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俺が育てたモンスターでダンジョンハーレム  作者: どげざむらい
第一章 蟻集まって木揺がす
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第26話 集団戦応用編

遅くなりました。


理由は……そ、その……ガメの方を「一身上の都合により療養しておりました(ホラ)」


仕方ないんですよ! 面白いゲームとの出会いは今しかないんです!

普段虫にしか興味が無い私にとって、虫が関係ないゲームにハマる事は極めて希な事で、そして腐りやすいんです!

ハマって3日以内にクリアしないと「あ、やっぱ虫のが良いわ」ってなって止めちゃうんです! 今しかないんです!(大事な事なので……)


というわけで……速攻クリアしてまいりました(タイトルは言いません。今はもう興味ないんで)。



そして、再開したわけですが、なんか……しばらくキーボードに触れていないからか、内容にギャグが滑り込んでしまいます助けて下さい。

金属がぶつかり合う音が、広い空間に響く。


それは、鎖が擦れる音。


それは、小さな針のような礫が、大きな金属の壁にぶつかる音。


それは、鋭い刃物が鍔迫り合う音。



明らかな戦闘音で、その種類は多い。

鎖、礫、刃物。

一体何人の戦士がその場で戦いを繰り広げているのか、つい目を向けてしまいたくなる音の応酬。しかし、意外な事に、その場に居たのは、たった2人の戦士であった。


……いや、戦士と言っていいのかは定かではない。

片や、大きな盾とショートソードを手に、敵の攻撃を防ぐ、大柄な鎧の男。こちらは間違いなく戦士と呼べるだろう。


しかし、その対戦相手の青年。こちらは、戦いに身を投じる者としては、少々場違いな格好だ。



まず、目に付いたのは、動く度にヒラヒラと舞う、長い裾。

薄紫色のその服は、燕尾服と呼ばれる礼装である。

本来は、夜会などで着用される正装ではあるが、この暗い洞窟内の、昼も夜もない世界では、例え常に燕尾服でも不自然はないと思われる。


……この場が、夜会であればだが。



 燕尾服は、決して動きやすい服装というわけではない。だが、それでも青年は、その服を着こなし、そして、とても自然な動きで激しい戦闘の中、華麗に舞い踊っていた。



 時には鎖を振り回し、時には無数の長さ20cm程度の針をバラ撒き、時には両手に嵌めた二又刃のパタを突き出す。



 凄まじい攻撃の連打……いや、連鎖。行動1つ1つの繋ぎの間に、休む隙など1秒もない。


 鎖を叩き落としたと思ったら、次の瞬間には、鎧の隙間を縫う様に滑り込もうとする針を避けなければならない。

 盾を構えた大柄の戦士は、止まることを知らない細かな攻撃に、もはや疲労を隠せなくなっていた。



(くっ、なんだこいつ……次から次に武器を入れ替えやがって……。鎖と投擲針とうてきばりの遠距離型かと思ったら、手甲に付けたハサミみてぇなナイフで肉弾戦。こいつの有効範囲はどこまであるんだよ……!)



 戦士……ラインゴッドが、飛んできた鎖の先端…………鋭く尖った長い杭を弾くと、数瞬もなく、10mは離れていたはずの燕尾服の男……セルは、既に目前に迫っていた。


「ぅおい! なんだその速さ! 執事の芸当じゃねぇなあ!」

「いいえ、主人にお呼びされた際、迅速に行動するためには、この程度の速さ、身に付けておかなければなりません。必要とされている時に、主人の近くにいない執事など、執事失格です」

「はっ! 殊勝なことで……『不動山』!!」


 ラインゴッドが叫ぶと、その全身が赤く光を帯びる。

 それと同時に突き出されるのは、いつの間にかパタを外していたセルの掌底打ち。

 なぜ、攻撃力のある武器を捨てて素手で挑んだのか、それはすぐにでも分かることである。


「おや、読まれましたか? これは手痛い」


 念のため言っておくが、掌底の反動で手を傷めたわけではない。


「はっ、武器倉庫のお次は格闘技。マジでどんな引き出ししてやがるんだ」

「執事たるもの万能であれ。ご主人様より承った、大切な技術の数々です」

「はんっ、そのうち、そのご主人様とやらも引きずり出してやるよ……にしても『鎧徹し』か。厄介な技だぜ」

「あなたの様に堅そうな人を抜く技です。しかし、衝撃を完全無効化されてしまっては、意味がありませんね」


 『鎧徹し』。『鎧を突き抜けて、直接打撃を伝える』技。古来より、戦場でも使われる実戦武術の一つだ。

 あまりに防御が硬すぎるラインゴッドへの秘策として温存し、それどころか、武術系の技の全てを隠す徹底を見せていたセルだったのだが、Aランク冒険者の名は伊達ではなかった様だ。


