理不尽は突然に現れた
かーんえーだよー。
ども、翰哉です。
本作品は思いつきに思いつきを塗り固めたような作品なので矛盾などが出来てしまうかも知れませんのでそこら辺は生暖かい目で見守ってください。
「やぁ、こんちには。」
変化の無い日常なんて無い。
どんだけ平凡でも昨日と今日は別物でそして今日も明日とは別物だ。
そうして変わったのにも気付かないものが日常であると俺は思う。
そんな日常の中、突拍子も無く気付かなければいけないような事があればそれが非日常なのだろう。
それでもどんな非日常であっても慣れてしまえばもうそれは日常になってしまうのだろう。
簡単な例はどんな有名人でも毎日あったら最初に会った時の感激なんて得れない。
結局なにが日常でどれが非日常なのかも個人個人で変わるのだろう。
でもそんな千差万別ある個人のどの視点から見ても今の状況は非日常なのだろう。
俺達3人、俺こと歳月智生と下ネタ大好きな天才の夜音多津味となに考えてんのかわからない藍咲涼は今、非日常の前に立たされている。
「元気無いのかい?君達。どんな時でも返事は大切だよ。これは人生の先輩からのアドバイスだ。受け取ってくれよ。」
妙にわざとらしく俺達に言ってくる青年。
高校生の俺達とそう大差ないくらいの歳にみえる。
どうしてこうなったかも分からない。
ただ3人で学校からの帰り道に雑談しながら家に向かう途中、そして気付いたらここにいた。
まずここで可能性があるのが誘拐だ。
何せ俺達がいた日本ではそんな瞬間移動なんてハイテクノロジーは無かった。
しかし自分で可能性を言っておいて何だが正直言って誘拐は無い。
捕まった記憶すらないし、ましてや起きた記憶も無い。
さっき言った“気付いたら”は比喩でも何でもなく、ただ本当に世界が塗り替えられたように一瞬で白いこの部屋にいた。
「おい、ここはどこなんだよ。」
一番最初に声を出したのは多津味であった。
多津味は不安かいつもより声を荒らげて目の前にいる青年に問いた。
「ハハハ。元気出てきたのかい。まぁ、とりあえず質問には答えよう。ここは世界と世界の狭間にある空間だ。君達、聞いたことないのかい?異世界転移って。」
は?
どういう事だ。
少しわざとらしく言ってくる青年にイラついていたことすらも頭から吹き飛ぶくらいの理解不能の事が衝撃となって頭に襲って来る。
異世界転移?
それは知っている。
神様の手違いで死んでしまったりとかして異世界に行く“創作物”のはなしだろう。
ダメだ。
理解が追いつかない。
いや、正確には理解したくない。
頭の中がクエスチョンマークで埋め尽くされていく。
パンッ。
「君達。とりあえず落ち着きな。もし、これからの話を聞こうとしないなら異世界に何も知らないままで行くことになっちゃうよ。」
この青年が手を叩いたのか乾いた音が部屋に鳴り響いた。
一瞬ビックリしたお陰か少し思考がクリアになった。
「うん。 じゃあ君達には軽く自己紹介と説明をするよ。まず僕の名前はヴォーグレイだ。割と神格の高い神様だよ。」
思考がクリアになってもそんな急には非日常と言う理不尽は理解できない。
それこそ創作物のような簡単に受け入れれる様なご都合主義の脳味噌は持ってない。
「大丈夫かい?早くしないと説明始めちゃうよ。」
夜音は理解はしきれてなくとも思考がまとまる程度には落ち着いてきているようだ。
涼は……アイツは元々考えてなさそうだ。
でも俺も少しは他事を考えれるくらいにはおちついてこれたようだ。
とりあえず今の状況を確認しよう。
・ここは世界と世界の狭間にある空間。
・目の前にいる青年は神│(しかも神格は高いらしい。)で名前はヴォーグレイ。
・今ここにいるのは青年と俺達3人のみ。
ダメだ。
情報が少なすぎる。
やっぱりここは一旦コイツの話を聞こう。
「大分落ち着いてきたね。よしよし、じゃあ説明に入ろう。まず君達にはやって欲しいことは世界の平和を乱すことだよ。」
「「は?」」
どういうことだ?
平和とはむしろつくるものであって決して乱してはいけないものじゃないのか?
「まぁ、簡単に言うとねぇ。僕は今の世界が退屈なんだよ。前にも後ろにも進もうとしない。停滞したあの世界がさ。正直僕は神の中でも異端でねぇ。大体の神は平穏を望み、進んだ技術を嫌い、バランスをとれていることを好んでいるんだけど、僕は調停者とは違う。僕は先進者なんだよ。」
相変わらずのわざとらしい口調で言ってくるが意味がわからない。
そんなに変化を望むなら俺達よりも政治家や科学者とかを連れていけばいいじゃないか。
「それなら政治家とかを連れてけばいいじゃねぇかよ。」
「おいおい、勘違いしちゃあ困る。僕が望んでいるのは世界への影響力だ。確かに政治家とかなら一つや二つの国くらいなら多少の影響力があってもおかしくないけれど所詮数ある国の一つや二つだけだ。」
「じゃあ科学者とかなら地球の方が優れてるなら、それを伝えれば技術は進歩するじゃないか。」
「それも違う。それなら技術面なら大きく進歩するかもしれないけど、それはその科学者の1人の功績であってその世界の功績じゃないんだ。しかも科学者が死んだら、また世界は停滞するんだよ。」
「じゃあ、尚更俺達になにが出来るんだよ。」
だって俺達は少し性格が変わっていてても至って普通の一般的な高校生なんだぞ。
政治家のように人を動かす力はないし、科学者のような専門的な知識は持ち合わせてない。
そして芸術家のように芸術性も無ければ発明家のように常識を外れたヒラメキなどでてやこない。
「君達には要するに“絶対悪”になって貰うんだよ。知ってるかい?人民を最短でまとめるにはどれが効果的か。それはね、恐怖なんだよ。そして恐怖を与えるには一番、力の差が恐怖になるんだ。」
一応理解はした。
けれど俺達にはそんな相手を屈服させるような力はない。
出来ると言ったらコミュニケーションによって相手を笑かす程度だ。
「俺達にはそんな力ないと思うけど。」
夜音が俺と同じ意見を言った。
「君達、これから異世界に行くんだよ。それなのにチートも無かったなら悲しいじゃすまないよ。君達には世界の全人類に絶対悪にされる種族と納得される力を僕が上げるんだよ。」
要するに種族を変えるって事なのか。
そんな事が可能か怪しいし、それともアレか虎やライオンにでもなってみんなに怯えられろって言いたいのか?
「説明不足だったね。君達がこれから行く世界は地球と違い科学じゃなくて魔法が発達して多種多様な生物のいる世界だよ。そして君達がなる種族は鬼神族。はるか昔にたった1人の鬼神の逆鱗に触れ大国三つの国民を皆殺しにして滅ぼしたこともある種族だよ。それも大国を滅ぼした鬼神はこれから君達に上げるチートを持っていなかったんだよ。」
「ついでに拒否権はあるか?」
「拒否したらこのまま世界と世界の狭間にほっぽり出すよ。」
何?
理不尽に出会ったら俺自身まで理不尽になれと。
ハハハ。
ふざけんなよ、コンチキショーメが。
智「そういや涼喋ってなくない?」
夜「そう言えばそうだな。寝てんじゃない?」
涼「……。」