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俺が育てたモンスターでダンジョンハーレム  作者: どげざむらい
第一章 蟻集まって木揺がす
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第4話 ダンジョンマスターのお仕事

今更ですが、この作品のハーレムは控えめです。出てくる女性全員ハーレム要因なんてことはしません。

期待してた方ごめんなさい。

 やあやあ、二度目の人生どころか三度目の人生をやり直している男、群城火狩だ。

 俺が今何をしているのかって? そんなの決まっているだろう。ダンジョンを解放したんだ。やることは一つ。





「ほらほら、暴れるなよ、ちゃんと飲ませてやるから。って、背中に登るなこら! 落ちると危ないぞ……っと、ハエちゃ~ん、ナイスな働き。そのまま抱っこしててくれる? ほら、お前も割り込むな、順番は守れよ。って、お前、お姫様踏んでるから! あーほら、泣いちゃった。こらこら泣かない泣かない。お姫様は強い子だろ~?」



 ……子育て中ですがなにか?(威圧)



 いや、俺だってやりたくねえよ。結婚どころか女の子とのまともな付き合いもほとんど経験してない俺に生まれたばかりの赤ん坊のお守り? 無理に決まってんだろ!?


『ほら、火狩。手が止まってますよ。ミルクを飲ませたら肩に乗せてゲップをさせてあげないと』

「へいへい。こうでいいのか?」

『意外と上手いですね。子育て未経験とは思えません』

「ありがたくねえなぁ……お母さん」

『誰がお母さんですか……お父さん』

「誰がお父さんだ」


 そして、俺のわがままに付き合ってもらい、新生ダンジョンに招待させてもらった、チュートリアル担当であるガイドちゃん。

 姿形はなくとも、今は俺の最も信頼する相棒だ。



「あー、あー」

「んー? どした? 遊びたいのか?」

「かーー!!」

「なんだ、かーって。何が言いたいんだ?」

「キェエーー!」

「だから何なんだよおい」


 10人の赤ん坊に翻弄される俺。

 なんか、侵入者も来てないのに一気に疲れている気がするぞ……。




 ダンジョンを開放して1時間が経った。前回と違い、化物レベルの騎士様は来ていない。どころか、獣1匹侵入してこない。

 今のところは安全な様ので、俺は空腹を訴える赤ん坊……『幼虫人ラーヴァオブヒュム』に食料を与えることにした。

 購入した食料は『エキドナの母乳』。どんなモンスターでも食すことができる乳製品らしい。ガイドちゃんが選んでくれた。


 それを哺乳瓶(2DP)に入れて、今は1人ずつ飲ませているのだ。

 ん? 数え方? ああ、体ではなく、人にした。人型だし、こっちの方が正しいだろ?


 まあ、とにかく今は、片手に赤ん坊もう片手に哺乳瓶、膝の上には赤ん坊背中にも赤ん坊、そして急遽呼び戻したハエちゃん達に残りの赤ん坊を抱っこさせて高い高い。


 ビッグローチメリーゴーランドだ、面白いだろ?

 赤ん坊で空の旅をしているのはこの世界でもお前たちくらいだぞ~?


 慣れない言葉であやし、慣れない手つきで抱いて撫でる。……全国のお母さん(義母含む)。ご苦労様です。まさかこんなに大変なことだとは思わなかったよ。



「俺、結婚したら子育て手伝うんだ」

『立派な心がけですね。しかし今は天を仰いでいる時間ではなく、この子達の寝床を作る時間ですよ。ほら、毛布がグチャグチャじゃないですか。ちゃんと寝心地のいい空間にしてあげて下さい、お父さん』

「誰がお父さんか。しかし了解ですお母さん!」

『誰がお母さんですか』


 ダンジョンマスターの仕事(モンスター育成)を始めてからというものの、このイジリが俺とガイドちゃんの新しいコミュニケーションとなっている。


 楽しい。



『あ、火狩。どうやらダンジョン内の魔力濃度が極薄から微薄に変わったようです』

「それにどんな変化があるのかわからんがとりあえず喜んでおこう。わーい」

『新しいモンスターが召喚できますがどうしますか?』

「謹んでお断りさせて下さい」


 これ以上負担が増えてたまるか。


『しかし、今度は最初から意思疎通のできるタイプのようなのですが』

「今すぐ召喚するんださあ早く!」


 お手伝いや! 育児のお手伝いができるで!


「消費DPは1人につき100で「10人だ!」……了解しました。10人で、計1000DPの消費です。現在2918DP残っています』


 そして現れる魔法陣。さあ、これでようやく赤ん坊から解放され……る?


