鬼神が首輪に手をかけると軽々と壊してしまった。
「バ、バカな。その服従の首輪は鋼鉄で出来ているはずなのにッ!!そんな軽々しく壊れるはずがないッ!!」
召喚魔法を使った魔術師の1人が声を荒らげてそう言った。
アドルは焦った。
どうやら鬼神達は服従の首輪がなにか分かっていなかったようだがそれを知ってしまった。
そう言ってしまった魔術師を恨み殺したいが今はそんな状況ではない。
「服従の首輪?俺達に何をしようとしたんだ?まさか、名前通り俺達を従えようとしたのか?」
トモイと言った鬼神がそう言った。
さっきまでは敬語を使っていたのにも関わらず今では威圧のこもった声を発している。
「皆の者ッ!!撃てッ!!」
アドルの結論は速かった。
即刻この鬼神達は滅せなければ行けない。
そう感じたのだ。
「消えぬ炎よ。敵を焼き尽くせ。地獄の炎。」
「荒れ狂う風よ。見えぬ刃となれ。風の刃。」
「聖なる光よ。悪しきものを正せ。光の息。」
瞬時に鬼神族を中心に周りの魔術師達は魔法を使う。
何属性もの魔法が鬼神達を襲い砂埃がたつ。
「やったか?」
そう誰かが呟き砂埃がはれるとそこには黒い半球があった。
そして半球が縮んでいき一つの黒い立方体になった。
その立方体は無傷のトモイの手の平の上におさまったのだった。
「やったか?は倒せてないフラグッスよ。」
他の2人の鬼神も無傷だった。
どうやらあの魔道具が魔法を防いだらしい。
「涼もふざけてんじゃねぇよ。で、王様だっけ?俺達に攻撃したんだからそれなりの覚悟はあるんだろうな。」
黒い立方体を手の平に浮かせアドルに聞いてきた。
その声と目には先ほどまでと比べ物にならないくらい威圧が、むしろ殺気と言ってもいいほどがこもっていた。
その声に怯え魔術師の何人かが漏らしてしまっている。
「よっ!女泣かせの智生。」
「その目つきは鬼も怯える!」
「涼に夜音。テメェら後で覚えとれよ。」
リョウがトモイを茶化しそれに便乗してタツミも茶化しに入るが周りは冷えきったままだ。
むしろ明るくなる方がおかしい。
「ヒ、ヒィィ!!」
魔術師の1人がドアから逃げ出そうとするが、
「逃がさないッスよ。石壁。」
リョウの魔法で出入口が防がれた。
詠昌を省略しているにも関わらず魔法の威力はここにいる魔術師の誰よりも強かった。
この瞬間、この場にいる全員が自分は死ぬのだと悟った。
自分たちは鬼神の逆鱗に触れたのだと。
しかしアドルは諦めなかった。
「どうか、私達を見逃してはくれぬか?謝罪ならする。イタズラにお主らを呼んでしまい済まなかった。謝礼もする。どうか私達を見逃してくれ。」
今ここで自分等が死ねば戦争に勝てる少ない可能性がゼロになる。
「ちょっと先走り過ぎだろ。なんで俺達がお前らを殺さないといけないんだよ。話し合いしようぜ。」
「いや、智生の目つきのせいッスよ。だから女泣かせの智生って呼ばれるんスよ」
呆れたようにトモイは声に出す。
また涼が茶化して来るが周りの空気は未だ冷たいままだった。
「今度は普通に話そう。」
トモイの声にアドルと魔術師達は全員が息を飲んだ。
夜音「漏らしちゃってる人いんじゃん。」
智生「流石に大の大人がすると目に毒だな。」
涼「そうスッね。」