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俺が育てたモンスターでダンジョンハーレム  作者: どげざむらい
第一章 蟻集まって木揺がす
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第21話 表の暗躍

 遠征組の今をお伝え。

 さて、決戦の日は近いぞ。どうする火狩!






 私、昨日ついに倒れました。




 原因はタンスの角です。

 ぶつけて思わず倒れました。

 悶絶してたらいつの間にか夜が明けてました。

 というか昼でした。

 

 更新、遅れてしまい申し訳ございませんでした。


 金曜は本当に忙しいのです。毎週タンスの角に足をぶつけます。真に申し訳ございません。

『また『悪夢の巣窟』ダンジョンマスターが新たに出品したようです』

「購入」

『はい。『ビッグローチ』を200匹購入します』

「……多くね?」

「……♪」



 ハロー。甘味なら飴が好きな群城火狩だ。

 今は特にやる事もなく、余ったDPをふんだんに無駄遣いして作った『リフレッシュルーム』で、憩いのひと時を過ごしている。

 なお、マッサージチェアに1000DP使用した模様。



「ハクビ、どうだ?」

「……(幸せ)」


 ハクビも、マッサージチェアに骨抜きにされ、顔が弛みまくっている。

 とは言っても、鼻から上しか見えないが。




『火狩、遊んでいる暇など無いのではないですか?』


 呆れたようなガイドちゃんの声……最近、毎日聞くようになったな。


「まあ、そうだけど、ずっと気を張り詰めてるのも疲れるだろ? 休める時は休む。これ大事な」

『日を追うごとに怠けてますね。まあ、最低限の仕事はしていますのでそれほどうるさくは言いませんが』

「充分うるさいけどな」

『こう、毎日。休日のお父さんみたいにだらけられても』

「誰がお父さんか」


 まあ、ガイドちゃんの言い分も最もである。誰も来なくて暇だからといって、寝て過ごしている余裕があるのかと聞かれたら首を傾げざるを得ない。

 しかし、だからといって何かやるべき事があるかと言われても困る。


 張り切りすぎて、もう既にダンジョンの構築は終わってしまった。

 じゃあ後は、何をすればいいのだろうか。



『ダンジョンに遊びでも取り入れるのはどうでしょうか?』

「……遊びだと?」


 その提案は、ガイドちゃんらしからぬ物だった。


「どういうことだ?」

『他のダンジョンマスターの作るダンジョンをいくつか調べてみました。その中には、扉を開けるのに謎解き要素を取り入れたり、ある特定のモンスターの体内に鍵を埋め込んだりと、簡単に進めないような作りにしているようです。他にも、モンスターを使ったシューティングゲームや、大型モンスターに騎乗させてレーシングゲームを行なったりしている所もあります』


 随分楽しそうなダンジョンである。

 なお、そういった遊び心満載のダンジョンの周りには町が出来たり、リピーターが続出したりしているそうだ。

 異世界でも娯楽は大人気らしい。


『火狩も作ってみませんか? そういったダンジョンは攻略される危険も低いそうですよ?』

「そりゃ、攻略すると消えるからな。楽しいアトラクションはそのまま使いたいだろうな」

『人の出入りが激しいため、撃退ポイントも稼げますよ』


 面白いアイデアだ。……折角作り直したダンジョンをもう一度崩すのも手間だし、次の、3階層で使うとしよう。


「じゃあ、どんな感じがいいか考えないとな」

『虫を上手く取り入れる感じがよいのではないでしょうか?』

「……(楽しいのがいいな~)」


 今日は、1日充実しそうだ。



 

 ★




「……はぁ、暇」


 誰も座っていないカウンター席を眺めながら、テーブルに突っ伏すのは、緑のレザーコートを着た少女。


 ここは、『虫の一服』。命名は火狩である。


 この少女、キリノは、この名前についてはノーコメントを貫いているが、可能ならば、自分で改名したいと思っていたりいなかったりする。


「……誰か、来ないかなぁ」


 この店の常連は全員、今はいない。

 アリッサはいつも誰かを連れてやって来ていたが、今は外へ修行に行っている。

 アゲハは外の情報を求めて町へ旅立った。

 自分の同期だったカーリィは、何故か冒険者に憧れて飛び出してしまった。


 ……というか、カーリィに冒険者が務まるのか、キリノにとってはそれが心配だった。


 

