しそ巻き
今日は久しぶりにイノマタ家別邸へ来ていた。お嬢も一緒だ。
そして、カトウさんからお料理を習うのも久しぶり。最近は覚えた料理ばっかり作ってたから。
「今日はしそ巻きを作りましょうね」
しそ巻き、好きなんだよね~。
甘辛の味噌にクルミやゴマ・小麦粉を混ぜて小鍋でフツフツさせ、しその葉で巻いて楊枝に2~3コ刺して油で揚げて出来上がり。
これがご飯がすすむのよ―! ……食べ過ぎ注意だな。
本当は弟のコウも連れてこようかと思ったんだけど、お嬢には私たちが親戚だって内緒にしてるから、連れてこれなかったんだよね。コウにもまだイノマタ家のことを言ってないし。
でも黙ってるわけにもいかないし、そのうち教えることになるんだろうなぁ……。
さて、しそ巻きは味噌の準備が終わって、しその葉で巻くだけになっている。しその葉は温室の片隅に植えているらしく、年中採れるようになっていて、ナツキが採ってきてくれた。
お嬢とナツキと私で、カトウさんのお手本を見てから、同じように巻いていく。
「味噌がはみ出さないように気いつけでねぇ」
「……はーい」
集中しているせいか、生返事になってしまった。
はみ出さないようにっていうのがなかなか難しい。
しその葉に味噌をのせて、端から巻いていく。味噌が多すぎるとダメだけど、少なすぎるのも葉っぱばかりで美味しくなさそうだし。
四苦八苦しながらも3人でなんとか巻き終えた。
「はー、大変だった」
次は楊枝に刺して、油で揚げる。
揚げ物はお嬢がギャーギャー騒いで大騒ぎだった。多少の油ハネは覚悟しときなさいよー!
出来上がったしそ巻きは、昼ご飯にいただいた。炊きたてご飯としそ巻きだけで、どんどんすすんでしまう。
油で揚げたしその葉がパリパリで、中の甘辛の味噌にクルミやゴマのアクセント。うーん! 本当に美味しい。
「ご飯が食べ『らさる』よね~」
『らさる』と言うのは、『られる』と近いけど、微妙にニュアンスが違う気もする。でも、こういう表現って、けっこう使『わさる』。
鉛筆が壁に掠っちゃってサーッと線がついちゃった時などは「書『かさって』しまった!」なんて言ったりするし。
前にカイに説明したけど、上手く言えなかった。なんと言ったら良かったんだろう。雰囲気で分かって欲しいと思ってしまったっけなぁ。
カツヤさんも美味しそうにしそ巻きを食べてくれた。
また3人で楽しく作れたらいいなぁ。
そんなことを思った。