「およびにおこたえしました! ますたぁ、ごめいれいを」


 魔法陣から現れたのは、色とりどりで、様々な模様のあるローブを纏い、同色のフードを目深に被る、チョコンとお辞儀をする小さな少女……いや、『幼女』。

 明らかに……幼い!

 子育てが……出来ない!


「……なあ、ガイドちゃん」

『意思疎通はできます』

「……これ、子守対象増えたんじゃ」

『嘘は言ってません。意思疎通はできます』

「いや、意思疎通はともかくとしてこれただの子供」

『種族名は『幼蝶人族キャタピラノイド』。正真正銘のモンスターです』


 キャタピラー、蝶の幼虫か。きっと進化後は蝶になるに違いない。


「ますたぁ? どうかされましたか?」


 10人並んでいる子供達の1人、緑色で、フードには大きな目の様な模様の付いたローブに身を包んだ少女が小首をかしげる。

 虫の種類なら大体わかるが、この子は色と模様的にアゲハの幼虫だろう。


「……いや、なんでもない。とりあえず、ようこそと言えばいいのか? 俺の、俺達のダンジョンへ。そして、いきなりですまない。俺は君達に戦闘をさせてしまうかもしれないが、それでもいいか?」


 これは絶対に聞いておかなければならない。呼び出した以上、子供でもダンジョンのために働いてもらう必要があるからな。……流石に成長しきってからだが。

 しかし、嫌だという場合は強制するわけじゃない。戦闘以外の仕事を与えればいい話だ。


「おききなさらないでください。わたしたちはますたぁのためにうまれたもの。たとえこのいのちつきようとも、ますたぁのおやくにたつためにたたかうしょぞんです」


 そう思っての質問だったのだが、どうやら愚問に終わったらしい。


「……そうか。じゃあ、これからもよろしく頼むよ。あ、そうそう。そんな改まらないで、年相応の喋り方で構わないよ」

「……いいんですか?」

「ああ、自然が一番だからな」

「……はい! わかりました! じゃあ、これからはおにいさまってよびます!」


 ……赤ん坊の次は妹か。……そういや、向こうの世界に置いてきた妹、どうしてるだろうな。聞いたところ俺の死因ってあいつの蛇みたいだし、ちょっと迷惑かけたよなぁ。すまない、そっちの世界じゃ事後処理とか面倒だとは思うが、頑張ってくれ!


「おにいさん、わたしたちはなにをするの?」


 アゲハの子の隣、全身ライトグリーンで、背中をよく見ればうっすらと白い縦線が見えるローブの少女、たぶんモンシロチョウの子が聞く。……全員、俺の呼び方が違うのか?


「まずは成虫になってもらう必要があるんだが……君達の進化はレベルを上げないといけないのか?」

「わたしたちは、たべることでえいようをためます。それでさなぎになります」


 答えたのは、黒いローブの少女。そのローブは、他の子と比べて少し異質だ。首元とローブの裾に白い模様があり、赤い水玉がローブ全体に、規則正しく並んでいる。裾は破られているかのようにギザギザで、袖やフードも同じようになっている。

 自信はあまりないが、この子はジャコウアゲハの幼虫だと思う。一度飼育した記憶があるからな。……服装で種類が決まっているってのも、おかしな話だよな。まあ、そう見えるのだからしょうがない。


「なるほど、つまり、食事で成長するのか。それは助かるな。何を主に食べる?」

「はっぱです。おにくはたべません」


 この問いに答えたのは、小さい10人の中でも一際小さいクリーム色の少女。色と模様では判断できないが、大きさ的にシジミチョウの仲間だと予想する。


「あと、はっぱはみんなこのみがちがいます。すきなはっぱは、せいちょうがはやくなります」


 黄緑のローブで、フードに二本の角のようなものが生えている少女。これは……皆目見当がつかん。成体の模様に期待しよう。


「……くだもののはっぱ、が、いい」


 今度は……ローブ、なのか? 木の枝や大きな枯葉をくっつけた布を纏っている少女。これは……いや、待て。


 ミノムシ! ミノムシじゃないか! つまり、この中には蝶だけでなく、蛾もいるということか。


「にいちゃんにいちゃん、あそぼう?」


 薄い緑に黒い斑点。フードは真っ黒で、全身毛羽立っている。……幼虫は種類が多すぎてよくわからんな。


「ねむい……よ」


 次はまた黄緑色。だが、背中には紐状の突起がいくつもあり、さらにはデカイ。10人の中で一番でかい。

 まさか世界最大の蛾、ヨナグニサンとか言わないだろうな。


「そろそろおなかすいたよ」


 黒いローブの側面に朱色の縦縞。そして細長い毛。コイツは知っている、ドクガだ。俺も何度も刺されたから覚えていた。 


 「…………」


 そして、最後の1人は、個性的なこの面々の中でも、特に変わった見た目をしている。

 真っ白なローブ、それだけならいいのだが、この少女は顔、つまり人間部分まで真っ白なのだ。他の子と明らかに違う。まるでアルビノのような、しかし、目の色は黒いので違うのだろう。となると、この子はまた別の何かということだ。


