その6
あれ? なんで毎日更新に……?
「うん? どうしたのスーちゃん? あ! もしかして何かスキルが登録されてた!?」
「え? もしかして特別スキルがですか? はあ……、調合職人の未来が明るくなりそうです……」
スキルウィンドウをまじまじと見つめ続けていた私を見て、カリンさんが正解そのものを言い当ててきた。
レナ先生に至っては、逃がさん……、お前だけは……、とでも言わんばかりに身を乗り出してきている。
次の一瞬、私の思考は自分でも驚くほどの速さでこれから返すべき返答と、その結果起こり得るその後の展開の予想を導き出した。
素直に答える→それじゃがんがん生産しても大丈夫だね→あまりの忙しさに自由な時間も作れない→おっぱいが揉めない
何も無かったと嘘をつく→それが当たり前だよね→普通にこつこつと頑張ろう→みんなで楽しい調合生活→おっぱいが揉める
「いいえ? 何も無いなーって自分でちょっと呆れちゃってただけですよ」
脳内議員満場一致で後者を採用! 私のログには何もなかったでFA! 以下レスひ不要です!!
「なーんだ、紛らわしい。初めは皆それが普通なんだって、これから色々登録していけばいいのいいの! さ、調合のスキルを登録しちゃおー!!」
「残念です、次代の担い手が現れたと思ったんですが。でも、確かにそれが当たり前の事ですから、気を落とさないようにしてくださいね」
「は、はい!」
危なかった!! 収入は安定してそうだけど先生なんて仕事は私には無理です!! 白衣と眼鏡もきっと似合いません!
……いや、待てよ? 先生という権限を利用して生徒のおっぱいを……、はっ!? 何を考えているんだ私は!! 権力を振りかざして嫌がる人のおっぱいを無理矢理揉もうなどと、絶対に許されない愚かな行為だ!!!
ふう……。どうやら思いもしていなかった展開に動揺してしまっていたみたいだね。私とした事がこんな不埒な考えをしてしまうなんて、まだまだ修行が足りないか……!!
ついにスキル登録のお時間がやって参りました! やはり新しいスキルの入手はできる事やれる事が増えるぞというワクワク感が半端じゃない! テンション上がってきたわー!!
「スノーさんは完全に初心者という事ですから、そうなると私が今教えてあげられるスキルは……。まずはお目当ての『調合』ですね、セットで『薬草学』も付いてきます。付いてくると言うか必須ですからね。後は、エルフの方ですと魔力の余裕もありそうですから、ベースポーションを作る事ができるようになる『水質変換』もお薦めしたいところです。後は余裕が出来てきたら追々でいいですね」
ほうまずは三つか。少ないような多いような……。
『調合』はそのままポーションなど、色々な素材を混ぜ合わせて全く別のアイテムを作り出すスキルで、『薬草学』は薬草とかハーブとか、植物関係の判別ができる様になるスキルだね。スキルが無いと薬草もハーブもただの草にしか見えないらしい。さすがゲームの世界、不思議だ。
となると、新しく出てきた『水質変換』は一体……?
