エイリアン
地球の環境危機により、「高度な文明」を築いた『人類』の未来への存続を託されたエリート宇宙移民に選ばれた護は、移住先の惑星に向かうが、そこで究極の選択をしなければならない思わぬ事態が・・・。果たして人類は存続できるのか?
「・・・近い将来、地球は人類が住めない星になっていくんでしょうね。」
護は宇宙船のコックピットの中で、無限に広がる大宇宙を漫然と見ていて、ふと子供の頃のことを思い出した。不思議なもので、その場面だけは妙に細かいところまで覚えている。
あれは、小学4年生の頃だったろうか。テレビのワイドショー番組で、司会者がしかめっ面で、しかし、どこか他人事のように、このままでは地球が数十年後には破滅するだろうというようなことを話していた。
「母さん、大変だ!地球に住めなくなっちゃうんだって。どうしたらいいの?」
護は、恐ろしくなって、母親に訴えた。しかし、母親は、護を睨みつけて言った。
「いい加減、くだらないテレビなんか見てないで宿題を早くやりなさい!」
しかたなく、子供の護は自分の机に向かい、ワープ航法の原理についての基本的な計算式、即ち、空間を湾曲させるのに必要な重力を生じる物質量と等価なエネルギー量を導き出すという基礎的で退屈な計算問題をやり始めた。そして、地球が危機的状況であるのに皆はいったい何をしているのか、いったいこのような計算問題が、自分の今後の人生に何の役に立つのだろうかとため息をついたのだった。
その頃は、なぜ地球が破滅するのか理解できず、ずっと疑問に思い続けていた。その後大学に・・・そう、護は猛烈な受験勉強の結果、幸運にも超エリート校である帝都大学に入学したのであったが、その大学生の頃にやっと自分なりに理解できた。つまり、我々人類が高度な文明を築き上げることができた原動力となったのは、この地球の地下資源として存在するエネルギー物質「ナルニウム鉱石」のおかげであるが、この鉱石を使い続けると、この鉱石から発生する地球温暖化物質が成層圏を覆い、地球の平均気温が上昇する。その影響で、海底下に存在するナテムハイドレードが溶け出し、それが大気中に放出され、さらに地球温暖化を進めるとともに、海底下に生じた空洞が地殻に影響を及ぼし、ついには大規模な地震の発生、火山活動の活発化、温室効果による異常気象の頻発と海面上昇による陸地の水没、火山灰による日照不足、海面からの水蒸気発生不足のため雲量が減り、少雨による砂漠化の進行、森林の減少に伴う山の保水力低下による洪水など・・・要するに、異常現象の連鎖反応で、農作物の収穫が減り、食料不足により人類の生存すらも危うい状況となるのである。
それが分かっていながら、なぜ人類は何の対策もとらなかったのだろうか。いや、一部の人々は、その危険性を訴えていた。ある人達は有限なエネルギー資源の代わりに、風力や太陽光などの自然エネルギーを利用すべきだと主張した。また、ある人達は、人類は大量消費文明を捨て、原始の生活にもどるべきだと主張した。しかし、大多数の人達は、経済不況を脱することや、今の生活苦をなんとかすることが優先であると主張し、経済原理にそぐわないことはすべきでないと考えていた・・・。まあ、今の護にとっては、そんなことはどうでもよいことである。人間は、一度味を覚えた快楽を手放すことは決してしない。エネルギーを大量消費するこの高度文明を捨てて、原始生活に甘んじることなどは、あらゆる屁理屈をこねても反対し、例え自分の身が滅びようともそれが正しいと自己正当化を図るのである。そのことは、ヘビースモーカーが、煙を吸い込む周囲の人間だけでなく、自分の体が病に蝕まれていくことさえも正当化しようとするのと同じである。
もう憂えるのはやめよう、と護は少々げんなりしてため息をついた。人類が愚かなことを繰り返すのは、今日明日のことではない。例えば、数年前のナルニウム鉱山をめぐる某国と某国の戦争とか・・・。ああ、もうやめやめ。
