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喜劇と悲劇の街

作者: 小岩井とわ

大通りから街の中心である教会広場まで幾つもの露店が立ち並ぶ

観光客や商人でひしめき合う中を喧騒が広がる

この街の住人は皆明るい

ここは喜劇の街


旅人が言う、陽気な街だと

神父が言う、信仰の街だと

浪人が言う、親切な街だと

商人が言う、繁盛の街だと

農民が言う、肥沃な街だと

学者が言う、未来の街だと

道化が言う、愉快な街だと


語る言葉に嘘は無く、不幸を偽る虚飾も無い

誰も恨まず、誰が為に行動し、自らも幸福である

何もない街から発展し、活気溢れる都市となった

ここは喜劇の街、誰もが明日へ生きている



大通りの裏のまたその奥、誰も入らぬ墓地に幾つもの墓が立ち並ぶ

夥しい数の墓標が犇めく中を静寂が広がる

この街の住人は皆昏い

ここは悲劇の街


旅人が言った、陰気な街だと

神父が言った、不信の街だと

浪人が言った、冷淡な街だと

商人が言った、衰退の街だと

農民が言った、不毛な街だと

学者が言った、過去の街だと

道化が言った、不快な街だと


語る言葉に嘘は無く、幸福を偽る虚飾も無い

誰をも恨み、己の為に行動し、自らも不幸である

病によって退廃し、憂いに満ちた都市となった

ここは悲劇の街、誰もが昨日を生きている

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