第22話 Cランクに備えて
更新遅れて申し訳ありません!
言い訳は活動報告にて行っておりますので、どうかご容赦を!
今回は戦闘準備回の最終話となります。
さあ、次回からはようやく戦闘! 私が一番苦手なところです!
ヘルプ! ヘルプマイン!(英語赤点)
そして、皆様に嬉しいご報告! なんと…………
私、昨日久しぶりに本物のゴキブリを見ました!
いやぁ、最近めっきり現れなくなったんで、絶滅しちゃったかな? なんて不謹慎な考えをしていたのですが……陰でひっそり暮らしていたみたいですね。
思わず素手で拾い上げてナデナデしたあと、「森へお帰り」してあげました。
やっぱり可愛いね、虫。
『以上が、アゲハからの報告です』
「へぇ~、Aランク冒険者の偵察部隊ね。問題は、そこに混じったCランク?」
『そうですね。どういった理由で参加したのかは分かりませんでしたが、ギルドのトップがわざわざ個人に対して任務を言い渡したというだけで、警戒する要素はありますね』
「……相手の切り札とか?」
『そう考えていいでしょう。真っ先に潰しますか?』
「先手必勝。強い奴は戦う前に倒せばいい」
どーも。ピアノとオルガンの違いがわからない群城火狩だ。
さて、今まではダンジョン作ったり遊んだり企んだり、フラフラとした生活をしていたが、今アゲハ達が入手した情報により、この生活を続けるわけにはいかないという事がよく分かった。
Aランクと言われても、この世界の基準がよく分かっていないからどの程度の強さなのかはわからないのだが……。
どうやら、怪物レベルに足を一歩踏み入れている状態とのことなので、要注意である。
「で、アゲハはいつ帰ってこれそうなんだ?」
『分かりませんね。確かな筋の情報源を見つけたそうで、これからはそこに付きっきりになるそうですから、しばらくは帰れないと思いますよ』
「そうか……」
ん? アゲハが帰ってきていないのにどうして報告が聞けるのかって? それは、暇潰しがてら覗いていた通信販売の商品の中で、こんなのを見つけたからだ。
▼
【伝虫】
系統:『虫』『電気』
属性:雷
成長:無
魔力依存度:極低
食事:不要
【初期所持スキル】
『電気信号Lvー』『音響Lvー』
体から微弱な電気を発するとても小さな羽虫。群の仲間とは電気を伝ってコミュニケーションをとっている。群から離れても、電気は繋がっているため、すぐに戻ることができる。
音によって羽を振動させ、その振動を電気として伝達することができ、その電気は他の個体に伝わるため、羽を震わせ、音を再現することが出来る。
▲
言ってしまえば携帯電話だ。5cmくらいの小さな虫で、ビンにでも入れておけば、どこにでも入れることができるので、利便性は高い。
まあ、欠点といえば、ダンジョン外に出すために、名前をつけてDPを支払わなければならない点なんだが……そこは通話料と思って我慢しよう。
『それで、どうするんですか? 報告の内容によりますと、明日には来てしまいますよ』
そうだな。アゲハが言うには、今から2日前には町に着き、昨日森に向かったそうだ。
つまり、もう猶予は全くない。
「……最後の仕上げだ。余ってるDP全部使うぞ」
俺にとって、一世一代の大決戦の始まりである。
▼
【支援求む】俺を救ってくれ
1:名無しのDM ID:6464
明日攻めてくる12人のAランク冒険者と1人のCランク冒険者に一泡吹かせたいです。助けて下さい
2:名無しのDM ID:79163
kwsk
3:名無しのDM ID:00736
kwsk
4:名無しのDM ID:19871
腹筋しようぜ
▲
▼
789:名無しの虫っ娘マスターさん
ということになりましたww
790:名無しのゴブリンマスター
何があったし
791:名無しのアンデッドマスター
主にそのCランクに何があったし
792:名無しの妖怪マスター
そして虫には草生やしてる余裕無いでしょ
793:名無しの獣マスター
とりま、知り合いの虫系ダンジョン当たってきた。
794:名無しの妖精マスター
虫さん! 頑張ってくださいね! 私の妖精達が作ったポーションとか売りますね!