とにかく、人類は、この太陽系の第四惑星地球が永くないことにだいぶ前から気づいていた。そこで、今から百年ちょっと前に、太陽系の第三惑星「ニック星」を改造して移住する計画をたてた。
「ニック星」は、地球より一つ太陽に近い軌道をまわる惑星であるが、地球とほぼ同じ大きさのため、重力も同じくらいで、生命活動を支える水も多く、実際に多様な生命体が存在し、人類が居住するには都合がよかった。ただし、大気中には酸素と窒素が多く、われわれ人類が生きるために必要な「亜硫酸ガス」がほとんど存在しなかった。そこで、人類は、「ニック星」にナルニウムミサイルを撃ち込み、地下の火山性ガスを噴出させ、「亜硫酸ガス」を大気中に放出させることに成功した。こうして「ニック星」に多くの人類が殖民し、後に王制を敷いて地球からの独立を宣言した。しかし、なぜかその星の生命体は、環境の変化に順応できずに次々絶滅していった。そして、どういう訳か、人類もその星では繁栄できず、次第に衰退していき、今では王家の姉妹が2人で住んでいるだけとなった。
護は目の前の「アデモ・ロドナ銀河系」を見た。人類は、ついに地球を含む太陽系での存続をあきらめ、他の銀河系にその未来を託すようになった。高度な文明により、宇宙空間をワープ航法で跳躍できるようになったとはいえ、他の銀河系までは非常に遠い。人類は大型宇宙船を建造し、これに乗船する若い男女を百人選抜した。選抜にあたっては、人類の子孫を残すことが目的であるので、優秀な体格、知能、思想、遺伝子をもつものが最優先とされた。護は幸運にも、宇宙船の武器管制を担当する防衛担当の航宙士として、その百人のうちの一人に選抜されたのであった。しかし、巷では、某財閥の息子が巨額な裏金を使って選抜されたという噂もある。まあ、噂などは無責任なものであるから気にすべきではなかろう。そうして選抜された者たちは、人類の未来を担っているのであるから、これも噂であるが、例え犯罪を犯しても、処罰されないらしい。もっとも、護たちのような社会的使命を帯びた正義感溢れるエリートたちに、そのような反社会的行為をする者はいるはずがない。
ところで、人類は、これらの大計画を進めるため、強力な指導者を必要とした。そこで、地球連邦政府大統領を決めることとし、全人類により選挙を行った。初代地球連邦政府大統領に当選したブカラ大統領は、非常に優秀な政治家で、数年後には民衆の熱狂的支持のもと、地球連邦議会の全会一致で終身大統領となった。護は今でもブカラ大統領の終身大統領就任演説に感動したことを覚えている。
「諸君!我々人類が育んだ、この宇宙で唯一と言うべき高度文明を、このまま無に帰して良いのだろうか?否、この高度文明を成させたのは、宇宙の意志であるはずだ。即ち、人類は、宇宙においての高度文明を担うというその貴重な存在価値を認識しなければならない。何もせずに地球の荒廃とともに、人類とその高度文明が滅んでいくのを傍観することは宇宙の意志を無視した犯罪である・・・。諸君!今こそ共に手を取り合い、宇宙の意志に従って人類存続の計画を進めようではないか。」
そう、「ニック星」に今でもとどまり、その衰退を何もせず受け入れようとしているあの王家の姉妹のようであってはならない・・・。
護の乗った宇宙船は、目指してきた「アデモ・ロドナ銀河系」のなかで、人類の居住に最も適していそうな惑星を分析し、今、その星「α・レト星」に向かっている。宇宙船に搭載された光学望遠鏡による惑星成分分析結果から、最近になってその星には非常に原始的な生物が存在している可能性が高いことが予想されていた。単なる宇宙探検であれば、そのような生命体の生態系に影響を及ぼす行為は「犯罪」とされ、してはならないのであるが、今回は、人類の未来がかかっているので、そのようなことを気にしている余裕は無い。なにしろ、地球と同じような条件の惑星は、宇宙広しといえども、そうそうには見つからない。恐らく、この銀河系ではこの「α・レト星」だけであろう。また、他の銀河系に向かうにも、時間がかかりすぎる。なにしろ、この銀河系に到達するまでに、既に数年の歳月が費やされている。狭い宇宙船の中では子孫を増やす余裕はなく、一刻も早く第二の地球を手に入れる必要があるのだ。それに・・・宇宙の意志に従っての行動が、間違っているはずはない。
