表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が育てたモンスターでダンジョンハーレム  作者: どげざむらい
第一章 蟻集まって木揺がす
35/37

おまけ3 メイドと執事と時々黒騎士

忙しい。忙しすぎて楽しくなってきた。


夜は泥の様に眠ってしまいます。書く暇がありません。そもそもPCを立ち上げるまでの1分の待ち時間でダウンします。


ようやく訪れた休日。やったー、三連休だー。休み明けは絶望の幕開けだー( )


……虫探索の散歩にも行けません。山を……誰か、山を私の家に持ってきてくれぇ……。


まあ、近況報告はそこそこにしておきましょう。


本編の方ですが、次の章の話、大まかな所は決まっているのですが…………その…………。



プロットを書いたノートを、まるっと紛失しました。



記憶容量が1bitしかない私には、記録なしに白紙と向き合う事など不可能…………絶対に見つけ出さなくては……!!


てなわけで、また少し(過小評価)更新が遅れてしまうかも(確定事項)しれません。

もう本格的に不定期更新になってしまいましたが、砂漠のオアシスのごとく心の広い方だけでよろしいので、どうか、お付き合いください。

「はぁ……」


 静かにクラシック音楽が流れる空間に、1つ混ざる小さなため息。

 洗ったばかりのカップを布で拭いながら、見るからに落ち込んでいるのは、この店、『虫の一服』のマスターをやっている『飛蝗人族ホッパーロイド』のキリノ。


 先日、異常に硬い大柄な冒険者を一方的に蹴り上げてある程度の鬱憤は晴らしたものの、戦闘狂の彼女がその程度では満足できる訳もなく、逆に、中途半端に気を晴らしたせいで、現在の退屈を余計にストレスに感じてしまっていたのだ。


「あぁ……殺りてぇ……」

「店内で物騒なこと言わないで下さい、キリノ様」

「ん……」


 キリノの思わず漏らした発言にツッコミを入れたのは、上品そうな燕尾服を身に着けた執事の様な男。

 三つ編みにした長い髪を揺らし、姿勢よく立っているその姿は、誰が見ても美しいと思える洗礼された体勢だ。


 『蠍人族スコーピオロイド』のセル。彼がこの店にいるのは、客としてというわけではない。

 前回、何気なく冒険者に敗北してしまっていたのを気に病み、それと同時に、自らが苦戦した冒険者を一方的に憂さ晴らしに使っていたキリノを見て、強くなるためにキリノに師範を申し込んだのだ。

