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変化

3月が近づき、ミサキさんがある宣言をした。


「私、もっとリウと一緒にいたいから、屋根裏組に入ります!」


これには生徒だけでなく先生方も驚いて、学校中が大騒ぎだ。ホント、お嬢様がわざわざ屋根裏組に入らなくても……と誰だって思うだろう。

でも、カツヤさんは屋根裏組に興味津々で全面的に賛成しているらしく、ミサキさんも反対する両親を説き伏せたらしい。学校の創設者一族が賛成ならば先生方も異論はないらしく、春休みになったらミサキさんも屋根裏組として仕事をすることになった。

部屋は私と一緒の部屋。今まで屋根裏の2人部屋を私一人で使っていたので、ちょうど良いからとミサキさんが一緒に使うことになったのだ。

……ヤバい。目の色のこと、本気でバレないようにしないと。ほぼ24時間一緒なんて、かなりマズいじゃないか。今までは一人で部屋を使ってたから、安心してた。部屋ではかなり油断できたのに!


私の灰色の目は、ナツキの青い目よりは目立たない。屋根裏部屋は薄暗いし、少し暗い灰色だからバレづらいとは思うけど、それでも絶対大丈夫とは言えない。

ミサキさんはナツキの双子の片割れだから、私の目の色のことを知っても変なことにはならないとは思う。でも、できるなら私の秘密を知ってる人は少ない方がいい。どこから漏れるか分からないからだ。ナツキやカツヤさんみたいに別に暮らしているならまだしも、学校でずっと一緒となるとどこかで油断が出るかもしれないし。

私の祖母ちゃんも祖父の弟である大叔父も、あの谷に逃げ込んできた人たちだ。つまり、あの谷以外の場所では黒くない目では生きづらい。ナツキだって、カツヤさんの屋敷から出ないで暮らしている。私はこの世の中の人みんなを信用しきれない。

もちろん、カツヤさんやカトウさんみたいに、ナツキが青い目でも普通に接してくれて、信じられる人がいるってことも知っているけれど。全員がそうじゃないってことを知ってるから、警戒するに越したことはないのだ。


あぁ、頭が痛い。

どうしてミサキさんは私を気に入ったのだろう……。

アレか。カツヤさんの描いた祖母ちゃんの似顔絵を、未だにカツヤさんの初恋の人だと勘違いしてるからか。

そう、あの絵が私の祖母ちゃんだってことはミサキさんには教えていない。

それを教えるということは、祖母が北のノコギリ谷にいる理由というか、祖母の目の色が空色だってことを説明しなくてはならず、私の目の色のことも含めて、いろいろ面倒なことになりそうな予感がするからだ。

目の色がバレると困るから一人部屋にしてくださいなんて言えるわけもないし、がんばってバレないようにするしかないだろう。


なんとか1年バレずに済んだと思ったのに、2年生からはもっと厳しい状況になりそうだ。

何か、嫌な予感しかしない……。



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