表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/37

第1話 ダンジョンマスター

 続けて更新です。せめてダンジョンに入るまでは更新しなくては……。

 そういえば、この話を投稿する時に、すっごい似たような設定の話がランキング上位に上がってたんですよね。

 ……これ、年単位で時代遅れの小説なんですが、投稿して大丈夫なんでしょうかね? 誰かに怒られません? ……まあ、罵倒はご褒美なんですが(ぼそっ)

「君は群城火狩くんで間違いないかい?」

「え、はぁ。そうですが……ここどこですか? 俺さっきまで寝てたはずなんですけど」


 目を覚ましたら、目の前には冴えないスーツのおっさんがいた。状況さえ違えば、どう見てもただの気安いサラリーマンなんだが……。


 周囲を見渡しても、どこかの会社にありそうな会議室。おっさんは長机に座っており、俺のすぐ隣には一脚のパイプ椅子。……面接?


「まあ、話は落ち着いてからがいいだろうし、まずはそこに掛けたまえ」

「あ、はい」


 おっさんが指したパイプ椅子に腰を下ろし、俺はおっさんと同じ目線になって真正面に向き合う。


「……さて、それじゃあ話をしようか。色々聞きたいことはあると思うが、まずは私の話を聞いてくれると助かる。ああ、安心してくれ。君の質問には後でちゃんと答えるから」

「あ、はい」


 優しい口調で語りかけるおっさんに、少し緊張気味に答える。

 色々疑問はあるが、その答えを知っているのはここにいるおっさんだけだ。ここは素直に従っておいたほうが良いだろう。あながち悪い人にも見えないし。


「はは、普通はもっと混乱するものなんだけど……。うん、君は随分と状況判断力に長けているらしい」

「ありがとうございます」

「いやはや驚いたよ! どうやら今回はいい人材を拾ったね……」

「……?」


 何やらブツブツとつぶやくおっさん。人材……ね。俺をどこかの従業員にでもするつもりなのだろうか。


「おっと、まだ何も話していなかったね。僕としたことが面目ない。久しぶりに将来有望そうな子に出会えて気が高ぶってしまった」

「ああ、いえ。構いません。どうぞ続けて下さい」

「いや、いや……。よし、では本題に入ろうか。単刀直入で悪いが、君には、とある施設の経営を任せたいんだよ。群城火狩くん」


 おっさんははっきりと、そう俺に告げた。その目からは先程までの気安さなど、すっかり消えてしまっていて、その身全身からは歴戦の戦士もかくやという程の威圧的なオーラが滲みだしている。……かと言って、納得できるはずもない。


「なんでいきなり俺に? っていうか、初対面ですよね。俺とおっさん」

「ははは! そうだね。確かに君と僕は初対面だ。けど、僕は君のことを知っている。だからこうして接触したんだ」


 そう言うおっさんに、首をかしげる俺。人との交友がないわけではないが、こんなおっさんに知られるほど有名になった覚えもない。一体どこで俺のことを知ったのだろうか、このおっさんは。


「まあ、一つ言わせてもらえば、僕は神様なんだよ」

「ああ、そうだったんですか。それなら納得……できねえよ!?」


 神様? 神様って、あれだよね。世界創造したり何かを司ったりゲームのラスボスになったりインテル入ってたりするあの神だよね?


「うん、何かおかしな思考が混じっていたのは気にしないでおくとして、その神様の認識で間違いないよ。とは言っても、僕はそこまで偉大な神じゃない。末席も末席なんだけどね」

「……にわかには信じがたいが、ナチュラルに思考を読まれた以上、信じざるを得ない」


 そっか、神様か。……神様って、社員だったんだな。


「こ、この格好は好みだよ!」

「好みなの!? あんた尊敬するよ、マジで」


 仕事着を好みと言い切るとは、なんというか……この人には一生勝てない気がする!


「あ、あはは。あ、ええとだね。それで、僕が君に頼みたい仕事なんだけど、君にはこの世界とは別の、『異世界』に行って、『ダンジョン』を運営して欲しいんだ」

「は……異世界……ですか?」

「うん、そう。魔法があって伝説の生物が闊歩する、正真正銘のファンタジーな世界。君、そういうの好きでしょ?」

「はい、まあ……知識は人並みにありますが……、お、俺がですか?」


 異世界、ダンジョン……。ダンジョンって、あのダンジョンとかのことだよな? モンスターとか宝箱とかの。……でも、何のために?


「あの、質問いいですか?」

「うん?」

「その、ダンジョンの運営って、目的はなんですか?」

「ああ、そうだね。それは、その世界にある魔力を集めて貰うためだよ」

「魔力……ですか?」

「うん、そう。実は今、世界が崩壊の危機でさ。安定させるには魔力……マナが必要になるんだけど、生憎この世界にはないものだから、別の世界から送り届けて貰わなきゃいけないんだよ」

