その26
随分と間が空いてしまいました。こちらではお久しぶりです。
「スノーもそろそろ魔力回復と体力回復のポーションの製作に入ってもよさそうですね。素材がリフリ草からそれぞれ『マナミの葉』と『ストアの花』に変わるだけですから新しく覚える事も特にありませんから……、あ、いえ、ストアの花は一応一処理必要でしたね、後で実際に作って見せてあげます」
「はい!」
いつもと変わらない工房の朝、今日も肉ポを大量生産するぞ! と意気込んでいたらレナ先生からこんなお言葉を頂戴した。どうやらやっと私も本当の見習い職人として認められた……のかもしれない。
「スノーはまだレベル4じゃなかった? あたしはその二つ5から作り始めたんだけど」
「あ、言うの忘れてました、昨日レベル5になったんです!」
「はやっ!」「早い」
大袈裟に驚くライカさんと、驚いているのか感心しているのかよく分からない物静かなアデラさん。スキル登録からレベル5まで四ヶ月も経っていないのだから無理もないと思うけどね。
ライカさんとアデラさんの二人はレナ先生の組んだスキル上げメニューに従って調合をしている。そのペースは一ヶ月で1レベル上げ、一年間でレベル10を目指すというもの。薬草学も同時にあげなくてはならないし、途中何かしらのトラブルに見舞われる可能性もある、さらにレベルを9から10に上げるのはかなりの時間が掛かるというので、余裕を持って一年間で10と定めているんだとか。
私の場合はポーションを製作する数を日に日に増やしていって、魔力の減り具合を確かめてから具体的な数値と目標を見定めるつもりだったのだが、いくら製作する数を増やしても一向に疲れる気配すらない。今ではもう自動生産で百個、あとは手作業で適当に作るか工房内で遊んでおけばいい、という自由さだ。
ありがたい事に、魔力関係の特別スキルのおかげで二人に比べるとかなりのハイペースで進んでいるみたいだね。ちなみにアデラさんも魔力は多めらしいけど、特に急いでいるという訳でもないのでのんびりと通常ペースの方がいいらしい。
確か初めて会った時の二人のレベルは、ライカさんが6でアデラさんが8だった筈。現在は8と9だったかな? ……私のせいでペースを乱されて予定より少し遅れてしまっているんじゃないだろうか……?
む、むう、揉ませて揉ませてと強請りすぎていたのかも……。ライカさんは尻尾もね。何かしらのお返しを考えておこうかな。
「なんかこのまま行くとあっという間に追いつかれて追い越されそうよね、新しい製作に入るとスキルの上がりも早くなるし。アデラは10になったら調理に行くんだっけ?」
ああ、やっぱり作る物によってスキルの経験値と言うか、上がる速さが変わってくるんだ? となると手作業での失敗が出てきたり魔力の消費も大きくなりそうだね。この辺りもしっかりと勉強しなければ。
「うん、その予定。でもスノーが10になるまで待つのもいいって思ってる」
「え? あ、一緒に調理を習い始めようっていう事ですか。確かにそれもいいですねー」
二人で仲良くゼロからスタート! そしてさらに深まる絆! おっぱいを揉ませてもらえる頻度も上昇するというものだ。素晴らしい話じゃないか……!!
「やめときなさいって、どうせこの子のハイペースについて行けなくなるオチが待ってるだけよ? 少しでも先に始めてリードしておかないと」
えー? そんな事ないと思うんだけどねえ……。
「そ、そうかもしれませんね。でも、アデライーデさんはアデライーデさんでまずは自分を第一に考えてくださいね。スノーのことを気に掛けてもらえるというのは親としてありがたい事なのですけど、スノーがレベル10になるのはまだまだ先の事になると思いますから」
「分かった。またその時に考える」
「アデラさんはもうすぐ10になっちゃいそうですねー」
あと一ヶ月も掛からないくらいまできているんじゃないかな? この話はまたその時に、だね。部屋が変わった後にどうやっておっぱいを揉ませてもらいに行くか、などの打ち合わせもしておかないと。
「はあ……、アデライーデさんが正式に登録して折角職人が三人にまで増えたというのにもう次の部屋のお話ですか……。スノーも10までの予定ですし、すぐにライカさんだけになってしまいそうですね……」
あ、レナ先生が遠い目を……。
まあ、私のレベルが10になるまでにはまだ半年以上は掛かるだろうと思うし、その頃にはまた一人か二人新しい職人さんが来てくれますよ! でもレナ先生目当ての男の人だったら全力で追い出しに掛かりますけどね!! おっぱいの大きな女性職人さんなら大歓迎であります!!