宇宙船は、目的の惑星「α・レト星」の衛星軌道付近に到達し、護たちは惑星の詳細な調査を始めた。すると、レーダー担当航宙士が叫んだ。
「前方惑星表面付近に数隻の小型宇宙艇らしき機影確認!こちらに向かってきます。」
船橋内に一瞬緊張がはしった。護が振り向いて怒鳴った。
「エネルギー反応は?」
「ディンギー級です。非常に小さくて、検出限界ぎりぎりってところですね。」
ほ・・・皆が安堵のため息をついた。
どうやらこの惑星の生命体は、一応宇宙船を建造する能力があるようだ。まあ、この程度のことは、「α・レト星」の太陽系内に入ってから、この惑星から放射されている大量の電波を受信し、解析して分かっていたことではある。ちなみに、その電波を解析した船内の技術者は、その内容があまりに野蛮で低俗なことに驚いたそうである。まあ、我々のような高度な文明を築いている生命体は、宇宙広しといえども、他にはないであろう。
護は、「α・レト星」から飛び立ったその小さな宇宙艇が、こちらに向かってエネルギー砲のようなものを撃ってきたのを確認した。しかし、護はまったく慌てなかった。我々の宇宙船は、例え数十センチメートルのデブリ(宇宙ゴミ)が小惑星を破壊するほどの高速で衝突しても壊れないほど頑丈な装甲で守られている。なにしろ、地球では、宇宙船同士の戦闘は過去に何度もあり、その度に強力な宇宙戦艦が開発されてきたのだ。このような微弱なエネルギー砲程度ではかすり傷もつかないであろう。
エネルギー光線は、護が思ったとおり、宇宙船の装甲で反射し、まったくダメージは生じなかった。
「敵から攻撃を受けたので、これより、自衛のための反撃を開始する!」
護は、自衛用に備え付けられている宇宙船のエネルギー砲の発射ボタンを押した。砲塔から発射された短いエネルギーパルスは、「α・レト星」の宇宙艇群を一瞬のうちに消滅させた。護は、さらに別のミサイルの発射ボタンを押した。宇宙船の船首砲塔からドリル型をした巨大ミサイルが大きな振動を轟かせながら飛び出していった。あとは、このミサイルが、酸素が多すぎる「α・レト星」の地殻に穴を開け、惑星内部の亜硫酸ガスを放出させて、人類に快適な環境が作られるのを待つだけである。
しばらくして、レーダー担当航宙士が困惑した声を上げた。
「ドリル型ミサイルのビーコンが惑星表面到達直前で消滅しました・・・。付近に宇宙船らしき機影発見。エネルギー航跡から推測すると、ミサイルはこの宇宙船によって破壊されたようです。スクリーンに画像を転送します。」
船橋内の大型スクリーンに惑星表面の映像が拡大投影された。
護は、自分の目を疑った。護の発射したミサイルが、地表近くで破壊されたのだ。しかも、ミサイルを破壊したのは、たった一隻の宇宙戦艦らしい。おかしい、と護は思った。先ほどのような微弱なエネルギー光線では、ミサイルを破壊することなどできるはずがない。一体なにが起こったのだろうか。レーダー担当航宙士は、さらに悲鳴のような声で続けた。
「エネルギー反応は・・・ばかな・・・超ド級です。・・・こちらに向かってきます!艦首から高出力エネルギー砲反応!」
「α・レト星」から飛び立った宇宙戦艦は、こちらに向けてエネルギー砲の砲門を開いた。検出エネルギーの値がグングン上昇する。先ほどとは桁違いに巨大なエネルギーだ。こちらの主砲と同じ威力なら、十秒もたたないうちにエネルギー充填が完了して発射されるだろう。さすがにこれを食らったらただでは済まないことは誰が見ても明らかだ。