 つまり、今はこの店に来る人がいない。

 キリノは、退屈だった。



「……戦いたい」


 ボソリと呟いた言葉は、心からのキリノの願い。

 キリノは、自分が、戦うために生きているのだと思う。


 戦い、貪り食うのが生き甲斐だと。


「新鮮な……肉。戦い勝ち取った、敵の肉」


 キリノは、殺した相手を食らう事が大好きだ。

 戦うことがボスのためになる。自分も楽しめる。キリノは今、とても戦いたがっている。


「……退屈」


 ボスが購入した肉で我慢している現状。キリノは、大きなフラストレーションを溜め込んでいた。

 そこに、この退屈である。いつもは接客をすることで誤魔化していたが、今日はそうも行かない。


「……満足できない」


 キリノは、店がある上に、戦闘となると理性を失う。

 そのため、今回の遠征には立候補しなかったが……。


 何故立候補しなかったのかと、今更ながらに後悔しているキリノであった。


「……お腹空いた」




 ☆






「……あの、なんと言いました?」


 私は、『セソの町』にあるギルドの受付担当、リリアです。

 ここでは、依頼の受注、発注、そして……冒険者になる方の登録を行なうのですが。


「えっとぉ……冒険者にぃ、なりたいなってぇ」

「……本気ですか?」


 私の目の前にいるのは、裏通りのスラムに住んでいたのだろう、ボロボロの服を身に纏った子供。

 拾い物なのか、そのサイズは全く合っていない大人もの。

 顔の下半分は、皮製で、金具の付いたマスクで隠しています。


 顔つきからは性別の判断も難しいけれど、ただ、年端も行かない子供であることは間違いありません。


「……あの、聞いておきますが、冒険者の仕事がどんなものなのかは、知っていますか?」

「うん、分かるよぉ。魔物をぉ、倒したりするんだよねぇ」


 ……どうやら、本気で冒険者になりたいと思っているみたいです。……しかし。


「……本気ですか?」

「それさっきも聞いたよぉ」


 こんな子供……ましてや、装備の1つも買えなさそうなスラムの子供。町の近くの草原にいる、弱い魔物にすらすぐに殺されてしまいそうなのです。


 一応、町の中で出来るおつかいの様な依頼もあるのですが……。力の無い子供を採用してくれるような人はいません。


「あの……残念ですが、あなたにはまだ冒険者は……」

「出来ないの?」

「うっ……」


 とてもきれいな瞳を返されてしまいました。しかし、この子が冒険者になるということは、それだけ命の危険があるという事。……ここは、何が何でも冒険者は諦めてもらわなければなりません。


 全てはこの子のために!


「でもぉ、私ぃ、冒険者登録可能条件はぁ、ぜ~んぶ満たしてるよぉ?」

「うぐ!?」


 どうしてこの子がギルドの規則を知っているのかは分かりませんが、確かにその通り。


 登録が出来ないのは、


 ・犯罪者である事。


 ・理性の無い魔物である事


 ・ギルドを永久解雇されている事。


 他にもいっぱいあるけれど、とにかく、この子はそのうちの1つも当て嵌まっていません。


 ……つまり、冒険者登録が、出来てしまいます。



「あ、あの。しかし……冒険者登録には、登録料として銀貨5枚が」

「あるよぉ~」

「えぇ!?」


 銀貨五枚は、1人の人間が一ヵ月は生活できる金額。明日をも知れぬスラム街の住人からしたら、夢にも見る大金です。

 まさか、持っているなんて思っても見なかったです。


「ど~おぉ? いいでしょぅ?」

「え……その……」


 どうしましょう。これでは本当に、冒険者登録されてしまいます……。


「……駄目…………なの?」

「ウグフッ!?」


 ああ、駄目です。そんな目で見つめられたら……もう!




「わーいぃ、ありがとぉ、お姉さぁん」

「……うぅ」


 純朴には勝てなかったです……。

 あ、そうそう。登録した時に知ったのですが、この子は女の子で、カーリィと言うそうです。


 カーリィちゃん……私は、絶対にあなたに危険な仕事はさせませんからね!! この力強く握り締めた拳に賭けて!!



