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その5

「はあ、なるほど、森を出て一人で生活を……。お若く見えますけど実際はかなりのお年だったりするのですか?」


「年は分かんないけどまだ成人はしてないって話だよ、あんな感じで子供扱いでいいみたい。飴買ってあげたら凄く嬉しそうにしてたし」


「見た目完全に子供だものね。中身はちょっと親父趣味入ってるけど……、あ、甘えてるのかしらね」


 アデラさんのおっぱいを堪能していたら、何やら私についての噂話に花を咲かせられていた。


 誰の趣味が親父ですか、失礼な。だが私は今超が付くほど忙しいので聞き流してあげようじゃないか。


 しかし、アデラさんは無口なだけで随分と穏やかな性格の人のようで、嫌な顔をするどころか私を膝の上に座らせて、頭を撫でたり頬を引っ張ったりと可愛がってくる。表情の変化も、注視するとちゃんと判別が可能だった。

 子供扱いはちょっと恥ずかしいけど、まあ、この位置からだとおっぱいに頬擦りも可能なので文句は無い。むしろ大歓迎である。うへへへ。たまりませんなこれは。


「さ、そろそろスノーさんのスキル登録を済ませてしまいましょうか。アデライーデさんとライカさんは自分の調合に戻ってもらって結構ですよ。何度も言いますが、魔力の使いすぎには気をつけてくださいね」


 服の下に手を入れて直接先っぽを摘んでみようかなと思った矢先、レナ先生が手を叩いて仕切り始めた。どうやら休憩時間は終わったらしい。


「あ、そうでした。私、調合のスキルを教えてもらいに来たんでしたね」


「忘れてたの!? はいはい、おっぱいから手を放して! こら! どこ触ろうとしてるの!!」


「え? 乳首ですけど? 最後に一摘みしたくて」


「普通に答えた!! やっぱ面白いわこの子……、あはは」


 いやあ、忘れてた忘れてた。完全におっぱいの事しか頭になかったです。

 名残惜しいけどアデラさんのおっぱいが無くなる訳じゃないからね、また次の機会までの一時的なサヨナラだ。


「はい。アデラさんありがとうございました、またお願いしますね。今度は是非生で」


「うん、いつでも言うといい。悪い気はしなかったから」


 膝の上から降りて頭を下げる私の頭をポンポンと軽く叩くように撫でながら、少しだけ親しみの感情が篭った声色でアデラさんは言う。


 おやおや嬉しいお言葉。よし! カリンさんに続いて二人目の生おっぱいに触れる許可をゲットだ!! 二人に挟まれる、という手もありなのでは!? 夢が広がるわー。


「スノーはアレ? 本物? レズ?」


「うん、マジモン。私一緒のベッドで寝る予定なんだけど、結構不安なんだよね。おっぱいにしか興味ないらしいんだけどさー、舐めるとか吸うとか噛むとか言うんだよねあの子。感じちゃったらどうしよう……、私男の人との経験もまだだっていうのに……」


「うわあ、それは間違いなくマジモンだわ……。ああ見えて女性経験は豊富だったりするのかもね。あ、明日感想よろしく」


「あの、本当にそういうお話は私のいない所でお願いします……」


 レナ先生は初心うぶだねえ……。だがそれがいい。レナ先生からも絶対に許可を貰ってみせるわ!