 キリノも、「ボスの期待を裏切る様な奴じゃ駄目だ」と言い、セルの弟子入りを許諾した。


 その結果、修行以外の時間は、キリノの営むこの喫茶店でウェイターをして過ごしているのだ。


「セル、第3テーブルの蟻人族の団体様、ブレンドコーヒーを6だ」

「かしこまりました」


 手馴れた様子で淹れたコーヒー6杯が、セルの持つトレイに次々と乗せられていくのを見て、キリノは感嘆の声を漏らした。


「お前、結構器用なんだな」

「え? ああ、はい。姿勢を崩さず体の軸がぶれないようにしていれば、カップのバランスを崩さずに運べますよ」


 セルはそう言って、トレイを持ったままその場で一回転した。

 だが、トレイに乗せられていた6つのカップからは、一滴もコーヒーが溢れた様子はなかった。


「へぇ~、私ならカップの1つは落としてそうだな」

「キリノ様は力任せですから、もう少し姿勢などにも気を配れば、もっと鋭い蹴りになるかと思いますよ」

「なるほど……ん? なんか今馬鹿にされなかったか? 私」

「では、行ってまいります」


 納得して頷いた後、どこか納得いかない様に首をかしげるキリノから逃げるようにコーヒーを持っていくセル。

 その背中を視線で追いながら、キリノは「ま、いっか」と手元のカップに視線を落とす。


 そう言えばパフェの材料が切れかけてたな、などと、ボーっと考えていたキリノの前に、ブーンと、何かの羽音が近づいてきた。

 この数日のうちに聞き慣れてしまったその音を耳にしたキリノは、正面にある店の入口を見据え、来客を待つ。

 暫く待たぬうちにその少女は、大きなツボを抱えて空中をホバー移動しながらキリノの前までやってきた。


「マスター、午後の仕入れ分、持ってきましたよ! あと、頼まれていたフルーツ類も」

「ああ、ミク。ご苦労様。丁度パフェの材料に必要だったんだよ。助かった」

「いえ、これも仕事ですので!」


 キリノと仲良く話しているのは、黄色と黒の色合いをしたメイド服に身を包んだ少女。名前はミク。

 いつの間にか火狩にミクと命名されていたのだが、キリノ以外に接点のある虫人がいないので、誰も呼んでくれないというのが悩みだ。

 彼女は『蜜蜂人族ハニーロイド』の1人であり、ダンジョン内に溢れる魔力を蜜に変えて集める仕事をしている非戦闘員の虫人だ。

 ここにいる彼女は、全部で20人いる蜜蜂人族の中でも中心的な役割を担っている。

 今は、『女王蜂』を目指して成長中と聞くが、どんな努力を積み重ねているのかは誰にも分からないらしい。


「それにしてもマスター。この店も前に比べて大分繁盛してきましたね」


 ミクがキョロキョロと辺りを見渡す。

 そこには、困り顔のセルに群がる鎧騎士の集団や、どうすれば大人っぽくなれるのかを相談する小さな蝶とその必死の相談を軽く受け流している大きな蝶。一人前を頼むつもりだったのに、何故か21品運ばれてきた料理に頭を抱える忍者など、その少ない席はほとんどが埋まっていた。


「まあね。人数が増えたってのもあるし、最近は結構忙しいよ。……あ、そうだミク、私に雇われない?」

「うぇ? 私ですか?」

「そう。セルもちゃんと働いてくれてるんだけど、一々丁寧だし話し上手だしで、ほら、ああやって客に捕まっちまってな……正直、もう一人くらい従業員が欲しい」


 切実な声色に本気を感じ取ったのか、ミクは腕を組んで悩みだす。


「う~ん、給仕のお仕事ですか。私なら確かに適任ですが……女王修行が……」

「いや、無理しなくてもいいよ。一応私一人でも切り盛りできる程度だからね……まだ」

「そうですか……いやしかし、やはりお一人ではキツイですよね。なんとか、お手伝いできないか確認しておきますね」

「なんか、悪いな」

「いえいえ~」


 ミクをあまり困らせない様、取り繕うキリノと、心配するミク。発言の中で、しれっと従業員の中からセルが省かれている事には誰も気がついていない。


「そう言えば、そろそろ遠征組も戻ってくる頃かな」

「はい? ……ああ、外に出ている方達ですね。確かに、結構日も経ってますし、一度戻ってくるんですかね」

「戻ってきたら、より一層忙しくなりそうだけどな。はぁ、まだ帰ってきて欲しくないな」


 一際騒がしかった黒塗りの騎士を思い出し、キリノは苦笑する。


「でも、そんなこと話してると、本当に帰ってきちゃいますよね」

「……だな」


 キリノは今日もコーヒーを淹れる。

 このダンジョンに近づいて来る、懐かしい足音を確かに感じ取りながら…………。



 ★



「アリッサ、ちょっと前出すぎだって!」

「だーいじょーぶっスよ、ほら、あたしが引きつけとくんで、アリシアは後ろから援護頼むっス!」

「あー、もう! 安全第一って言われたでしょうが! この……」


 木漏れ日が唯一辺りを照らす、深い森の中。

 アリッサと呼ばれた少女は、自分の二倍はある巨大な猿と腕を組合い、力ずくで押さえ合っている。

 その間に、アリシアという少女が、アリッサの背後から突き出した槍で猿の喉を貫き、一撃で倒す。


「おぉ、上手く連携できたっスね!」

「あなたの暴走に振り回されてるだけだけどね」


 ニコニコと笑みを浮かべるアリッサと、焦燥に駆られるアリシアが並んで立つ。

 2人とも全く同じ形状の黒いフルアーマーを身に着けている。

 違うのは手に持つ武器だけだ。


 アリッサは、金縁の黒い柄のモーニングスターを握っている。その柄の先端からは直径およそ3mの刺付き鉄球が繋がった鎖が3本伸びていて、3つの鉄球をズルズルと、重さも感じさせない動作で引きずっている。


