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二度めの夏休み

ちょっとした喧嘩はあったものの、その後お嬢と仲直りをして、定期試験ではなんとかまた学年5位をキープできた。

そして、とうとう夏休みである。

昨年と同じく、今年も早めにお休みをもらった。でも今年はイノマタ家へも顔を出す。前半は叔父のところで過ごし、後半はイノマタ家に滞在した。


ミウラさんご夫妻は今年も歓迎してくれて、また店番をしたり、薬草仕分けのお手伝いをしたり、お仕事の真似事をさせてくれた。その上ご馳走を作ってくれて、4人での晩ご飯は楽しく賑やかだった。


名残惜しくイノマタ家へ行けば、ナツキがちょっと『むつけて』いた。

しばらく屋根裏組の仕事が忙しかったから、月1回イノマタ家へ来れるかどうかだったし、仕方ないか……。

それでも温室や庭の植物の手入れをしたり、料理を作って食べたり、一緒に過ごすうちにご機嫌は直ったようでホッとした。

ナツキと過ごすのは、私にとっても嬉しいことだ。なにせ目の色のことを考えなくていい。ありのままの自分を晒しても大丈夫って安心感は、本当に楽だし癒される。ナツキも同じように感じているのかもしれない。

ちなみに、お嬢はお盆を本宅で過ごさないといけないとかで、お盆にお休みをとっていた。


楽しい時間はあっという間に過ぎ、お休み最終日はしんみりしてしまった。

ナツキは意地になっているような感じで、寂しいのを隠すように不機嫌そうな顔をしている。


「次はいつ来る?」


ハッキリと次の約束を決められないのが心苦しい。次の約束さえあれば、ナツキもそれを心待ちにして過ごせるのに、ハッキリした約束がないのは不安だろうと思う。


「暇があったら来るよ」


夏休み中は人手が減るから、土日が確実に休みってこともない。


「待ってるからな」

「うん」

「また来てけらいね」


カツヤさんも言い添える。それに「はい」と答えて別れた。



 ☆ ☆ ☆



寮は相変わらずの慌ただしさ。

今年は『とみぎ』の作付が多めだったとかで収穫にかりだされたり、採れ過ぎたキュウリを漬け物にしたり、恒例の餅つきや餃子の日なんてのもあった。

夏休みの最終日、ちょっとだけ午後に時間が空いて、イノマタ家へ顔を出しに行く。

私の訪問が思いがけなかったようで、ナツキが明るい顔になる。


「お盆にシュウさんが来てったぞ」


叔父さんもナツキのこと、気にかけてたんだなぁ……。

ナツキも嬉しそうに話している。良かった。今日みたいに、またちょっとした空き時間ができて、来られるようだったら来よう。

カツヤさんとナツキと、カトウさんが作ったササギの甘煮を食べながら、穏やかな時間が過ぎた夏休み最終日だった。



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