所は変わって⑤ブロックの素材の販売所前。レナ先生と二人でマナミの葉とストアの花を買いに来たのだ。
いつもは予めレナ先生が素材を用意してくれているのだが、自分で必要分を買って製作し、完成品を買取のカウンターまで売りに行く、という一連の流れを教えてもらえるらしい。やはり超初心者は今日で卒業のようだ。
これだけ広い工房となると販売所もそれ相応の規模の物がある、のかと思ったら全然そんな事はなかった。初めて見たときは職人さん達の憩いと情報交換のスペースかとも思ったくらいだ。
販売所の作りを工房の見取り図で説明すると、②ブロック下側の壁から四角くカウンターが伸びているだけの簡単な作り。倉庫と直結していて素材をカウンターの中に置いている訳ではなく、かと言って店員さんが毎回倉庫から商品を運び出して来る面倒な仕様でもない。ここもゲームならではの面白いシステムが用意されていた。
レナ先生の言うとおりにカウンターに近付いて、軽く手で触れる。すると目の前に大きめのウィンドウが一つ表示された。
一見するとインベントリに近く、タブで素材の分類が分けられていてお目当ての品も探しやすい親切設計。まさにゲームのお店その物だ。
実は食堂近くにある完成品の販売所も同じシステムなのと、ここにも散歩中に何度も遊びに来ていたのでどんな物かは前から知っていたんだけどね……。
「スノーは職人登録をしていますからその一番端の、オススメのタブですね。自分の登録しているスキルレベルに見合った素材が表示されるんですよ。割引されるのはオススメのタブの中から購入した場合だけですからそこだけは気を付けてくださいね」
買い物のウィンドウは他の人から見ても何が表示されているか確認できる。売られている物は同じなのだからそれも当たり前なんだろう。
「はーい。オススメオススメ、っと」
オススメのタブをポチッとタッチ。今現在の私のレベルで割引されるのは……、リフリ草、マナミの葉、ストアの花、ベースポーション入りの小瓶の四種だけみたいだった。5程度ではこんなものなのか。
それにどうやら乳鉢や乳棒、薬草採取のための刃物など、所謂生産器具の類には割引は適応されないらしい。これから先何が必要かは分からないけれど少し残念だね。
ベースポーションは10ゴールド、リフリ草は5ゴールドでどちらも星の数は一つ。星ゼロと二つ以上の素材は先生たちが全部管理しているんだろうか? ……うん!?
「マナミの葉は星一つで15ゴールドもするんですか!?」
「え!? ええ。魔力に関係する素材はどうしても高めになってしまいますね。特にマナミの葉は調理でも多く使われますから。ふふふ」
私の大声に驚かれて、さらには笑われて撫でられまくってしまった。周りにいた職人さん達からも生暖かい視線を送られている。は、恥ずかしい……。
そういえば全職人愛用の『マナミティー』はマナミの葉のお茶だったか、なるほどあれは調理スキルで作られていたんだね。苦いのは嫌いだからと食堂で売られていても目に入れないようにしていたせいで半分忘れかけていたよ。
という事は、だ、『初級魔力回復のポーション』を一つ作るのに25ゴールドも掛かるという事か……。果たして買い取り金額は幾らになっている事やら。差額が初級肉ポより高いと嬉しいんだけどなー。
とりあえずマナミの葉とストアの花をそれぞれ一つずつ購入して買い物は終わり。清算すると倉庫内にある商品が自動的にインベントリに送られてくるらしい。なんという超技術! ベースポーションは山ほど常備してあるので特に買い足す必要はないね。
ちなみにストアの花は一輪で8ゴールドだった。合わせて23ゴールドの出費だ。高いのか安いのかよく分からない金額だが、小さな花一つでおにぎりが十個以上買えると考えると……、やはりお高い!! 調合のスキルが不人気なのは、素材が割高なのも原因の一つになっているんじゃないだろうか!?