 アリシアは、円錐型の大槍、ランスと呼ばれる武器を背負う。

 長さは4mはある巨大な大槍で、真ん中辺りに切れ目があることから、ある程度は伸縮できるものなのだろう。鍔が広く、手元に向かって伸びているため、柄が完全に覆い尽くされている。その為、傍から見るとただの円錐にしか見えない。


 最初に比べると、武器が随分と強化されているが、『精神武器具現化』のスキルで出現させている武器は、その力も本人の精神……強さに依存している。

 武器の変化が、本人の成長を意味しているのだとしたら、彼女達は相当に強さを手に入れたのだろう事は想像に難くない。


「あと少しで日が暮れるし、そろそろ戻りましょう、アリッサ」

「え~、もう少し戦おうっスよ、まだ皆帰って来てないっスよきっと」

「でも……日が落ちてからじゃこの森の中は……」

「なんとかなるっス! ほら、ゴーゴー!」

「ちょっと! もー!!」


 2人1組なら効率がいいとか言ったのは誰だったかしら、と、提案者の少女の中では深い後悔の念が渦巻いていた。







「おぉ、テキトーに歩いてたら一番奥っぽいところに来たっすよ」

「……引き返していたはずなのに最奥に来るってどういうこと?」

「……さあ?」


 日も暮れ、照明がアリシアの持つ松明一つになってしまった時、鬱蒼と茂っていた木々が消え、円形の広い空間に出た二人。

 しかし、その空間を囲う、壁のように密集した木が、これ以上先に進ませてはくれない。

 正真正銘、ここが今行ける最終地点らしい。


「木を倒せばまだ先に進めるんだけど……その先は絶対に戻る道じゃないだろうし」

「かと言って、今から引き返すのも時間がかかるっスよ? 折角広い場所なんスから、今日はここで野営しないっスか?」

「うーん……アンヌ達、心配してないかな」

「アリアンヌっスか? 心配ないと思うっス! なんせうちにはあたしがついてるんスから! きっと安心してくれてるはずっスよ!」

「それが一番心配なんだろうけど……っ! 静かに!」

「ほぇ?」


 狭い間隔で生えている木の隙間に無理やり入り込み、周囲を警戒し始めるアリシアに、アリッサも慌てて手近な木の陰に隠れる。


 なお、鉄球は隠れきれていない模様。



 そうこうしているうちに、既に異変は起こり始めていた。


 多少は鳥や虫の声が響いていた森が、今は風の音しか聞こえない。

 風が吹いているというのに、木の葉が擦れる音すら聞こえないというのが、不自然で仕方がない。

 まるで、森全体が何かに怯えているかのようである。


 一体何に怯えているというのか、その答えも、直ぐに出る。



『ゴァアアアアア!!』



 雄叫び。凄まじい地響きと共に、地面が割れる。


 メキメキと激しい音を立てて倒れる木々を踏み潰し、巨大な影が地面から這い出てくる。


 それは、岩のようにゴツゴツとした亀の様な魔物だ。

 背中は山脈のように隆起した岩がそびえ、所々にコケが生えている。

 頭部は陸亀そのものだ。

 まるで大岩を組み合わせて固めたような見た目の全身灰色の岩亀。だが、亀と違う所は、大樹の様に太い前足と後ろ足の間にある、とても小さな羽だ。

 地中にいたせいか、羽としての役割は完全に失われているように見える。



「竜……スかね?」

「地竜ね……あの岩、ただの岩じゃなくて、竜鱗よ。見た目以上に硬いはず」


 それは竜種。あらゆる魔物の頂点に立つ最強種。

 人間ではなく、魔物である彼女だからこそはっきりと理解できる、『格の違い』がそこにはあった。

 目視出来るほどの強力な魔力を全身から湧き出しながら、悠然と立ち尽くすその地竜の姿に、自然と身震いが止まらなくなる二人が、顔を見合わせる。


「……どうする?」

「逃げる……と言いたい所っス。けど……」

「難しい……ね」


 逃げ道はただ一つ。しかし、そこは地竜の視線の先。いくらなんでも、強大な力の魔物に対して背中を向ける勇気などない。

 木々の間は不自然な程に狭く、通り抜ける事は実質的に不可能。無理に抜けても、音で確実に勘付かれる。


 ……ともすれば、2人には、答えは1つしかなかった。



「……私が引き付けるから、アリッサは無防備な背中を思いっきり叩き割って」

「……了解っス。あたしの方が防御は高いっスけど、速さならアリシアっス。あの地竜は見た目からして鈍足っぽいっスから、ここは受けより逃げのアリシアの方が適任っス。ほんとは、危ない役目はあたしに任せて欲しいんスけどね……」


