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その1

まずはログイン当日の話が長々と続きます。

ゲームらしさ(?)が出て来るのはその後からの予定です。




 右を見る、左を見る。

 別に横断歩道をよく確認してから渡ろうという訳ではない。まあ、ただの観察だ。多少挙動不審な輩にに見えるかもしれないが、いや、この姿なら迷子と間違えられそうか。ぐぬう……。


 石畳で舗装された道を様々な人種の人々が行き交う、そんな様子をかれこれ十分ばかりは眺めていただろうか。さすがにそろそろ行動を起こさないと拙いとは思うのだけれど……、まずは何から手を付けたものか。自由度が高すぎるのも困りものだ。


 全く考えが纏まらないので、もうちょっとだけこうして流れ行く人々を観察させてもらおう。

 聞いていたとおり人間が一番多い。次いで動物の耳や尻尾を付けた、いや、付いていると言った方がいいか。個人的にはあまり好きな呼び方ではないが、獣人が目に付く。他にも一見よく分からない種族の人もちらほら見えるが、大体は人間と獣人が九割近くといったところか。


 ふむ……、ファンタジーだねえ……。


「さて、どうしたものかな……」


 こちらの世界では、私のお仲間である耳が長い種族のエルフは希少種族なのか? 同じ種族の隣人がいなくては新生活の第一歩目が踏み出しにくいじゃないか、まったく。やれやれだね。


 私の当面の目標は、まずその目標を作る事から始まった。






『ファンタジーが溢れるゲームの世界で、第二の人生を始めてみませんか?』


 などとよくありそうなキャッチコピーで募集されていた次世代型オンラインゲーム、らしき物。私は今その世界のスタート地点に立っていた。


 このゲーム、かどうかも分からないVRシステムの面白い所であり恐ろしい所は、謳い文句の言葉その通り、第二の人生を歩む事が主軸となっている。つまり、実生活を捨ててゲームの世界に入り込める人のみがプレイする事ができる。


 リアルと見まごう程に作りこまれた一つの世界で、プレイ中どんな事があろうともログアウトは許されず、死んだらそこではいサヨウナラ。現実世界でも死んでしまうらしい。

 厳密に言えばプレイヤーの前の人生は既に終わっているのだから、現実世界とは今のこちら側を指すのだけれど……。まあ、こまけぇこたぁいいんだよ、だ。これからは現実リアルではなく前世と呼ぶ事にしよう。


 ルールは二つ。利用料金は参加者の命、途中下車は認められない。ただそれだけの事だ。


 何を馬鹿な、と思われるのが当たり前だと思う。だがそんな馬鹿を貫き通したのがこの名前も聞いた事もない怪しげな会社。法的な事やらなんやらかんやら難しいお話も裏ではあったのかもしれないが、人生を捨てようと考え応募した私たちには本当にどうだっていい事だ。難しい言葉の羅列された書類四百二十二枚全部にサインするのはかなり面倒だったなー、くらいしか心に残っていない。


 サインを終えたら数日間かけてゲームのプレイ方法についての長い長いレクチャーを受け。それも終わったログイン当日、素っ裸に引ん剥かれ、スライム状の怪しい液体の詰まった一人用のプールに落とされたのが前世での最後の記憶か。


 今思うとかなり恥ずかしいな、男の人だって周りに何人かいたのに……。二度と会う事はないだろうからそこまで気にならないけど、もうちょっと気を使ってほしかったね。ま、こんな幼児体系に興奮するのは生粋のロリコンくらいなものだし、実際リアルだとロリコンなんて輩は早々いないもんだ。そういう物は二次元の世界だからこそなんだろう、きっと、うん、そう思いたい。思わないとやってられないわ。ちくせう。



 私がなんでこんな馬鹿げた企画に応募したのかは……、ん? ああ、それこそどうだっていい事だったね。前世の私は既に死んでいるのだから……。(キリッ)


 今私カッコいい事言ったよ! キリッ、とかやっちゃったよ! 結構恥ずかしいわこれ。あ、ちなみに服は気付いたらちゃんと着てたよ、残念でした!




 昔を思い出すのも現実逃避をするのもこれくらいにしておこう。これからの事、未来について考えなければならない。まずは現状整理といこうかね。


 ここは、ええと、何だっけ? どっかの国のどっかの町だ。大き過ぎず小さ過ぎず、かと言って決して田舎ではない。そんな町だ。この町から私の第二の人生がスタートする事になる。名前は忘れてしまったので後で調べよう。

 プレイヤーのスタート地点は、安全な場所からランダムで割り振られていくらしい。かなり広大な世界で、同じ町に二人以上送られる事はまず無いだろうとのこと。まあ、その方が気が楽ではあるかな。


 さーて本題に入ろう。人生と言うからにはまずは生活基盤が必要だね。住む場所に着る物に食べる物、それを手に入れるための先立つもの、お金、つまり金銭を稼ぐための職が必要だ。

 一応前の体とは大違いで、それなり以上の身体能力と、ゲーム的なシステムやスキルを扱えるという強みが今の私には有る。多分冒険者とやらになってもどうにかなるだろう。支度金も3千ゴールドと結構持たされているのでそこまでの焦りはまだ感じない。

 ならなかったらならなかったで、この可愛さ溢れる、そして庇護欲溢れる現在の姿を大いに活用し、人のいい老夫婦か誰かに面倒を見てもらおう。……いや、半分冗談ですよ?