 白い、幼虫? ……いや、まて、本来幼虫とは、鳥などの外的に狙われないように、形状や色を様々なものに変化させてきたのだ。


 葉と同じ色。


 鳥の糞のような見た目。


 いかにも毒がありますよと言った警戒色。


 そんな中、ここまで真っ白な幼虫がいて、どうなる? 葉の上にいれば、目立つ。擬態はしてないし、白なんて毒を持っているように見えない。食べられ放題だ。

 世界のどこを探せば、こんな呑気な色をした幼虫がいると…………っ!!





 ……いた。一種類だけ、擬態も、警戒も、何もしない、身を守る術を持たない非力な蛾。


 この子、この子は……。




「カイコ……か」

「……?」



 問題発生。これは、大問題だ。


 そしてついでに……大手柄だ。



















「さて、ここに集まって貰った理由は他でもない」

「おにいちゃんさっきとばしょかわってないよ?」

「はえさんはえさん。つぎわたしがのっていーい?」

「おっきーい。まっくろー。かっこいいねー」

「ごきぶりさん?」

「めりーごーらんどっていうんだって。さっきにいさまがいってたよ?」


所変わらずいつもの小部屋。ダンジョン解放と共に出入り口が設けられ、密室ではなくなったが、広さは相変わらずだ。

俺は今、出入り口の外側に立ち、部屋の中で整列する10人の幼蝶人を見下ろしている。

流石に狭かったため、赤ん坊達はハエちゃんを総動員して通路を自由に飛び回らせている。

羽音がうるさいが、どうやら子供たちは全く気にしていない様だ。


「実は、お前達には頼みたい仕事がある。戦闘を任せられるのは成体になってからだからな。それまでは別のことをして貰う」

「めいれいですか?」

「なんなりと」

「おにいさまのためならなんでもします」


ん? 今なんでもって言ったな? くくく、では、後悔してもらおうか。そして俺はようやく苦行から解放される!


「お前達に任せたい仕事の内容だが……あそこにいる赤ん坊が見えるだろう?」

「赤ちゃんですね。かわいいです」

「とんでます。まわってます」

「たのしそう……いいなぁ」


どうやら、忌避感を持っているやつはいないようだな。よし、第一段階クリア。


「お前達には、あの子達の子守をして貰う!」


え? できないだろって? ……だったら教えるんだよ!


「こもりですか?」

「いのちをまもる?」

「せきにんじゅうだいです」

「そうだ。しかし、いきなりやれと言ってやれるものでもあるまい。よって、お前達に教育係を付ける。子育ての何たるかをしっかり学ぶように! では、紹介しよう、みんなのお母さんこと、ガイドちゃん先生だ」


そう言い、誰もいない宙に向かって指を指す。当然少女達は俺の指の先に視線を向けるが、誰も居ない。全員が不思議に思い首を傾げたところで……。


『誰がお母さんですか。ご紹介にあずかりました。本日は皆さんに知識と技術を身につけて貰うため、私が一肌脱ぐことになりました。肌どころか体もありませんが』


「「「!?!?!?」」」


急に聞こえてきた声に驚いて飛び上がる少女達。

そしていたずらが成功した子供のように笑うガイドちゃん。

……和むわぁ。


「というわけだ。姿は見えないが、彼女も俺達の仲間だ。仲良くしてくれよ」

「「「はーい!!」」」


元気な返事、大変よろしい。


『では、まずは子供の抱き方を教えましょうか。火狩、弾丸蝿を呼び戻して下さい』

「了解。ハエちゃーん、かむばーっく」

『では、実際に抱いてみましょう。優しく、赤ちゃんを受け取ってくださいね?』

「「「はーい」」」



こうしていて思う事が一つ。









……ダンジョンはいつ、託児所になったのだろうか。


ポイントを眺めて過ごすのが楽しい一日。

感想とか来てくれると作者大歓喜。

あ、これ催促してるみたいですよね?

すみません違うんです。誤解させてしまってごめんなさい。

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