 目の前の障害を、倒すことしかない。


「適材適所よ。今は私が前に出るのが一番、勝てる可能性があるってだけ。普段なら貴方を死地に追いやって、私は楽してるわ」

「……アリシアって、たまに毒吐くっスよね」

「まあ、アリだしね」


 強ばった2人の表情に、柔らかさが戻る。

 これから、生死を賭けた戦いが始まるという時に……いや、こういう時だからこそ、彼女達はいつもの調子で、立ち上がる。


「……行ってくる」

「……うす、あたしも遅れていくっス」


 互いを信頼しているのだろう、この2人は、特に詳しい作戦も立てずに行動に移した。

 アリシアは勢いよく木陰から飛び出し、アリッサは力強く柄を握り締める。


「はぁああああ!」

『ゴァアアアアアア!!!』


 地鳴り、轟音。地竜が踏み出す度に大地が揺れ、唸り声で爆風が吹き荒れる。

 本能的な恐怖が足を止めようと呼びかけるが、それでもアリシアは歯を食いしばって走り続ける。


「まずは一撃……受けてみよ!」


 高速で抜いた大槍に紫色の稲妻が駆け巡り、先端が発光する。

 その光は、急激に激しく、大きくなり、そして、アリシアが地竜の足元まで辿りついた時、最高潮に達した。


「『天翔……紫電』!!」


 そして、槍の先端を地竜に向かい……つまり、頭上に向かい、掲げる。

 その瞬間、光が迸る。


『グゴァアアアアアア!!!』


 巨大な光の柱は、それでも竜を貫くには至らず、岩の様な巨躯に遮られて傘状に弾かれる。


(私の最大威力の切り札……通じない事は想定済み! ……だが!)


 振り下ろされる大樹の様な前足を避けるアリシア。即座に大槍を背に収め、走り出す。

 それに釣られ、振り返す巨体を確認し、アリシアがニヤリと笑う。


「やれ! アリッサぁああああ!!!」

「イヤァアアアアア!!!」


 その時、既にアリッサは、地竜のはるか上空にいた。


「あたしの……一撃を……ブン……おとすぅうう!!!!」


『ゴァアアアアアアアア!!!!」




 彼女達の決死の戦いを見た者は誰もいない。

 その勝敗も不明だ。


 だが、最近各地で起こっていた地割れや地震。

 最高の魔物ランクSSSを誇る魔物、『地老竜 タイラント』の仕業とされていた災害の被害は、この日を境にピタリと止んだのだった。

今回はキリノと、ついでにセルの近況。そして、『蟻人族』初期メンバーからアリッサとアリシアの登場です。

おまけならもっと内容面白くしろよ! と自分で自分を殴る日々ですが、これが私の限界です。お許し下さい。


冬はやる気がなくなります。虫と同じで、寒さに弱いのです。

それなのに、寒くなるにつれてやらねばならない事が増えてくる。誰か助けて下さい。


虫が欲しい。虫に触りたい。虫と話したい。虫を見たい。虫を探したい。虫と遊びたい。虫を感じたい。虫を思いたい。虫に近寄りたい。虫に捧げたい。虫を食べたい。虫を慈しみたい。虫と交わりたい。虫になりたい。虫が好きだ。虫を愛している。虫がいい。虫しかいない。虫でありたい。むしろ虫。

虫が虫で虫だから虫の虫として虫っぽさを虫の様に虫して虫から虫まで虫とすれば虫に虫なれど虫なりや虫的に虫と虫にしては虫であれ虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫




ハッ! 私は何を! なにやら、異常に虫を連呼していたような………。







あ、正常か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