「水質変換は私も登録してるね。町の外でどうしても綺麗な水が必要になったりした場合に使うのが主な使用方法かな。水は重いからインベントリがすぐに一杯になっちゃうからね、有ると無いとでは随分違うよ? 持ってくのが必要最低限だけで済むからさー」
初めて聞くスキル名に少し困惑していたら、カリンさんが横から使用例を教えてくれた。
ああ、なるほど、調合のみに使われるスキルっていう訳でもないんだね。そこは盲点だった。
水をベースポーションに変換したり、川の水を安全にを飲めるくらいの綺麗な水に浄化できたり、後は何があるか分からないけど液体に関係するスキルの事か。ありがとうカリンさん。
恐らく水質変換のスキルは他の生産スキルにも関係してくるんだろう。これも取っておくべきだろうね。
「では、『調合』と『薬草学』、それに初心者用のレシピを三つ付けて3万ゴールドですね。職人ギルド所属の職人という事で料金が半額になりますから、1万5千ゴールドです」
……? あれ? 急に耳の調子が悪くなったかな? 今おかしな金額を提示されたような……。
「さすがに結構するねえ、水質変換は3千ゴールドだったのにさ。まあ、スキルは一生物だし、それが物作りのスキルとなると値段が跳ね上がるのも納得かな。……スーちゃん?」
水質変換だけでも3千ゴールド……? あ……、あはは……。
「スノーさん? どうしたんですか?」
「ちょっとちょっとスーちゃん? どうしちゃったの? 急に黙っちゃって」
レナ先生とカリンさんが心配して話しかけてきてくれるが……。こればっかりはどうしようもない。
「あの、ありがとうございました。私、冒険者として生きていく事にします」
椅子から立って、レナ先生に向かってぺこりと頭を下げる。
はあ……、考えが甘すぎたね……。いや、いい勉強をさせてもらったと思うべきだ。でもたまにローズさんとアデラさんのおっぱいに癒されに来るくらいはしてもいいかな。
さて、頭と気持ちを切り替えて、冒険者になるにはどうしたらいいかカリンさんと相談しないとね。生活費に余裕を残しながら1万5千ゴールドも貯めなければいけないのか……。ううむ、前途多難というヤツだ。
「ええ!? 本当に急にどうしてそうなるんですか!? あ、待ってください!」
「待って待って、待ってってば! こら! 勝手にどこか行こうとしない!! ……ん? あれ? あー、はいはい、とりあえずお姉ちゃんの所に来なさい、好きなだけおっぱい揉んでもいいから。レナ先生のも少しなら触ってもいいから」
少し歩き出したところで、レナ先生には右手を、カリンさんには左腕を掴まれて止められてしまった。カリンさんは自分の腿の辺りをポンポンと叩いている。ここに座れという事だろうか?
あ、肝心のカリンさんを忘れて一人で出て行っちゃうところだったよ、ってなんですって!!?
「はい!」
やっほーい! とレナ先生の胸に飛び込む。そしてそのままスリスリと頬擦りを開始。
あー、レナ先生のおっぱいから、じゃないや、服から甘ーい香りがするわー。癒されるわー。
調合の先生だから薬品の匂いが染み込んでしまっていると思っていたのに、全然そんな事はなかったね。ちなみにアデラさんは土と草っぽい香りがしてました。でも不快な匂いではなかったね。
「きゃっ! ちょ、ちょっと、スノーさん、くすぐったいです! ……でも、ふふふ、アデライーデさんの言うとおり何故か悪い気はしませんね。スノーさん? 落ち着いて一体何があったのかお話してください」
おっぱいをふにふにと軽く揉まれ、さらに頬擦りまで受けているのに、恥ずかしがるどころか嬉しそうに私の頭を撫でてくるレナ先生。どうやら完全に子供認定されてしまったみたいだ。何故だ。
むう、もうちょっと恥ずかしそうにしてくれると嬉しいんだけどなー。その点ローズさんの反応は完璧だった。しかしこのふっくらとした感触、そして見た目以上にある膨らみ。レナ先生は意外と着痩せするタイプだったのか……。巨乳とまではいかないが、普通に大きいと胸を張って言えるレベルだね。
とりあえずこのおっぱいからはまだ離れたくないので、抱きついたままで話を続けるとしよう。
「実は……、お金、3千ゴールドしか持ってないんです。とても1万5千ゴールドなんて大金用意できそうになくて、だから諦めて冒険者になろうかなって……」
「3千!? そんなの一ヶ月持たないじゃん! あっれ、スーちゃんもしかして結構ギリギリな所にいた? いや、ホントに声掛けてよかったわこれは……」
え? 3千ゴールドって、もしかしてかなり少ない? 拙いな、こちらの金銭感覚に早く慣れないといけないね。取り返しのつかない事になるところだったよ。
