第18話 兵団殲滅作戦
戦闘シーン、疲れました(白目)
内容が短調になっております。お気を付け下さい。
はぁ、もっと色んな虫娘達を出したいのに、タイミングが掴めない。
早めにアリスさんを再登場させるつもりだったのに忘れてたし……。
色々、上手くいかないご時世ですが、なんとか頑張っていきたいと思います、まる
「アイアンビートルじゃ追いつけないな。そりゃ鉄の塊だもんなぁ」
『あの個体は、元々階層ボスとして置かれるレベルのモンスターですからね。逃げ場のない広い空間で戦闘を行うことを前提にしています』
「ボスモンスターか。確かに追いかけっこは苦手そうだな。……引かせるか」
俺の命令をメモし、トテトテと走っていくハクビ。……健気だなぁ。
「それじゃ、お待ちかねの虫っ娘戦隊の登場だ」
「はぁっ……はぁっ…………に、逃げ切れましたかね?」
「どうやら、足は早くないみたいだな」
「生きてる……俺、生きてるよ……」
銀色の巨大なカブトムシから逃げ果せた俺達は、既にここがどこだかすらわからなくなってしまっていた。
「出口はどっちだ?」
「もう仇討ちどころじゃないですよ」
「……そうだな。これからは撤退戦だ」
本気を見せると言っておきながら、なんと情けないことか。だが、今は生き残って、このダンジョンの事を領主様……いや、国に報告する事が先決だ。
それがゆくゆくは、死んでいった部下達の意趣返しとなる。
「出口を探しながら歩くぞ。いいか? 少しの音も聞き逃すなよ。あいつらはどこから出てくるかわからない」
「ハッ!」
もう油断は禁物だ。これ以上の犠牲を出すわけには行かない。俺達は、一歩一歩慎重に歩みを進めだした。
「……おや、こんな所で人と会うとは奇遇ですねぇ。どうですか? 戦果の方は」
「……貴様、何者だ?」
歩き出してまだ10分も経っていないが、既に俺達は足を止めていた。
なぜなら、目の前には全身黒い鎧姿の、見たこともない女騎士が5人並んでいたからだ。
「……お前達、この国の兵ではないな? どこの所属だ」
「ははは、酷い事言わないで下さいよ。私達も一応この国 (にあるダンジョン)の所属ですよ?」
「嘘を言うな、俺はこの国の持つ全ての兵団、騎士団を把握している。お前達、紋章はないのか?」
「極秘部隊ですからね……それに、今も極秘任務の最中なんで、雇い主を明かすわけには行きません」
ヘルムに隠れ、口しか見えないが、その女騎士は声色も一切変えずにそう答える。
「……こんな所で、極秘任務と?」
「はい、そうですよ。だから、邪魔しないでくれるとありがたいです」
正直言って信用はできないが、こんな所で出会えた俺達以外の人間だ。あまり関係を悪くするのは愚策というものだ。
「わかった。これ以上の詮索はしない。……あと、このダンジョンを進むのであれば気を付けろよ。ここは予想以上に手ごわいぞ」
親切心のつもりで行った警告。だが、そんなものは不要とばかりに首を振る女騎士。それどころか、若干楽しそうに笑ってすらいる。
「あっはは、そんなの当たり前ですよ。このダンジョンは強いに決まってます」
「なんたって、ここはマスターのお作りになられた史上最高のダンジョンなんですから」
「そして、そこにむざむざと入り込んできたあなた達はとても邪魔なんです」
「だから、私達が排除してあげます」
「覚悟して下さいね? まあ、安心して下さい。……楽に殺してあげます」
一瞬、何を言っているのかわからなかった。
だが、黒騎士の先頭が、刃まで真っ黒な大剣を構えた時点で、俺は部下に指示を出した。
「敵襲! 全員構えろ!!」
命令は迅速に聞き届けられ、俺達は全員、腰から抜いた片手剣を前に突き出した。
「……お互い、楽しむとしましょう」
敵は5人。持っている武器はバラバラだ。
右はじから、短槍の二刀流、鎖付きのモーニングスター、両刃の大剣、背丈より大きい大盾、無骨なナックル。全員が前衛向けという攻撃的な構成で、かなりクセの強い武器ばかりだ。
だが、その武器を構える姿は歴戦の戦士を思わせるほど様になっている。
これは一筋縄ではいかない。長年戦ってきた俺の勘が、そう告げていた。
「アリエル」
「アリッサっス」
「アリアンヌ」
「……アリオーラ」
「アリネシア」
『我ら、✝漆黒蟻騎士団✝!!』
「……中二臭さ全開で行ったんだけど、やっぱ恥ずかしかったかね、あの名前」
『さあ、知りませんよそんなの」
「……♪(火狩の考えた名前は全部良い♪)」
裏ではそんな会話があったとかなかったとか。
