表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/78

夏季休暇

 夏休みになった。屋根裏組は仕事もあるから完全に休みにはならないのだけど、完全な休暇を1週間ほど、お互いにずらしてとれるようになっている。


 私は今年も夏休みの前半に休暇を申請した。弟のコウも私に合わせて申請したって言ってた。でも、さすがに人手が少なくなる夏休み中に、すっかり同じ日程では休暇が取れなくて。私の休暇の後半にコウの休暇が始まる感じになった。


 今回はコウと私の休みが重なるところでイノマタ家別邸にお邪魔することにして、残りは叔父さんのところでお手伝いすることになった。

 もちろん、イノマタ家別邸にお邪魔するときは叔父さんも一緒だ。



 ☆ ☆ ☆



 叔父さんの師匠であるミウラさん夫婦は相変わらずで、旦那さんは夕飯の席でお酒が入ると私に「息子の嫁にならないか?」ってお決まりの文句が出てくる。で、叔父さんが「やめでけらいん」と止めに入るパターンが繰り返されるのだった。


 奥さんは朗らかで、お日さまみたいで、母さんに会いたいなーって『思わさる』。


 なんだかんだと薬草師のお店のお手伝いもして、楽しく過ごせた。あとから弟のコウもお世話になるので、よろしくお願いしますと挨拶しておいた。



 ☆ ☆ ☆



 イノマタ家別邸に行くと、コウが門口(かどぐち)で待っていた。

 緊張した面持ちだったけど、初対面の挨拶を済ませたら少し表情が緩んだようだった。

 ナツキは恐る恐る、でも私と叔父さんが大丈夫って言って、コウに青い目を見せてくれた。コウは青い目のことはスルーして、普通に「お土産です」と言って学校で作った小芋(小さすぎて畑に残ったやつを屋根裏組で食べて、さらに余ったやつ)を渡していた。後で一緒に揚げ芋をつくって食べようと思う。


 カツヤさんは暑い季節になって、気候が落ち着いたせいか、だいぶ体調が戻ったようで安心した。

 コウを見て、「ハルに似てるなぁ」と嬉しそうな顔をする。


「あぁ、いつか、ハルに会いに行がねばなぁ」

「うん。祖母ちゃんも会えだら嬉しいべよ~」


 そんな話をした。

 本当に、いつか、祖母ちゃんとカツヤさんを会わせてあげたい。そうだ、カツヤさんに『ぴーちゃん』のお墓参りをしてもらったら、『ぴーちゃん』も喜ぶんじゃないかなぁ……。



 ☆ ☆ ☆



 夕飯前、カトウさんにお願いして、厨房にてコウとナツキと私で揚げ芋を作らせてもらった。窓を開け放った厨房は思ったより涼しくて、揚げ物も苦にならなかった。

 油がはねただのなんだのって大騒ぎしながら揚げ物をする。で、揚げたてに塩を振って食べた。うん! やっぱり旨い!

 叔父さんが「良い匂いがする~」と言って厨房にあらわれたので、揚げたてを皿に盛って居間の方へ運ぶと、カツヤさんと2人で酒の肴にしていた。


 楽しい時間はあっという間で、私のお休みも最終日になった。

 キュウリや西瓜を井戸水で冷やして食べたり、『トミギ』を茹でてもらったり、夏を満喫した。名残惜しいけど、また来ると約束してイノマタ家別邸をあとにした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