「そういえばお二人の関係まではまだ聞いてませんでしたね。あの、よければなのですけど、少しお話を聞かせてもらってもいいですか?」
「あ、うん。スーちゃんはそのままレナ先生のおっぱいに甘えてていいよ、私が話すから。こうなったらレナ先生にも力になってもらっちゃおっか? えっと、まずは私がスーちゃんを見つけたところからだね……」
まだ出会ってから間もないと言ってもいいくらいなので、至極あっさりとカリンさんのお話は終わった。
全然長くはなかったが要約すると、家出少女を保護して自立できるまでの支援をする事になった、と一息で済んでしまう程度の内容しかない。
「まだ成人もしていないのに森を飛び出して来たのですか……、なんて無茶な……。てっきりカリンさんはご両親からスノーさんのことをお願いをされた方だとばかり思っていました。はあ……、うん、決めました。これからは私も保護者の一人になりますからね? 今後これ以上の無茶な行動は絶対に許しませんよ?」
「帰る森の位置も分からないって、どういう飛び出し方をしてきたのよ。ああもう、聞くんじゃなかった。面倒事は御免だけどここで見て見ぬふりするのは寝覚めが悪いわね、あたしも協力してあげるわ」
「ボクも手伝う。スノーはもう友達だから」
気を散らせすぎてしまったのか、いつの間にか近くまでやって来て会話に参加していたライカさんとアデラさん。レナ先生も含めて三人とも私の独り立ちの協力をしてくれるそうだ。ありがたい。
ん? アデラさんってボクっ娘だったんですか!!? っと、そうじゃない、今はそうじゃないんだよ私の馬鹿。ああ、やば、言葉が出ない……。
ちょっと表情が恥ずかしい事になってしまっているので、レナ先生のおっぱいに埋めるようにして顔を隠させてもらうとしよう。いい匂い、落ち着く。結婚してほしい。
「あ、スーちゃん泣いちゃった? さっきの表情からして限界っぽかったもんね。 やっぱ今までのアレな発言ははただの虚勢だったかー。ま、どこからどう見ても子供の言動だったし、内心は不安で不安でしょうがなかったんだろね。やけにおっぱいに触りたがるのも甘えたかっただけなのかな。んふふ」
「ふふ。これからは私の胸でしたらいつでも、ええと、今くらいの触り方ならしてもいいですからね? 実は私、子育てに少し憧れてたんですよね」
「レナ先生美人なのになんでか、ぜんっ、ぜん! モテないわよね。もうその子養子にしちゃえば?」
「さすがにそれは……、いいかもしれませんね。ふふ。それよりも、ライカさん? ちょっと力を込めて言いすぎですよ? もう……」
「ふふ。よかったね、スノー」
なんですかなんですか! このお人好し軍団は!! ぐぬぬぬぬ。
まったくもう! 私を泣かして何が楽し、いや、違いますよ? 泣いてなんかいませんよ? ただ今はちょっとみんなにはお見せできない顔をしているのと、レナ先生のおっぱいの感触が心地よすぎて離れたくないだけでありましてね? くっそー!! 恥ずかしいわー!! ……でも嬉しいわ。
その後落ち着いた私は、照れ隠しにレナ先生のおっぱいの先っぽを摘んでしまい、拳骨で頭を挟まれてグリグリされるという地味にきついお仕置きを受けてしまった。
あー、まだ頭がジンジンするわ……。レナ先生は意外と容赦の無いお人であったか。でも、んっ、とかちょっと感じちゃったかもしれないあの声を聞けただけで損どころか大収穫とも言えるわ。ぐへへ、たまりませんのう。
スキルの登録料金については、とりあえず今はレナ先生に立て替えてもらえる事になった。その代わりレシピは貰えなかったが、レナ先生が一つ一つ親切丁寧に教えてくれるらしいから問題は無い。
しかし今日会ったばかりの家出少女に1万8千ゴールドもポンと貸してしまうとは、レナ先生も悪い人に騙されやすそうなお人っぽくて不安になってしまう。
そしてスキルの登録方法は、まずはレナ先生と握手するように手を繋ぎ、空いた手でウィンドウの操作をしているレナ先生の様子を眺めていたら……、上手く言葉には出来ないが全身に鳥肌が立つような、ぞわっとした感触が流れていった。これで登録完了らしい。
不意打ち気味の感触につい、うひぇっ、とかそんな言葉を口に出してしまい、四人には大笑いされてしまった……。
……くそう、四人とも分かってて黙ってたな! 特にカリンさんは指まで差して大爆笑して……、今晩たっぷりとベッドの上で仕返しをしてやるから覚えておけ!!
スキル一覧
調合:0 薬草学:0 水質変換:0
NEW!
レナ先生は大きめ。先っぽが弱点?
アデラはボクっ娘。
ログイン初日の話が10話以上続く予定です。気長にお付き合いをお願いします。