「とりゃーっ! っス!」
「グッ! まだまだァ!!」
「おお、頑丈っスね。あたしの鉄球を受けてもヒビしか入らないんスか、その盾」
「マジかよ……アダマンタイト製の超強化盾だぞ……?」
「先輩! 助太刀しますよ!」
「おお、マルセイか! 助かる」
「おぉ? 2対1っスか。こりゃー、厄介っスね」
「ハァ!」
「おっと、手数だけじゃ通らねえぜ! 槍を2本持っても、貫けなけりゃただの棒きれだ!」
「一般兵かと思いましたが、随分といい装備をしているようですね」
「領主様に恵まれていてね。俺達みたいな兵士の端くれ1人1人にいいもん与えてくれてんだよ」
「その鎧……素材は?」
「ミスリルだ。魔法攻撃も通さない優れ物だぜ」
「……私は分が悪いみたいですね」
「わかってんなら諦めて殺されやがれ!!」
「ウォオオ!!」
「…………重い?」
「どうだ! 『衝撃』のエンチャントの付いた攻撃は! その程度の盾で防げると思うなよ!」
「…………」
「はぁ!」
「ふんっ! フヌゥ!」
「すばしっこいですね」
「『名馬の具足』は、歩いている時でも、まるで馬に乗っているかのような機動力を得る魔法具! その重そうな拳も、当たらなければどうということはない!」
「……どうやら、こちらが優勢のようだな」
「口を開く余裕があるのですか」
「ああ、あるさ!」
「っ!!」
黒騎士との戦闘が始まり、俺は敵のリーダー格と思われる大剣の騎士……アリアンヌと対峙していた。
凄まじい腕力。そして、敵の懐に踏み込む度胸もある。
騎士として、これほど優れた逸材も中々いないだろう。
……だが、いや……だからこそ、勿体無いな。
「お前達は、『経験不足』だな」
「…………」
俺の発言に対する回答は、無言の攻撃だった。
俺はその、岩すら砕きそうな一撃を、剣の腹で受け流す。
「お前達には力はあるが、技術が足りない。型の練習をしていないのか? 動きにムラがあるぞ! ほら隙だらけだ」
「っ!!」
アリアンヌが剣を振り上げた時、俺はその剥き出しの胴体を横から切り払う。
鎧が頑丈だったのか、傷一つ付かなかったが、それでも意表は突けた。
動きが止まったアリアンヌに、素早く足払いを仕掛ける。
「クゥッ!?」
大剣の重さもあって、アリアンヌは受身も取れずに地面に倒れる。
慌てて起き上がろうとするが、俺はその隙を与えず、首元に剣を突き出す。
「終わりだ。何が目的で俺達を襲ったのか話してもらおうか」
先程、ここがマスターの作ったダンジョンだとか言っていたな。……まさかとは思うが、この騎士、ダンジョンモンスターなのか?
「…………」
「だんまりか。もう少し抵抗してくると思ったのだがな」
顔も上げず、抵抗らしい抵抗も見せないままの相手に、少し怪訝な想いを感じながらも、俺は拘束するために身を屈める。
その瞬間、アリアンヌが囁く声が聞こえた。
「…………人は、勝利を確信した時が最も油断する」
「……何?
俺はその時になって気付いた。周りの戦闘音が、止んでいることに。
「しまっ!」
後ろを振り向こうとした瞬間、俺は頭に強い衝撃を受けた。
「駄目っスよ。騎士と戦ってる感覚じゃ。あたしらはモンスターなんスから。卑怯上等っス」
俺が見たのは、10人に増えていた、黒騎士達が並んでいる姿だった。
「伏兵には注意しておくべきでしたね。隊長さん」
こうして、騎士団襲撃事件は、幕を下ろしたのだった。
「お疲れ様。蟻人族の皆。騎士道精神に反する作戦だったのに、しっかり命令通り遂行してくれてありがとう。俺はお前達に余すことのない賞賛を送る」
「いえ、全てはマスターのご意志のままに」
「マスターがあたし達を守るために立ててくれた作戦だって分かってるっス!」
「感謝こそすれ、今回の作戦を批判する理由はございません」
ど~も。臆病風に吹かれて奇襲作戦なんて立てちまった群城火狩だ。
まあ、今回の相手は、隊長とか言う奴が、レベル50くらいあったから仕方なく立てた作戦だ。
まあ、こっちの最大レベル2だし、真っ向勝負で勝てるとは思ってなかったし。
「さて、今回の戦闘で各々、学ぶものもあったと思う。それを糧に、これからも精進してくれ」
「はい。今回、我々の人との戦いの経験の浅さが浮き彫りになりました」
「そのため、模擬戦を中心にこれからの訓練を行っていこうと考えております」
「あと、型を作って反復練習もするっス!」
「うん、方向性を決められたのはいい事だな。じゃあ、これからもこのダンジョン……俺達のために、頑張ってくれ」