「俺の弱点は、防御無視と衝撃攻撃だ。それを補うための回避スキルも、衝撃無効スキルも持っている。……仲間を守る『守護騎士ガーディアンナイト』として、当然の事だぜ」


 誰よりも前に出て、誰よりも後ろに引けない男には、一つの誇りがある。


「俺は……そう簡単には動かせねえぞ!」

「どうやらそのようですね。……では、その誇り、いつまで持ちきれるか、勝負と行きましょう」

「『不動山』!」

「『震脚』『徹し』『兜割り』」


 踏み込みすら攻撃に転用する、鎧殺しの連打。しかし、ラインゴッドはその全てを盾でいなし、弾き返している。


「その程度かぁ!? まだ足りねえ、まだ届かねえ! そんなんで崩せるかぁ!!」

「私はパワーヒッターでは無いんですがね」


 そうは言っても、その拳一つで、半端な防御程度なら突き貫く威力はあるのだが、それでもラインゴッドは守りきっている。

 誇りのため、そして何より……仲間のために。


(ここで勝たなきゃ、あいつらに合わせる顔がねぇ! 俺が望んだからここにいるんだ! 負けることはありえねえ、許されねえ、何より俺が望まねえ! ここで敵を…………ぶっ飛ばす!!!)


 止まない攻撃に、ラインゴッドは耐え続ける。チャンスを待って。その時を待って。


(守るだけじゃ勝てねえ。だが、守らないと勝てねえ。全く、めんどくせえな。1人ってのは)


「『バインドチェーン』」

「っ!?」


 そして、ラインゴッドの足首に向かって伸びる長い鎖。


「いきなりかよ!」


 剣先で鎖を押さえつけることで、捕縛されることは避けたが、しかし、それは致命的な隙を作ってしまった。


「その隙、貰いますよ」

「ぐぁ!?」


 ラインゴッドの首に深く刺さる長い針。この程度ではラインゴッドのHPは全損しないが、セルの針を受けた事が既に、致命傷と同じレベルのミスであった。


「あなたの抵抗力では、それほどのダメージにはならないでしょうが、毒を打ち込みました。そして、私が針を当てたその位置は、とあるツボでして、いや、どんな効能があるのかは、言わないでおきましょう」