 ライカさんとアデラさんは元いた席に戻り、早速ガラスっぽい容器をカチャカチャとさせ始めた。つまり二人とも手作業で作る派という事だろうか。


「はい、まずはスキル登録の前に少し私とお話をしましょう。スノーさんとカリンさん、この作業机のお好きな席へどうぞ」


 レナ先生は調合を始めた二人の邪魔にならないよう少し離れた机を選び、椅子に腰掛け私たちを呼ぶ。


「レナ先生の膝の上でもいいですか?」


「……胸に触らないと誓うのなら」


「残念です」


 冷静に対処されてしまった……、意外と手強い。でも押しには弱そうなんだよね……。フフフ。


「真面目にやろうねスーちゃん。余裕が出て来たのはいい事だけどふざけすぎは駄目だよ? まあ、本気で言ってるんだろうけどね……」


「あ、調子に乗りすぎちゃいましたね、ごめんなさい。レナ先生もごめんなさい」


 いけないいけない。ここは真面目にならなければいけない場面だったね。おっぱいは別の意味で真面目に触りたいと思ってるんだけどさ。


「分かってもらえればいいんです、あまり気にしないでくださいね。では、スノーさんは私の隣へ、カリンさんもお近くへどうぞ」


「うん? 私は職人登録してないよ? スーちゃんにだけ教えたげて」


 私は勧められるまま席につき、しかしカリンさんはその申し出に遠慮の構えを返すが、


「いえいえ、どうせならお話だけでも聞いていってください、料金などは一切貰いませんので。それで興味が出ましたら是非スキル登録もしていってくださいね。アデラさんも他のギルドに所属している方ですから、登録については特に関係はありませんよ」


 それでもレナ先生は引き下がらない。逃がしてなるものかという一種の気迫が感じられる。


「そうなの? うーん、確かにぼーっとしてるのもなんだし、そうさせてもらっちゃおっかな。それじゃよろしく、レナ先生!」


「はい! ありがとうございます!」


 ぱあっと花が咲いたような笑顔でお礼を言うレナ先生。可愛い。


 なるほどね。この部屋に入ったときから薄々感じていた事だけど、今のやり取りで確信した。


「もしかして、今日は特別に人が少ないんじゃなくて、調合のスキル自体あんまり取る人がいないんですか?」


 私の言葉にレナ先生の表情が、見る見る内に陰っていく。


 質問にしてみたけどほぼ間違いはないだろうね。『調合』は不人気スキルなのか……。


「え、ええ、実はそうなんです……。他のスキルと比べるとどうしても魔力の消費が多いですし、冒険者の方も買って済ませばいいと……。魔力の使いすぎで依頼に支障が出ては本末転倒ですからね。調合部屋の無い工房の方が多いくらいなんですよ」


「うん、私もそう。ポーションは結構するけど、自作してる時間で依頼をこなしちゃえば済む話だからさー。レナ先生には悪いけどね」


 いえ……、と残念そうにするレナ先生。


 ふんふん、なるほどね。でも、それって逆に言えばさ。


「作り手の数が少ないと、作ったら作っただけ売れるんじゃないんですか? それならお金のためにスキルを覚えようと思う人がもっと出て来そうですけど」


 私みたいにね、とは言わないでおく。


「スーちゃんはエルフだからそんな事が言えるんだってば。魔力の消費が多いってレナ先生も言ってるっしょ? まあ、一日にいくつ作れば黒字になるとかは分かんないんだけどさー」


 うーん? 魔力、魔力ねえ……。

 つい昨日、いや、今朝までそんな摩訶不思議な謎パワーなんて無い世界にいたもんだから、その辺は本当にさっぱりだね。数値化もされていないし確認のしようもない。


「そうですね……。特別なスキルを持っていない平均的な人間種族を例として、調合のスキルレベルが1とすると、初級ポーションを休み休み作って一日二十個も作れればいい方だと思いますよ。勿論手作業で、ですね」


 特別なスキル? スキルレベル? ああー、事前説明で聞いたね確か。


 特別スキルは、狙って入手する事はできない個人の才能的なスキルだったかな? ステータスアップ系とかそんな感じの。凄いのだと世界に一つしかないその人専用のスキルとかもあるんだという話だ。まあ、私には関係のない話だけどね。

 スキルレベルはそのまま、そのスキルの技量の高さを数字で表した物だね。この場合は調合を覚えてすぐの状態っていう事だろう。


「二十個かあ……。初級の肉体ポーションは一個30ゴールドだから一日600ゴールドの稼ぎ? え? 充分多いんじゃない?」


 肉体ポーション? なにそれエロイ。


 私の今の手持ちは3千ゴールドジャスト、約一ヶ月分の生活費として最初から持たされている。

 こちらの世界の一ヶ月は三十日で、一日100ゴールドもあれば充分生きていけるという話だったが……? まあ、贅沢をしなければの話だと思うけどね。


 そう考えるとポーションは高いな。初級って名前を聞くと一番効果の低そうな感じがするのに一つ30ゴールドもするとは……。職人が少なすぎるせいもあるのか?


