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ノマです(説明のようなもの)

俺は野間理(のまおさむ)

今年、植物農業学校に入学した。


植物農業学校というのは、その名の通り植物と農業について学ぶ学校だ。

14歳で基礎学校を終えるのだが、それを卒業すれば受験の資格がある。

3年間の基礎課程があって、大概はそこで卒業。もっと学びたい者が専門課程へと進む。

俺は家業を継ぐことにしているから、農業について学びたい。

田んぼもあるが、家畜のことをよく学びたいと思って受験した。

1学年の定員は60名。

毎年100名ほどが受験するから、けっこう難関だ。

合格できた時はすっげぇ嬉しかった。

浪人する人もいるくらいだから、ちょっと覚悟もしていただけに嬉しさもひとしおだった。

家族ももの凄く喜んでくれた。

ただ俺の下には弟妹が3人いるから、親に負担はかけたくないと思って屋根裏組を希望した。


全寮制の学校で、寮費はけっこう地味~にクる。

屋根裏部屋で寝起きして、学校や寮の仕事を手伝えば寮費が免除になるのは嬉しい。

もちろん成績もある程度維持しないといけないが、それほど苦ではない。



──────────



屋根裏組の入寮は早い。

仕事があるから、就職扱いな部分もある。

3月の終わりには一足早い屋根裏組だけの入寮式があった。


家がほど近かった俺は緊張から早めに着いてしまって、渡された書類や名簿などを眺めながら控室で待っていた。

屋根裏組の名簿には、網佳苗(あみかなえ)鵜浦理宇(うのうらりう)甲斐直哉(かいなおや)瀧美咲(たきみさき)野間理(のまおさむ)と50音順に名前があった。

へぇ、女子2人に男子3人か。

俺は字面からそう思っていたのだが、予想に反して鵜浦理宇は女子だった。

銀縁眼鏡に長めの前髪で、いつもうつむき加減。

女子にしては背が高いから、それを気にして猫背になっているんだろう。

俺も基礎学校の先生の背を追い越してしまった時には、なんだか申し訳ない気がして猫背になったから。

しかし理有をよく見てみれば、細めの目は涼やかで、地味だが整った顔立ち。

もっと背筋を伸ばせばいいのに…と思う。

自信がないのか何なのか、なんとなく仲間には入りづらいようで、みんなから一歩ひいている印象。

かと言って自分の世界に入っているかというとそうでもなく、きちんとみんなの話は聞いているし、方言なんかにも詳しい。

甲斐がこの辺の方言が全然ダメで、さっぱり話が通じない時なんか助けてくれる。

理有はいいヤツだ。


入学式のとき、理有の叔父さんを見たが、なかなかいい男だった。

姪っ子から言わせれば「観音様のようなキレイな顔」だそうだが、その表現は残念過ぎる。

うちの母ちゃんが入学式の記念写真を家宝にするとか言い出すくらいのいい男なんだから、もっと言いようがあるだろうに。

そういえば理有の顔の作りとか、ぱっと見の雰囲気がその叔父さんに似ている気がする。

そのせいか、ぼーっと理有が立っていると女子というより男子っぽい雰囲気がある。

網も女子トイレで理有が視界の隅に入ったとき、一瞬男子かと思ったことがあったそうだ。

一緒にお風呂に入ったら、ちゃんと女子だったし~と網は笑っていたが。

ちょっと女風呂の様子を想像して撃沈してしまった俺は、やっぱり思春期なんだろう…。

網はフワフワした感じの女子でめんこいから、理有とか瀧とか、男っぽい雰囲気の女子と一緒にいるとめんこさが際立つ気がする。

いや、もちろん瀧も楚々とした美人ではある。あるのだが、網はやっぱりめんこい。

小柄で華奢で守ってやりたい感じ。

あぁ、めんこい。

もっと網と話したいなぁ…。



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