 ラインゴッドには、ツボというのがどんな意味を持っているのかはわからなかったが、とにかく状況が一気に悪化した事だけは悟っていた。

 これ以上相手の好きにはさせない。そう決意し、剣を握る指に力を入れ、ラインゴッドはセルの真正面に体を向ける。


「こんなもん、どうとでもねえよ。そっちの攻撃はそれで終わりか? だったら、今度はこっちから行くぜ」

「さて、どうでしょう。私はまだ、持っている武器の半分も使用していませんよ」


 そう言い合い、笑う2人の表情。しかし、その目は決して笑っておらず、鋭い睨みを効かせている。


 2人はどちらからともなく駆け出し、そして…………ぶつかった。




 そんな2人の様子を、頭上からジッと見ていた影がいた。


 その数は8つ。今まで息を殺し、静かにラインゴッドとセルの戦いを見物していたのだ。

 そんな影の1人が、ついに静寂を破った。


「……まだ終わんねえのかよ。セルの奴、遊び過ぎじゃねえの?」


 荒々しい男勝りな口調だが、声色は幼げな少女のものだ。

 その声は、完全にやる気を無くした様に力が抜けきっていた。



「いや、しかし、あの分厚い鎧に対して、小技が得意なセル殿では、相性が悪いでござるよ」


 少女のため息に答えた声は、声変わりの途中といった感じの、中途半端に低い男の声。まるで昔の侍か何かのような喋り方だ。



「なんや、つまらんなぁ。……サシの勝負に水差すのも気ィ引けるし、ウチらは別の奴ら待ち伏せとこか」


 エセ関西弁が特徴的な女性。年頃の少女の様な声で、提案されたその内容に、この場にいる全員が頷いた。



「セル、安心」

「え~と、うん。セルさんなら、ほっといてもいいかなーって」

「ほかの冒険者、叩き……ますぅ?」

「……くかー……すぴー…………んふふぅ♪」

「うぅん……私はどっちでもいいッス(どうせサボるし)」


 個性的なこの面々の意見が揃う事は、実はとんでもなく珍しいことなのだが、今の時点で、まだ付き合いの短いこの集団には、そんなことなど知る由もなかった。


「よーし、じゃあ、早速行くか」

「分岐点、12個」

「それぞれに、ウチらが1人から2人、配置されるわけやね」

「残りの部屋は当たり部屋とか、モンスターハウスとかだったッスね。……私の担当どこだっけ」

「えーっと、ここだったよね。うん」




 そして、その影はそんな話をした後、音もなく全員が消えていたのだが、下の2人には聞こえていなかった。




 ★



「これでどうでござるか! 『忍法・火遁 火炎放射』!!」

「火を吹くのか」「なんと面妖な」「熱い……焼けるぞ」「こっちは温かいくらいだ」「直撃してればそりゃ熱い」「何を当たり前な事を」「お前達」「自分の分身に薄情過ぎやしないか?」「お前も分身だがな」

「『穿矢』! ……『隠矢』」

「先程より速い」「スキルは厄介」「だが、よけられぬ程では……ぐっ!」「不可視の矢だと!?」「なるほど」「これを狙っていたか」


 カムラと名乗る少女達は、その数を少しずつ減らし、もう既に、6人になってしまいました。

 しかし、それでも怯まずに立ち向かってくるその気迫に、恐怖すら覚えました。


「これで数は」「五分といった所か」「基礎能力を考えれば」「こちらが不利」「しかし諦めぬ」「この身滅びるまで」「まだ戦うぞ」


 そう言い、どこから出したのか、小さな刺がいくつも付いた、茨のムチを握る6人のカムラちゃん。あの、ソードブレイカーと呼んでいた武器を見てからでは、あのムチにも特殊な使い方があるのではと疑ってしまいます。


「我が命に変えて」「その神官のだけでも」「貰い受ける!」


 一斉に襲いかかる茨のムチ。その動きは無作為で、読み取る事ができません。


「くっ、これは厄介でござるよ」

「ああ、もう! さっきから全然詠唱できないじゃない! こういう敵はほんと嫌い!」

「……威力重視(笑)。バランスを考えないからそうなる」

「ルサリカ、何か言った?」

「…………」


だと言うのに、こちらでは喧嘩が始まっています。どうしましょう。



「少し、状況が悪くなってきましたね」

「……で、ござるな」


ミスティさんとルサリカさんが言い争っている時、マリネリースさんとレイシンさんが、そんな事を呟いたのが聞こえました。


「あの、どうして状況が悪いんですか? 今のところ同数ですし、14人は倒せてるんですから、どちらかと言えば、有利なんじゃ?」


 走り続けていた私ですが、つい気になって、2人のところで立ち止まってしまいました。


「だからでござるよ。1人1人の力量は拙者らには勝てない。だからこそ、相手は慎重に攻めて、数を減らさないようにしなければならぬのでござる。しかし、実際は捨て駒のように自爆覚悟の特攻ばかり。刺し違えてでもこちらを倒したい気迫は分かるのでござるが、先程の気配遮断の実力を見ると、この戦い方は、あまりに不自然でござる」

「「「ギク」」」


 そういえばそうです。彼女達は、レイシンさんにさえ悟らせない、完璧な隠蔽を見せてみました。彼女達はきっと、暗殺型の戦いを得意としています。

 なのに、実際はこうして、真正面から剣を振ってくるばかり。

 これは……こちらを倒すための戦闘じゃない?