 そう、容姿と言えば、前世と同じ140cmも無い低身長の童顔に、ただ耳が長くなって髪と瞳の色が青色に変わっただけじゃないか。第二の人生と謳いながら容姿は前世と殆ど変わらないとは、このゲーム会社も作りこみがまだまだ甘い……。

 自分の姿の確認ができたのは、今私がいる所、多分町の中心部にある広場に噴水があったからだね。落ちそうになっていきなり第二の人生に幕を閉じかけたのも今となってはいい思い出だ。



 はあ、こんな時に積極的に周りの人に話しかけられればいいんだけど、私ってアレなのよね、シャイな性格なのよね。無口系の美少女なのよねー。どこかに冒険者ギルドまで引っ張って行ってくれるようなお節介焼きはいませんかねえ……?


 ……いや、待てよ? 限りなくリアルに近付いていると言ってもゲームの世界なんだ、生産職を目指すのもありなんじゃないか? それならば冒険者なんて命の危険が満載な職に就かなくて済む。フフフ、冴えてるね私。

 よしよし、当面の目標は決まった。生産品を売ってそのお金で生活できるようになろう! いや、目標は高く、家やお店を持つのも視野に入れる、のはまだ早いが、道筋の先に置くくらいはしてもいいかもしれない。


 そうと決まれば生産関係のスキルを手に入れたいところなんだけど、前世で受けた説明の中にはスキルの使用方法はあっても入手方法は無い。ふむ、まずはやはり情報収集が必須で先決か。


 座っていた噴水の淵からひょいと飛び降り、やっとやる気を見せた私だが……、第二の人生(ゲーム)開始から軽く一時間以上は経過していた。自分でもこの先が思いやられてしまう。




「さて、どうしたものかな……」


 話は冒頭に戻ったわけではなく、もう一度同じ事を口に出してしまっただけだ。が、まあ、どうでもいいか。


 そこらを行き交う人々に適当に話しかけて、スキルの入手方法を聞けば済むだけの話だと思うのだけど、そこはやはりシャイな私、どうしても思い止まってしまう。もうこのまま宿に直行してベッドにダイブしたいくらいだ。そして一生引き篭もりたい。……うん? 一生?

 そういえばこっちでの私ってエルフなんだっけ? 寿命とかその辺りはどうなっているんだろう? いやいやちょっと待つんだ私、それはもっと余裕ができてから考えようじゃないか。今考え出すと思考が暗い方暗い方へと落ち込んでしまいそうだからね。


「お嬢ちゃん迷子? お母さんとはぐれちゃった?」


 ……? すぐ近くやや上から若い女性の声が……?

 気付いたら右隣に誰かが立っている。ああ! 私に話しかけてるのか! と合点がいったところでそちらを見上げると、目に入ったのは自己主張の凄まじく激しい二つの膨らみ。大きすぎて私の目線からだと顔が隠れてしまっていて見えない。


 ……なにそれこわい。


 顔が見えないまま返事をするのもなんなので、大きく一歩後ろに下がってみた。


「あ、ちょ、逃げないで! 私怖いお姉さんじゃないから! なんにもしないから安心して?」


 おっと、勘違いをさせてしまったか、これは悪い事をしてしまったね。ただ顔が見たかっただけですよーっと。


 笑顔で両手をヒラヒラとさせて、何も怖い事はしませんよーというポーズを見せるお姉さんは、人間ではなく獣人の人だった。ネコミミと尻尾が目立つ目立つ。それ以上に胸のサイズに目を惹かれてしまうんだけどね。


「こ、こんにちは。迷子じゃないです……」


 いや、人生の迷子ではあるんだけどね……。またカッコいい事言っちゃったよ!


「ああー! やっぱりかー!! ごめんね! ちっちゃい子だったからちょっと気になっちゃってさ。エルフなんて全然見かけないから完全に子供と思っちゃってたよ」


 まあ、前世ではまだ成人年齢には達していなかったし、子供と言えば子供で合ってるとは思うよ。


「だってこんな可愛い子が不安そうにキョロキョロしてれば誰だってそう思うでしょ? ね? だからごめんねー」


 なるほど納得、やはりこれは全面的に私が悪いね。


「いえ。えっと、迷子じゃないですけど、困ってはいたんです。それに、まだ大人と言える年じゃないですから。だから気にしないでください」


「うひゃ! 礼儀正しい!! やっぱどっかのお嬢様だったり? っと、このままサヨナラってのも面白くないし勿体無いから、私にできる範囲でだけどその困り事とやらを手伝ってあげるよ? あ、私はカリン、カリンお姉ちゃんって呼んで? お嬢ちゃんは?」


 何か知らないけどお姉ちゃんが仲間になってしまった。ネコミミで巨乳でお姉ちゃんとは狙いすぎでしょう……。後でそのおっぱいを揉みしだかせて頂きたいね。


「私は……、私の名前はスノーホワイトです。スノーって呼んでください」


「変わった名前だねー。うん、スーちゃんね! よろしくスーちゃん!!」


「スーちゃん!?」


 随分と安っぽく略されちゃったなあ……。いや、まあ、いいんだけどね、うん。







おっぱいその0 スノーホワイト


青いサラサラのロングヘア、長さは腰まで程度。

身長は140に届かず、見た目は完全に子供です。

胸は触ってみれば膨らみが感じ取れる程度はあります。



おっぱいその1 カリン


橙色のショートヘアに同色の猫耳と尻尾。それ以上にはちきれんばかりの巨乳が目立ちます。

見た目年齢は十代後半。服装は細かく決めていませんが、へそ出しで生太腿は確定です。



この世界は髪と瞳の色が同じです。……多分。

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