いつもカウンターの中でぼーっとしてるか本を読んでいる店員のお姉さん(普通サイズ)に別れを告げて、調合部屋へとんぼ返りする。ここは私の知っている中では一番混雑している場所なので、あまり長居をしていては他の職人さん達の邪魔になってしまうからね。勿論このお姉さんとも仲良くなって揉ませてもらう予定です。この人ごみのせいでチャンスが中々巡ってこないけどね……。
後で聞いた話なのだが、このゲーム的な販売方法はカウンターの中にいる人物の魔力を使って動かしているらしい。人の魔力を動力源とした自動販売機、というのが一番しっくりくる表現かな。もしお金に困る事があったらここで魔力タンクとしてアルバイトをさせてもらおう。
調合部屋へと戻ると早速レナ先生の膝の上に座らさせられてしまった。もう完全に慣れたものなので特に文句はない。むしろおっぱいが揉みやすいので大喜びの大歓迎だね。
製作に入る前に思い切りおっぱいを揉ませてもらい、頬擦りしまくって心を落ち着けて頭を切り替え、さらにおっぱいエネルギーも補給する。これで私の準備は完了だ。
「ふふ、可愛い……。さて、まずは『初級魔力回復ポーション』から作ってみましょうか。基本はリフリ草と同じ感覚で構いませんけど、少しだけ魔力を多く注ぐ感じでやってみるといいかもしれませんね」
私の頭やら頬やら首やら手やら太腿やらお腹やら、全身撫でまくりながら説明とアドバイスをしてくれるレナ先生。新しい事を教えられるというのが嬉しいんだろうか? くすぐったい。私もお返しとばかりに先っぽを攻撃、するのはやめておこうか。
「はい! やってみますね」
乳鉢の中にマナミの葉を手でちぎり入れ、リフリ草の時より気持ち多めに魔力を注ぎながら乳棒で磨り潰していく。ああ、15ゴールドが潰れていくわ……。
特に問題もなく青い液体が出来上がったのだが、固形物の感触が無くなるまでに少し時間が掛かった様な気がする。まあ、五秒程度の差くらいしか無いと思うが。
もしかしたら失敗? 魔力の注ぎ方が足らなかったか? と思ってとりあえず鑑定してみる。
[マナミの葉(液体)]
品質★☆☆☆☆
マナミの葉を磨り潰して出来た液体。
ふむ、杞憂だったか、安心安心。しかし鑑定がレベル4だと説明がそのまますぎて面白みがないな……。せめてあと1は上げておかないといけないか。
まあいいや、今日はまだ教えてもらう事が沢山あるんだし、おっぱいエネルギーが尽きてしまう前に次へ次へと参りますか! ま、すぐ補給できるんだけどね。
ベースポーション入りの小瓶にマナミ汁(今命名)を流し入れ、今度はさらに多めの魔力を注ぎながらシャカシャカと混ぜ合わせる。
振り始めてからほんの数秒で青い透明なポーションが完成! 早速鑑定だ。
[初級魔力回復ポーション]
品質★★★☆☆
失った魔力を僅かに回復する。
「よーし、できまし星三!? なんで!?」
「え!? あ、本当に三個ですね……」
「こっちは二個すら滅多に出来ないってのに! やっぱりずるいわこの子」
「特別スキルの効果? 羨ましい」
ず、ずるくないです! やっぱりずるいかなあ……。何度も言うけど個人的にはそのフサフサ尻尾の方がずっと羨ましいんだけどなー!
そこで閃いた! まさか私の『生産品質向上(特)』とかいう意味不明な特別スキルの効果は、『魔力を多く注げば注ぐほど完成品の品質が上がる』のではないだろうか!?
ワクワクと心弾ませながら、続く『初級体力回復ポーション』の製作時にはこれでもかと魔力を注ぎまくってみた結果……、残念ながら星の数は二つだった。
なーんだがっかり、ただ運が良かっただけだったんだね。まったく驚かせて、期待もさせてくれちゃってもう……!!
ちなみに液体にするのは花弁部分だけだったので、タンポポに似た花弁の数が多いストアの花はもの凄く手間が掛かって面倒でした。ライカさんとアデラさんは手作業で全部やっているみたいだけど、私は自動生産オンリーで決定だね。
「少し驚かされてしまいましたけど、ふふ、おめでとうスノー。これからは自分の作りたい物を自分で選んで作ってもいいですからね。個数はこれまで通り制限しますけど」
「はーい! 色々考えて頑張ってみますね」
「自分だけで考えないでたまには先輩も頼りなさいよ? ま、何かあったら真っ先にレナ先生に聞くと思うけどね」
「そうですね、ふふふ。もう可愛くって嬉しくって、毎日本当に幸せなんですから」
「むう、恥ずかしいですよ……」
「ふふ、可愛い可愛い。スノーは子供だからもっと甘えてもいいと思う。レナ先生も喜ぶよ」
ぐぬぬ……。それじゃ早速その素晴らしい張りと弾力の特大おっぱいに甘えさせてもらうとするかな! できたら生でお願いします!!
続きはまた明日の0時に投稿予定ですおっぱい。




