本当かよ!?
僕は、悶々としたまま、仕事に戻った。
みんなが、爆笑した理由が全然、わからなかった。その後も、ずっと心に引っ掛かっていた。
仕事が終わり、会社のロッカーで着替えをしていたら、休憩中に、その場にいた、先輩が入ってきた。
着替えている先輩に、僕は、聞いた。
「村田さんが、笑わなくなった理由って何なんですか?」
先輩は、着替えながら、少し間を置いて話し始めた。
「お前の言うとおり、村田が結婚した、奥さんが理由なのは、間違いないんだよ。それがさ、俺達、会社の仲の良い同僚が村田の結婚式に出席したんだよ。そしたら、本当に絵にかいたようなラブラブな二人でな。式の流れで、二人がキスをする演出があってさ。その時に、奥さんが言ったんだ。
『これからは、私だけに微笑んで』
」って。それから、結婚式でも、村田は笑わずに、最後までいて、会社に出社してからも、あんな表情だ。あいつの笑った顔は、見たことないよ」
「本当ですか!?そんな話なんですか?!じゃあ、村田さん、家に帰ると、奥さんには、奥さんだけには、僕の見たことのないスマイルを捧げていると!?」
僕は、ドキマキして言うと先輩は、
「バカだろ、村田は」
と笑いながら帰って行った。
僕は、しばらく放心状態だった。
どのくらい時間が経っただろう。村田さんが、ロッカールームに入ってきて、着替え始めた。
「お、お疲れ様です!」
僕が、そういうと、
村田さんは、無表情で、
「おつかれ!」
と言った。
僕は、先にロッカールームを出た。駐車場の自分の車に乗り込み、車を発信させる。
信号で止まる。
「『私だけに微笑んで』かぁ・・・僕も言われてみたいな!」
僕は、笑った。大声で車で笑った。
(村田さん、僕は、憧れるよ!村田さんにも、村田さんの奥さんにも・・
バカでいい、僕も、そんなバカになりたいな!)
信号が青になる。僕は、笑い続けながら、車を発信させた。
(FINE)