「……多分ですが、彼女達には、死んでも良い、最悪全滅しても大丈夫と言う理由が有るんです。例えば……ここにいるのは分身で、本体は別に居る、とか」

「「「ギク」」」


 マリネリースさんがそう言います。

 確かにそうです。同じ外見の子がこんなにいるんです。逆に、これだけしか居ないと決め付けるのは早計でした。ここにいるのが全員本物だなんて、逆にありえませんし、この場で戦っているのが分身体だとして、本体が一緒に出てくる事はありえません。


「もしかしたら、まだ後ろに隠れているのが100人居るかもしれないでござる。もしかしたら、無償でもっとふえるかもしれないでござる。可能性はたくさんでござるが、どちらにせよ、ここであの者らを全滅させても、こちらが消耗するだけで終わるでござるよ」

「「「ギクギク」」」


 レイシンさんの言うとおりです。もし、この戦いで、相手に失うものが何も無いのだと言うのなら、失っているものは、こちらの体力だけ。これではとてもじゃ有りませんが、不利でしかありません。


「あと、拙者の愛刀……」

「しかし、ではどうするんです? このまま相手の思惑に乗っかる訳にもいきませんよね?」


 レイシンさんが何か言った気がしますが、小さすぎて聞き取れませんでした。


「そうね。彼女達の狙いは私みたいだし、これは、私をここに足止めする時間稼ぎだと思うわ。……じゃあ、逆に私がこの先に向かうって言うのはどう?」

「「「ギックゥ!!」」」


 私の問いに対し、マリネリースさんが答えた提案は、とてもじゃないが受け入れ難い物でした。


「そ、それは危険ですよ! 何が有るのか分かりませんし、ラインゴッドさんが帰ってくるまで入らないほうが良いです!」

「そうそう(小声)」「危険だよー(小声)」「止めた方が良いよー(小声)」

「そうは言っても……このまま全滅させても、「かかったな!」とか言いながらまた新しいのが飛び込んできそうだし」

「「「ギックゥン!!」」」


 反応が分かりやすい子達は置いといて、確かに、マリネリースさん達の言い分が正しかったら、このままじゃジリ貧です。……ここは、思い切って奥に行った方が良いんでしょうか?


「しかし、そうなると私はどうしたら良いんですか?」

「それは……個々に残しておくわけにも行かないし、一緒に来たら良いわ」

「そうですね……って、それじゃ私一人ぼっちじゃないですか!」


 あ、私にはピートちゃんが居ました。いや、でも駄目でしょ!


「死ねる自信しかありませんよ!」

「平気よ。今までの走りを見てみたけど、あなたの速力には誰も敵わない。敵に襲われたら一心不乱に走り回れば大丈夫よ」

「で、でも……!」


 私が講義しようとしたその時、後ろから来た誰かにぶつかりました。


「……話し合いは、終わったか?」


 それはカトリックさんでした。向こうで喧嘩している2人と、こちらで会議している3人を、1人で守っていたみたいです。


 カトリックさん、ごめんなさい。



「私は、もう戦闘は切り上げるべきだと思うのだけれど」

「……引き返すのは?」

「流石にさせてくれなさそうでござる」

「……じゃあ、それでいい」


 とんとん拍子に話が進んでしまいました。

 こ、このままでは、私が独りぼっちでダンジョンで彷徨う事に……これはいけません!


「あ、あの、私ははんt「よし、それで行こう」


 手遅れでした! もうどうにでもなれーー!!