「へぇ、そうなんで……って、世界が、崩……壊……?」

「うんうん。でも、異世界側の神様ったら、ケチでさ、『ただでは渡せん!』っていうんだよ。こっちは生きるか死ぬかの瀬戸際だっていうのに。困ったもんだよね」

「それは……まあ、困りました……ね?」


 やばい、今、すっごい重要な言葉を聞いてしまったせいか、何も頭に入ってこない。


「でさ、いろいろ話し合ったんだけど、向こうの神様、ゲームが好きなんだよ」

「はあ、ゲームですか」


「うん。それで、じゃあ争奪戦でもしようってことになってね。こっちはダンジョンを通してマナを奪い、向こうは迷宮を攻略してそれを阻止するっていうゲーム」

「はあ、そうですか」


「うん、本当はこの話、秘密なんだけどね。だってそれじゃあ君達をゲームの駒にして遊んでるみたいだし、外聞悪いでしょ? でも、君は聡明そうだし、今のうちに暴露しといたほうが後々面倒にならないかなって思って全部説明することにしたんだよ」

「はあ、そうですか」


「うん。何か不満でも言われるかなって思ったんだけど、あんまり気にしてないみたいだね。それじゃあ、僕に協力して、ダンジョンの管理者……『ダンジョンマスター』になってくれるかな?」

「はあ、そうですか」




「…………あー。うん、大丈夫そう……かな」




 こうして俺は、『ダンジョンマスター』になったのだった。



 ☆



「あ、すみません。おっさん」

「えっと、僕、一応上司だし、普通に名前で読んでくれないかな? さっき教えたでしょ?」

「あ、はい。すみませんおっさん」

「……もういいや」


 なにか諦めの目をしているおっさんの目の前でダンジョンに関する資料を読み込む俺。

 さて、成り行きとは言え受けてしまったわけだし、責任もってやりますかね。



 じゃあ、ダンジョンに関する資料を簡単にまとめると、こうだ。



 ・ダンジョンは、地球から送られる人間が、異世界『ルーン』にて運営している。

 ・現在のダンジョンの数は135個。攻略済みのものを合わせると、全部で644個ある。

 ・異世界人はダンジョンの事を、かつて世界を征服しようとした魔王の力の残滓が生物化した存在、『ダンジョンマスター』が魔王の意思を引き継ぎ、世界を滅ぼそうとしていると思っている。

 ・ダンジョンには核が存在し、それが壊されればダンジョンは消滅する。

 ・ダンジョンマスターは人間に限らず、本人が望めばどんな姿であろうと変化できる。

 ・ダンジョンにはそれぞれ系統があり、それぞれに特色がある。

 ・ダンジョンの階層は、ダンジョンマスターのレベルによって最大数が変わる。

 ・ダンジョンマスターは死亡した場合、一度目に限り蘇生され、もう一度だけ、ダンジョンを最初から作り直して運営することができる。

 ・誰にでもお楽しみいただけるように、割とゲーム臭さしか残っていない。


 細かい説明は後でやるが、とりあえずはこんなもんである。


「あの、おっさん」

「ああ、うん。本当にその名前で固定なんだね。で、なんだい? 火狩くん」

「俺、いつ家に帰れるんですか?」

「え?」

「え?」


 ……え?


「いや、だって、運営ったっていつまでもそこにいるわけじゃないでしょう? 俺、家族いますし、今は夏休みだけど学校もありますし……」

「……火狩くん」

「は、はい?」

「……残念ながら君は帰れない」

「……え」

「だって、ダンジョンマスターに選ばれる人間は、全員決まって……『死んだ人間』なんだよ」

「…………」

「つまり、君はもう……死んでいるんだ」


 ……なんだよ。


 …………なんなんだよ、それ。


 …………それって、つまり……。














「心配事全部なくなったってことですね!」

「……え」


 いやー! 良かった良かった!


「いや、実はもう帰れないかも、っていうのは予想ついてたんですよ。この資料にも『帰省に関する事柄』なんてどこにも載ってないし。でも、いきなり俺が行方不明になったらみんな心配させちゃいますし、どーしよっかなーって。でも、死んでるんならあれですね。少し家族は悲しませちゃいますけど、うちの家族みんな奔放ですし、明日には平気な顔して俺の部屋片付けてますよ」

「え、い、いや……流石にそんなことは……うわぁ、ほんとにしてる」


 おや、どうやら俺が死んでからすでに一日経っているみたいだな。うん、行方不明だったらうちの親、いつまでも俺の帰りを待ってるだろうけど、死んだんだったら諦めつくし、……いやはや、本当に死者に優しい性格だよ、うちの家族は。死人からしたら、残した家族が悲しむのが一番嫌だからな。


「ま、そういうわけで、懸念事項もなくなりましたし、ぱーっと送って下さいよ」

「あ、うん。なんか納得いかないけどよくわかったよ。それじゃあ、君が快適なダンジョン生活を送れるように、いろいろサポートはさせてもらうけど、油断はしないようにね。あの世界には、いくつものダンジョンを滅ぼしてきた強力な冒険者がいるから」

「はい、わかってますよ。それでは! 第645番迷宮管理者、ダンジョンマスター群城火狩、行ってまいります!」


 俺のダンジョン生活は、これからだ!





「……全く、本当に不思議な子だったね。……火狩くんか。是非覚えておこう。彼はきっと、なにか楽しそうなことをやらかしてくれそうだしね。彼の迷宮が成長したら、色々サービスをあげてもいいかもしれないね。…………でも今はとりあえず、この言葉だけ送っておこう」







「日本迷宮組合・ルーン支部へようこそ」

 ごめんなさいやっぱりまだ入れませんでした。いつになったらダンジョン作るんだよおい。と思っている方、もうしばらくお待ちください。ああ、切らないで、切らないで。


きっと次は戦っていますから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