「まだそこから素材代などを引く必要がありますね。ベースポーション入りの小瓶が一つ10ゴールド、薬草も品質のいい物だと一枚5ゴールド近くもするんです。それと、冒険者の方に直接売るとなると自分で露店販売をしなければいけませんよね? 毎日の調合で疲れた体で行わなければならず、恐らく休む暇も無いあくせく働くだけの毎日になるのでは、と思いますよ」


「うっはあ……、スキルの低い間は地獄だねそれは。そんな忙しい毎日だと自分で素材取りに行く暇も中々無さそうだもんねえ。……って薬草の買取って十枚一束で1ゴールドくらいらしいのに、超ぼったくりじゃん!!」


「ええ、調合は早々に諦めて、副産物である『薬草学』のスキルを利用して薬草の採取をする方は多いですからね、在庫が溢れかえってしまうんです。調合のスキルを上げなければ薬草学のスキルも上がりませんから、どうしても品質の悪い薬草ばかり集まってしまうんですよ。一つのポーションを作るのに薬草が十数枚も必要になるとか、今ではそれが当たり前になってしまっていますね」


 『調合』の子スキルとも言える『薬草学』は、親スキルである『調合』と同じ数値にまでしか上げる事ができないらしい。上手くできているね。


 ちなみに初級肉体回復ポーションの工房での買い取りは一つ20ゴールド前後らしい。

 初級ポーションとやらを一つ作るのに最低15ゴールドかかるとなると……、オウフ。さっきの計算に直すと一日100ゴールドの稼ぎか。本当に怖いくらい上手くできすぎてる気がするわ……。


 ……世知辛いっ! そして生々しい現実を突きつけられてしまった!!



「私は『魔力回復速度上昇(中)』のスキル持ちですから、ベースポーションも自分で作る事ができたのでまだいい方だったのですけど、それでも駆け出しの頃はひたすら原価ギリギリで調合し続ける毎日でしたね……」


 あ、遠い目。レナ先生も苦労してきてるんだなあ……。って、ナンデスト!?


「レナ先生は特別スキルを持ってるんですか? まあ、それがどう凄いのかはまだ分からないんですけど」


 名前そのまま魔力の回復速度が早くなるんだろうね。中は効果の度合いか? それでベースポーションとやらを作るのにも魔力を回せたっていう事か。


「特別スキルがあるだけでも凄いのに、それが中効果とかさっすが先生なだけあるわ……。スーちゃんはその辺も全然?」


「全然です」


 そういうスキルがあるっていう事は知ってても、具体的にどんなものがあるかまではさっぱりだからね。


「森で暮らしていると必要の無い知識なのかもしれませんね。スノーさんは自分がどんなスキルを持っているか確認した事はないのですか?」


「はい。まだ何も教えてもらってませんから一つも無いと思いますよ? 一応見てみますね」


「うん、それがいいよ。もしかしたら特別スキルがあるかもしんないし。あ、無いのが当たり前だから無くても落ち込まないでね」


 スキル一覧のウィンドウを呼び出して、大きく三つに分かれているタブを一つ一つ確認していく。


 『体技』は……、無し。

 『魔法』は……、無し。

 『生活』も……、無し。


 見事なまでの白紙状態だ。生産スキルは生活スキルに分類されるんだろうか?


「やっぱり何も無いですね、空欄ばっかりです」


「まっさらかー、私もそんな頃があったなあ……。今では何かもうごっちゃごちゃしちゃってさ、あんまり確認もしなくなっちゃったわ、あはは!」


 ああ、うん、カリンさんってそんな感じだよね。分かる分かる。


「よく使うスキル以外はどうしてもおざなりになってしまいがちですよね。ふふふ」


 レナ先生はそれでもちゃんと全部把握してそうだね。分かる分かる。



 ……うん? 四つ目のタブが出来てる? さっきまでは三つしかなかったと思うんだけどな……。ふむ、名前は『特別』か、なるほど。多分見落としだね。

 まあいいや、どうせ白紙だろうけど念のため確認だけしておくとしますか……。


 あれ!? なんか書いてあるぞ……。どれどれ、えーっと?



『基礎魔力値増加(特)』

『魔力回復速度上昇(特)』

『魔力消費量減少(特)』

『所持量限界増加(特)』

『採取品質上昇(特)』

『生産品質向上(特)』



 ……はい? いやいやいや、(特)って何よ!?







まさかのチート? スキルやアイテムの名前は変更するかもしれません。


これからは各話の後書きに登場キャラの容姿を軽く書いていこうと思います。

その1、その3、その4に追加しました。

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