「させぬ」「いかせぬ」「やらせぬ!」

「『アクアバインド』」

「「「ぬぅ!?」」」


 飛び込んできた6人のカムラちゃんに、覆いかぶさる水で出来た網。

 どうやら、ミスティさんの魔法のようです。


「油断したわね! 魔法さえ発動できればこっちの物よ!」

「……よくやった。ついでに殺していこう」

「外道か!?」「動けぬ少女に無理やr……ガハッ!」「おのれ、許さ……グフッ」「せめて正面から戦って……ゴホッ!」「あとで覚えていr……ブグ」


 網に掛かった少女一人一人に剣を突き刺していくカトリックさんの姿は、どうしても聖騎士には見えませんでした。


「……よし、増援が来る前に行くぞ」

「そうね。じゃあ私はこちらの道を」

「拙者はここで」

「……こっち、パンの匂い」

「では、私はこちらで」

「ああ、分かりました! こっちに行きます!!」


 こうして、私達は結局、道を分ける事になってしまいました。

 この先、どんなダンジョンが待っているのか、私には予想すら付きません。



 ☆



「……外道だ」

『外道ですね』

「……(外道)」

「わ、我が分身が……うぅ、すまない、主様」


 拠点にて、あのパーティーの戦闘を除いていた俺たちだが、やはりAランクは一筋縄じゃいかない事がわかった。……いや、元々倒せるとは思ってなかったんだけどな。


 ここにいる『蜈蚣人族ピートロイド』のカムラは、21人で1人という、集合体モンスターだ。

 今、ダンジョン内を徘徊している『チェインスパイダーキッズ』と同じような物だな。


 集合体モンスターには1つの共通点が有る。


 それは、人数が減っても、部位欠損扱いとして、回復薬を使えば復活してしまうと言う事だ。

 その分、1人1人の能力がかなり弱くなってしまうのだが、スキルなどは個人で十全に使えるため、『気配遮断』や『消音』など、隠密系のスキルを覚えさせた(モンスター用スキルストーン:1個5000DP)


 モンスターにスキルを覚えさせるだけで大分楽になると教えてくれた、先輩マスターさん達に感謝だ。


「今回の目的は、延々と復活するお前に業を煮やしたあいつらが、自分から分断される道を選ぶ事だ。カムラは十分やってくれたよ」

「ぬ、主様ぁ……」


 覆面の上からでもちんまい事がよく分かる頭を撫でてやると、カムラは泣きそうな顔で俺のわき腹に頭を埋めて来た。


「でも、でも、「出来るなら倒して来い」って言われたのに……主様の期待に応えられず……」

「出来るならって言っただろ。俺のオーダーはしっかりこなしてくれたよ」

「うぅうう、力不足でした。今の我らでは、主様の希望には応えられても、期待には応えられぬのですね」

「いや、重いから」


 そこまで申し訳なく思う必要は無いんだが……あー、でも、俺が無謀な事頼んだのが悪いか。


「大丈夫だ。俺が、出来るように強くしてやる」

「……まことですか?」

「ああ。お前には戦闘系のスキルをほとんど覚えさせてないからな。覚えればそのうち、真っ向勝負でAランクに勝てるようになるよ」

「主様ぁ!!」


 号泣された。何故だ。


『……』

「……(ジトー)」

「な、何だよ」


 ガイドちゃんとハクビに変な目で見られてしまった。マジで何でだ。


「主様のため……このカムラ、(主に20人分の)命に代えて強くなります!」

「お、おう……」


 まあ、ヤル気になってくれたようで何よりだ。


(主様は私を強くしてくれる。つまり、私に期待してくれている! その期待、裏切らないように頑張る! いや、主様に頼ってばかりでは駄目だ。自らで修練を積まなければ意味が無い! まずは実戦で経験を積むべき? であれば、私の強みは数。数で圧倒する戦いを……となれば、私の戦闘区域はなるべく広い所で……)



 こうして、忍ばない忍びというジャンルが誕生したと言う事を、俺はまだ知らない。


カムラちゃんのキャラ固定完了。

忍ばない忍び。萌えませんか?


ちなみに、火狩の呼び方は「あるじさま」ではなく、「ぬしさま」です。

理由はなんとなくです。


集団の強みは、数の差だけではありません。数で押すタイプの敵が、わざわざその数を捨てる事により、「何か秘策でもあるんじゃないか」あるいは、「相手にはこちらを倒す以外の意図があるんじゃないか」と、深読みさせる事ができます。

これによりミスリードをさせるというのが、力ずくではない、集団戦の別の戦い方ですね。

今回はそれを使いました。明らかに、サシの勝負で勝てないカムラちゃんが、わざとその数を減らし、相手と同数になる事で、「あいつは勝つ気が無い」、つまり、「それ以外の目的がある」と思わせました。

考案ハクビちゃん。



今までは、登場した虫人達は、紹介も程ほどに、次の子が出てきていましたが、少しずつ、個人に焦点を置いていこうと考え始めました。

数出すより、1人1人の質を上げねば!


カムラ「 」

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