「「「「「ありがとうございます!!」」」」」
成長を促すという意味でも蟻娘達に戦闘をさせたわけだ。さて、後はこの子達1人1人の努力次第で、どんどん強くなっていってくれるだろう。
「取り敢えず、よくやってくれた。後はゆっくり休んでくれ」
「「「「「了解!」」」」」
解散、と言うと、ぞろぞろと帰っていく蟻娘達。……喫茶店で満喫していた3人には少し悪いこともしちゃったかな。……まあ、しかし。
「本当に忙しくなるのはこれからだな」
『どういうことですか? 火狩』
「さっきは何も考えず攻撃しちまったけどさ、よくよく考えたら、あれ、誰かの送り込んだ騎士団だろ?」
『……そのようでしたね』
「……だったらさ、それ全滅させちゃったって事は……また来るよな」
『……生存者の救出、あるいは……騎士団を全滅に追い込む様な、危険地帯の探索。人は確実に来ますね』
そうだ。危ないのはこれからだ。もう、今までみたいに隠れるだけじゃ行けなくなった。
これからは…………本気でやらなきゃ、やられる。
「絶対、今回の奴らより強いよな?」
『そうですね』
「蟻娘達は、勝てなかったな」
『……そうですね』
「圧倒的レベル不足だ」
『そうですね」
「…………俺は、迷宮の外に、あいつらを出す」
『……それは?』
「強化の旅だ。強くなって、帰って来てもらう」
受身じゃ経験は積めない。
だからこそ、俺はあいつらを修行の旅に出してやることにした。
「幸い、虫モンスターは割と通用するみたいだった。外に出すなら今のうちなんだよ。……まだここの存在が暴かれていない、今なんだ」
『……了解しました。幸い、今回の戦闘でマナは十分貯まりました。今なら、外出コストを払っても、特に問題はありません」
善は急げとも言う。今から準備を整えよう。
……決行は明後日。明日は1日休ませて……それから、彼女達の強化作戦を始めよう。
数日後、とある館
「お嬢様、ご報告が」
「なんですか? できれば手短にお願い。私今から街に出るんですから」
「……護衛は?」
「そんなのいたら息もつけないじゃない」
「……またですか」
「いいでしょ。それより報告は?」
「……はい。実は、先日森に送り込んだ兵団ですが……」
「ああ、盗賊を捉えに行かせたわね。で、盗賊は見つかったの?」
「それが、見つからず……それどころか、数名が行方不明に」
「はぁっ!? 行方不明!? 誰が?」
「……部隊長の、クライゼルとその班員全員が」
「嘘……あのクライゼルさんが?」
「……お嬢様の、剣の指南をされていました、あのクライゼルです」
「……そう。分かったわ。報告ご苦労様。下がっていいわ」
「かしこまりました。……お嬢様、何卒、変な気を起こさぬように」
「そんなの分かっているわ。……私ももう、領主なんだからね……そこまで勝手な行動は起こさないわ」
「……はい。では、失礼します」
「……………………そう、クライゼルが……。なるほどね…………」
「少しは楽しめそうじゃない。フフッ」
意味深な領主様登場に加えて、蟻娘達の強化フラグです。
蟻は世界最強という話はよく聞きますが、この作品では弱い部類に入ります。蟻さん達は、軍団にしたいので、バランス調整の末、こういった形になってしまいました。残念無念。
まだレベル1なので、兵士風情に負けそうになってしまいますが、これからの成長にご期待下さい。
それと先日、台所に虫が出た! と祖母が騒いでおりました。
便所コオロギ! と言っていたので、ああ、カマドウマか。と思い、私も台所へ。
我が家の虫担当は私なので。カマドウマさんは捕まえて外に逃がすつもりでした。
しかし、その日に限って、祖母が殺虫剤を手に、カマドウマさんを殺害していたのです!
殺虫現場です。警察に通報しないと……(混乱)
まあ、今更なんで殺したんだ! とか言っても、頭がおかしいと思われるので、その時は心の中で合掌するだけにとどまりました。……虫好きは私だけなんです。
しかし、その瞬間に、カマドウマのお腹から細長いものがニュルニュルと……。
ハリガネムシさんに侵されていた様です。さすがの私も寄生虫ラブとは言えません。
これは、カマドウマさん的には、殺されて良かったというべきなのか、判断に困ってしまいました。
いくら彼らでも、操られるだけの一生は嫌だと思いますし……良かったんですかね?
その後、悲鳴を上げながらハリガネムシさんに殺虫剤をぶちまける祖母の姿が確認されましたが、それじゃ死にませんよww
おしまい(マジでくだらない話でごめんなさい)