「面舵一杯!全速前進!」
操縦担当航宙士は、機関士に怒鳴って、慌てて方向転換したが、間に合わない。
「ワープだ。早く!」
護が叫んだ。操縦担当航宙士は、慌てて、コンピュータに転移先の座標を計算するためのデータを入力しはじめたが、そんな時間はない。
「操縦を寄越せ!」
そう言って、護は操縦担当航宙士から操縦権を自分に切り替えた。短距離ワープなら複雑な重力場測定データを使わなくても、星との衝突の危険はほとんどないはずだ。護は瞬時に頭の中で宇宙船と惑星の概ねの質量と距離から必要なエネルギー量を概算し、ワープ機関へのエネルギー注入量調節レバーを叩き倒すようにして、手動で間一髪ワープインした。
ふぅ・・・一息つき、護は自問した。一体なぜ我々と同じような高出力のエネルギー砲を、あの低級な生命体が有しているのか。我々人類のような高度な文明を有している可能性はないことは確認済みである。ということは、彼らにあのような武器を与えたのは我々人類の誰かということになる。護は、そこでハタと気がついた。そうだ、あの「ニック星」に残った王家の姉妹だ。あの姉妹は、常々、他の星系の生命体を脅かす可能性のある移住計画に反対していた。その姉妹のどちらかが、この「α・レト星」に我々人類の武器を届けたに違いない。
護は、唇を噛んだ。なんということだ。ここまで来て、移住計画に失敗するとは。しかし、宇宙船に残されたナルニウム燃料も、そう多くはない。近くでなんとか居住できそうな星を見つけるしかない。
護たちは、その「アデモ・ロドナ銀河系」の辺境に、地球と同じ程度の大きさの惑星を発見した。しかし、そこは非常に寒冷な星であり、宇宙船に残された僅かなナルニウムエネルギーを少しずつ使いながら生活するしかなく、移住した者たちの生活は過酷なものになると予想された。移住者達は、自分たちのうちから三名を選び、冷凍冬眠させることとした。地球から助けが来るか、新たにナルニウム鉱山を発見するまでにどの位の時間がかかるか分からなかったので、そのときに自分たちの高度な文明の知識を有している者が途絶えてしまうことを恐れたのである。冷凍冬眠技術は、人類の高度な文明をもってしても成功率は高くない。危険な賭けであったが、人類存続のためにはやむを得なかった。護は、その三名のうちの一人に選ばれ、冷凍冬眠に入った・・・。
護は、目を覚ました。しばらく呆然としていたが、やがて、身なりのみすぼらしい原始人のような人々が護をとり囲んでいることに気がついた。これが我々の子孫か。環境により、人類はこうも退化してしまうものか。しかし、優秀な人類の子孫である。また、以前の高度な文明社会に戻って暮らせば、すぐに知能豊かな以前の人類にもどるであろう。護は、自分の隣の二つの冬眠カプセルを見やった。二つとも中には干からびた何かがあるだけであった。どうやら冷凍冬眠に成功したのは自分ひとりだけだったらしい。護は、そのことには何の感傷も覚えなかった。我々エリートは、例えどのような結果になったとしても、それが最適な選択であったならば、後悔はしない。つまり、覚悟の上である。
みすぼらしい姿の子孫たちは、まるで護を異星人でも見るように遠巻きにしていたが、護はそれを、高度な知識を持っているであろう護を恐れているのだと思った。
「ご気分はいかがですか?」
その人類の子孫たちの中に、一人、他の者たちと風貌の異なったりりしそうな若者がいて、護に声をかけた。
「ああ・・・大丈夫だ。」
「よかった。言葉が通じますね。実は、私はここの星の住人ではありません。別の星に移住していた地球人類の生き残りなのです。」
その若者は言った。やがて、彼の話から、冷凍冬眠後の歴史を知ることができた。