795:名無しの虫っ娘マスターさん
本当にありがとうございます。この戦いが終わったら、またここで雑談しましょう。
796:名無しのゴブリンマスターさん
おいやめろ
797:名無しの妖怪マスターさん
おいやめろばか
798:名無しの獣マスターさん
おいばかやめろ
799:名無しのアンデッドマスターさん
ようこそ、アンデッドの世界へ
800:名無しの妖精マスターさん
はい! また色々お話しましょう! 頑張って!
▲
『各モンスターは揃いましたか?』
「バッチリだ」
『罠の設置に問題は?』
「一切無い」
『通路と隠し扉はしっかり機能していますか?』
「ああ。問題は無い」
『ハンカチとティッシュ、定期入れは持ちましたか?』
「あんたはお母さんか!」
『誰がお母さんですか』
1日掛けて、準備は整った。
では、折角なのでダンジョンの説明でもしようか。
今は、入口と最奥に置かれている、『比較的優しい』妨害ギミックについて教えよう。
横幅13km、縦幅7kmの長方形のこのダンジョン。入口は横線の丁度中点にある。
ダンジョンに入ると、とても小さな小部屋になっており、目前には2つの扉がある。
いきなり道が2つに分かれているのだ。ここで道を間違えると、拠点までたどり着く事はできない。
正解は2つに1つ。最初っから運だめしってわけだ。
ちなみに、この扉の続く先は一定時間毎に入れ替わるため、道順を覚えても無意味だ。
完全な運試しである。
……とでも思ったか?
実は、この小部屋にはもう一つ、ひっそりと隠し扉が設置されている。
この隠し扉の先には、幅3mの通路が続いているのだが……。
その扉の先は……行き止まり確定である。
しかも、無駄に長い。普通に歩くと奥まで3日はかかるくらい長い。
そして、本当に何もない。大量の虫モンスターを設置しているだけで、何もない1本道なのだ。
あ、そう言えば、道を完全に塞ぐように落とし穴も設置してたっけ。
縦幅1.5mの長方形の落とし穴で、何の仕掛けもなく、ただ穴に薄い足場を設置しただけで、据え置きの罠アイテムではない落とし穴だ。
……故に、盗賊などの、罠解除スキル持ちがいても無意味である。
この落とし穴は、足場を自前で用意するか、飛び越えるしかない。
たかが1.5mと侮るなかれ。落ちるかもしれないという恐怖にかられながらのジャンプとは、存分に体力を消耗するものである。
3日続く探索。虫モンスターによる生理的嫌悪。変わらない風景。解除できない落とし穴。火狩ドットコム。
しかし、奥の行き止まりに着いたくらいで怒ってちゃ、先が続かない。
実は、帰り道には虫モンスターの増員を予定しております。
これらの要素で相手の体力、精神力、食料を消費させ、やっとこさ戻ってきた所で、残りの二択である。
もう冒険する気は起きまい。
つまりは「隠し扉あんじゃんww絶対ここが正解だってww」と、調子こいてる奴が、痛い目を見るのである。
これが、入口の『優しい』罠。緊張や警戒をせず、友人宅へ遊びに行くレベルの気楽さで入って来てくれれば、おのずと回避出来るものである。
次は、再奥の罠。
奥には、ドーム状の大きな空間があり、半径は50mもある。
この部屋には一定間隔で、岩で出来た扉が置いてあり、その数は12個。
冒険者がここに足を踏み入れると、その全ての扉から、夥しい数の、様々な虫モンスターが雪崩込む。
部屋の中央には、【汝、いかなる時も背を見せぬ気概を示せ】という看板。
この世界の文字は、エルフ兄弟に教えてもらったので大体は書ける様になった。
まあつまり、四方八方から攻め寄せる虫達と、その看板を見た冒険者は……迎え撃つ。
ダンジョンの中には、何らかの条件をクリアしなければ、次の道が現れないという仕様の所もあるらしく、それを知っている冒険者なら、まず、必ず迎え撃つのだ。
それが、ダンジョンマスターのいる部屋に繋がる条件だと信じて。
……勿論、倒さないと出てこない道がある。
虫が1匹残らず倒された時、部屋の中央には1つの『転移用魔法陣』が現れ、看板の文字が変わる。
【力を示した汝に賞賛を。これより奥は今以上の危険が伴うであろう。覚悟無き者は去るべし。魔法陣を踏め。この先に希望はある】
虫達を倒した結果、この魔法陣が浮かび上がる。
この魔法陣を見たものは何を思うだろうか?