「お姉さぁん。私ぃ、このお仕事がしたいなぁ」


 そして、嬉しそうに依頼書を見ていた彼女が持ってきたのは……




『フォレストハウンド討伐』


 北の森にいるフォレストハウンドを5体討伐する。

 討伐部位として、牙を10本納品する。




「……」

「……んぅ?」


 ……この後、彼女を説得するのに、およそ1時間を費やしました。









「お姉さぁん。これでい~ぃ?」

「…………依頼、完了です」


 何かの獣の牙を持って帰ってきた彼女に、私には、何も言い返す言葉がありませんでした。


「あははぁ(騎士の死体から吸った血が無くなる前にぃ、新しい血探さなきゃぁ)」



 人の血を吸って、ステータスを奪い取る。……目の前の少女が、そんな凶悪な能力を持っている事なんて、私には理解できない事でした。




 ★





「ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています」

「おお! 楽しかったぞ! 次はいつここに来てくれるんだ!?」

「明日もこの町で舞うつもりですの」

「君、かわいいね。僕の網に掛かってみない?」

「あら、私の翅はそう安々と蜘蛛の巣には掛かりません」


 町角にある小さな酒場。その一角のステージで、プロ級の舞を舞っていたのは2人の妖麗な女性。

 黄色と黒の刺繍を施した着物と、黒一色の着物の女性だった。

 背中には蝶の様な翅が付いているが、着物の模様が蝶をモチーフとしているのだ。その翅も、衣装の一部であろうとお客達は認識していた。


「いやぁ、良かったよ。アゲハちゃんと、コクイちゃんだっけ? 2人のおかげで、今日1日で1週間分の稼ぎが出たぜ」

「あら、それは良かったですわ」

「私達も、舞を披露する場を設ける事が出来て良かったです」


 それは、旅芸人と名乗る2人だった。

 彼女達は、この店に来て、「舞を見せる場所が欲しい」と店主にお願いをしたのだ。

 そこそこ人入りのある店だったため、たまにはこういった催しも面白そうだと思った店主は、2人を雇う事にした。



「はいよ、これが雇い料だ。ああ、そうだ。もう店仕舞いだしよ、一杯くらい飲んでくか?」


 厳つい顔だが、笑うと、見た目に反して優しげな表情を見せる店主。きっと、この人柄が客を呼んでいるのだろうと、2人の旅芸人、アゲハとコクイにはよく分かった。

 しかし、彼女達は別に、店主の笑顔に惹かれてこの店に来たわけではなかった。



「あら、ありがとうございますわ。では、折角ですので頂きましょうか」

「そうね、姉様。私もお客さんが飲んでいた時、美味しそうだと思っていたのよ」

「ああ、そうだ。では、店主さんの面白いお話をおつまみにしましょう」

「は? 俺のか?」

「それは名案ですわ。きっとお酒も美味しくなりますわね」


 そう言いはしゃぎ出す2人に、店主は苦笑いを浮かべながら立ち尽くす。




「……あんたら、誰かから俺の事でも聞いたのか?」


 その店主の様子は、さっきまでの朗らかな雰囲気とは打って変わって、険しいものとなっていた。


「……さて、何の事でしょうか。私は、店主さんがお話し上手なのではと思い、提案したのです」

「そうですわ。私、冒険者の事に興味がありますの。この町の、有名な冒険者さんって、どんなお方がいるのですか?」

「……あんたらの給料がなくなるぜ?」

「構いませんの」

「元より、舞える場があればそれで充分でしたから」

「……食えねえ奴らだ。……情報屋からただで情報を仕入れるたぁ、大したもんだぜ」


 そういい、店主……裏社会では有名な情報屋である男は、店に置いてある中でも1番装飾の豪華な瓶に手を掛けた。


「いい舞だったぜ、お嬢さん方。……また来な。今度は給料無しだけどな」

「ええ、そうさせてもらいますわ」

「では、店主さんの面白いお話、聞かせてもらいましょう」


 彼女達は、自分の役目……情報収集を、何の障害も無くこなしていく。


 少し前まで、無邪気な少女だったとは思えない2人の働きぶりに、2人の主人がどういった思いを馳せるのか、それはまだわからない。




                        ☆





「一定時間ごとに壁の向きが変わるとか」

『部屋に扉を2つ設置して見ましょう。運が良くないと先には進めないように』

[天井付近のモンスター移動用の通路の中に拠点までの道を作るとか]


 話し合い、筆談し合い、どんどん構成を練っていく。

 面白いダンジョンが出来上がりそうだな……さて、次の階層を作る時が楽しみだ。


「……(読め)」

[水攻めは? 運が良ければ溺れるし、食料も駄目にするよ。服が濡れたら動きも鈍くなるし、冷えたままだと体力も低下するし]

「ハクビ……なんて恐ろしい子」


 ついでに、仲間の意外な一面も見る事が出来ました(泣)


 カーリィの隠された能力をさりげなく明かしました。

 アゲハ達はお酒が飲めるようです。

 ダンジョン魔改造フラグ。


 視点移動の仕方を変えてみました。こっちのほうが見易いようでしたら、前の話もこの形に変えたいと思います。


 色々敷き詰めた結果、視点移動が多くなりました。前回共々、申し訳ございません。

 次回からは視点も落ち着いてくると思います。

 では、次は遅れないようにがんばりますので、これからもこの作品をよろしくお願いします。









 さて、今日は部屋の中に、カゲロウが5匹も入ってきました。おしりフリフリかわいいです。

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