護たちを攻撃した「α・レト星」から飛び立った宇宙戦艦は、引き続いて他の銀河系に移住するために地球を出た宇宙船を次々破壊していった。驚いた地球政府は、ドゥレモ常勝将軍が率いる最強の地球連邦軍宇宙艦隊を決戦に赴かせたが、攻撃直前、目の前に「ニック星」の小型宇宙船がワープアウトし、宇宙環境保護だか希少生物保護だかを叫びつつ地球連邦軍宇宙艦隊に向かってきた。動揺した艦隊は、その隙に「α・レト星」の宇宙戦艦に撃破されてしまった。そして、その「α・レト星」の宇宙戦艦は、ついには護たちの地球にも壊滅的なダメージを与えたそうである。
彼は、その危機的な状況を間一髪で逃れた一族の末裔で、運良く地球近くの星系に居住可能な小惑星を見つけて、なんとか細々と文明を維持してきた。しかし、人類の繁栄のためには、もっと快適な環境の惑星に移住する必要があり、引き続き惑星探査を続けている。最近になって、昔地球から移住するためにこの「アデモ・ロドナ銀河系」に派遣された最初の宇宙船がこの辺境の星に不時着したことをつきとめ、ようやく探し当てた。彼によれば、あの悲劇的な事件が起こってからすでに数百年の歳月が経っているとのことであった。
なお、地球を攻撃した宇宙戦艦は、「ニック星」の姉妹を乗せて「α・レト星」に戻ったが、その後「α・レト星」の低級生命体たちは姉派と妹派に別れて対立し、突然もたらされた高度文明の兵器で互いに戦い、「α・レト星」の環境を壊滅的に破壊し、あっけなく滅亡してしまったそうである。つまり、あの惑星にはもう移住できなくなってしまったのである。
彼の星での長年の惑星探査の結論としては、やはり宇宙で最も居住に適しているのは、宇宙のオアシス地球なのだそうだ。地球上の人類が衰退してから、地球の環境は少しずつ復元してきているらしく、彼の星では、その地球に戻る計画が進められているとのことであった。彼は、過去の地球に詳しい護にも同行して欲しいと語った。最近の観測によれば、地球は、環境変動も落ち着いてきており、居住が可能な状態になってきているらしかった。
護は、今、宇宙船のコックピットで地球を見つめている。その美しい星は、護が生まれ、育った星である。この人類の故郷である星に詳しいのはもはや自分ひとりだけである。あれから数百年経ってしまったのだ・・・。護の胸には懐かしさとともに、言い知れぬ寂しさが溢れていた。と、その時、宇宙船の観測員から、連絡がはいった。
「地球から受信した電波の解析結果が出ました。地球人類が放送しているテレビ番組のものと思われます。内容を調べたところ、過去の地球のものとの高い相関関係が得られました。受信した放送をスクリーンに転送します。」
なんと、地球には、人類の子孫が生き残っているらしい。何百年も経っているのに、彼らの言葉も理解できそうである。宇宙船の中は、突然の朗報に沸き立った。護たち乗組員は、すぐにでも地球に着陸しようと手を取り合って喜んだ。その喚声の中で、スクリーンに映し出された母星のテレビ放送では、ワイドショーの司会者が深刻に、しかしどこか他人事のように話していた。
「地球は、ナルニウムの大量消費で温暖化が進行しており、数十年のうちには大規模な環境変動により壊滅的なダメージを生じると見られています。近い将来、地球は人類が住めない星になっていくんでしょうね。このような状況に対し、ブカラ三十五世終身地球連邦政府大統領は、他の銀河系への移住計画を発表し・・・」
10年以上前に妻の誕生日祝い用のプレゼントとして初めて書いたSFショートショートのうちの一話で、宇宙戦艦ヤマトのオマージュなのですが、読みづらい部分があって、かなり文章を修正しました。ヤマトのストーリーを知ってる前提で描いている部分があり、未熟さがにじみ出ているかと思います。当時は、地球環境問題にかなり興味があったので、そういう問題意識の作品をいくつか書いています。もう少し斬新な発想が欲しいところとは思いますが、初期の作品なので大目に見ていただけたらと思います。