まず、賞賛云々は無視。
今以上の危険? 覚悟は出来ている。
覚悟無き者なんて今更過ぎる。
魔法陣を踏め、は多少警戒するかもしれないが、転移用だとわかれば問題ない。
その先に希望はある、というのは、ダンジョンマスターを倒し、攻略できるという意味ではないだろうか?
そんな事を思いながら、冒険者はボス戦に挑むため、転移するわけだ。
だが待ってほしい。
この看板の文字、おかしくはないか?
『これ以上奥は今以上の危険が伴う』と、『この先に希望はある』。
この二つの文章が並んでいる。これでは矛盾していないだろうか?
そもそも、『これ以上奥』と『この先』という二つの文章が、並んでいること自体がおかしい。
両方共同じ意味なのであれば、どちらかに統一すべきだ。
……そう、『同じ意味』ならな。
では、見直してみよう。この文章を。
【力を示した汝に賞賛を。これより奥は今以上の危険が伴うであろう。覚悟無き者は去るべし。魔法陣を踏め。その先に希望はある】
『覚悟無き者は去るべし』『魔法陣を踏め』『この先に希望はある』
……さて、勘の良い方ならもうお気づきだろう。
この魔法陣は……『ダンジョン入口』に続いている。
つまり、『覚悟無き者』は去るためにこの『魔法陣を踏め』。
危険の全くない、『希望』がそこにある。
と、いう意味である。
優しい俺は、疲れた体を癒すために、長い道のりを一瞬で引き返せるように、ショートカットルートを作ってあげたのである。
語彙力がある者はまず、この魔法陣を踏まないだろう。
……ちなみに、本当に俺の拠点に繋がっている道は、その大部屋に入る前の道を引き返し、100mほど歩いた先の通路の壁に出現している。
ちなみに、補足しておこう。
最初にあった分かれ道。その先は両方共、完全に同じ作りの通路で、最後の大部屋のギミックまでシンメトリーになっている。違いは、拠点への道が現れるか現れないかというそれだけである。
つまり、選んだ扉が当たりか外れかは、最後まで行かないと分からないという作りだ。
どうだ? 慈悲と自愛に溢れた最高のダンジョンだろう?
『素晴らしいです、火狩。あなたこそ本物のダンジョンマスターです』
「そんなほめんなよ。照れるだろうが」
さて、説明はここで終了。この罠にかかる冒険者を見物する時が、楽しみで仕方がない。
では、ここから行うのは最後の仕上げだ。心してかかるとしよう。
「ガイドちゃん。残りDPの換算」
『あと3580DPです。結構使いましたね』
3500……うん、充分間に合うな。
「では、これより新モンスターの召喚を行う!」
レベルが上がって召喚できるようになった3種類のモンスター。
そのうちの1種類は、『蜜蜂人族』
では、残りを召喚してしまおう。
『1種類は『蟻人族』です。こちらは、今現在増えている最中なので、今回は見逃しましょう』
「じゃあ、最後の1種類だ」
今まで忘れていたわけではない。ただ、召喚するタイミングが掴めなかったのだ。
うん、大丈夫だ。いま召喚するから問題ない。
『消費DPは1200です』
「多くね!?」
しまった。2体しか召喚できない。妖怪20足りないとはこの事か。
『マナは全てDPに変換してしまいましたし、どうしますか?』
「……あの野盗からの搾取分は?」
『2分後です』
「でかした」
こうして、今も彷徨う野盗から奪い取った15マナを変換し、DPを作った俺は、3体のモンスターを召喚する事にしたのだ。
「さあ、現れよ、俺の新モンスター!!」
『口上は必要ありませんよ。……3600DPを消費し、モンスターの召喚を実行します』
そして、俺の目の前の魔法陣からは…………予想だにしないほど、『巨大な影』が現れた。
「……虫人だよな?」
『そのはずです』
一体、この影の正体は、なんだというのだろうか……。
もう体調が限界です。布団に潜って執筆していたら、3分に1回、気絶してしまいます。
でも頑張ったよ! 褒めて!
皆様の応援が私の可動エネルギーです。手足がもげても執筆はやめません!
さあ、この身の熱エネルギーを変換するんだ! 私!
ちなみに、ハクビちゃんは説明している火狩の横でずっと寝ていました。




