割り勘はモテない
「割り勘でも、愛を実現できると証明したいんだ」
「それが浮気の理由として、持ってこれる神経は褒めてあげる」
彼女の目は冷たかった。冷めきった肉じゃがのように。
「ぼくは、カノジョには奢るタイプだ。全奢りだ。しかし、奢っているから、付き合えたと思われたくはない。だから、割り勘でも女子を落とせると証明しないといけないんだ」
最近は、理系の恋愛が流行っているらしい。僕も、愛を証明しないといけない。そのためには、数多くのモテる原因をすべてそぎ落としても残る愛の核を見つけないといけない。
お金とか学歴とか容姿とか、そんなものではない、僕の心が、きみを選んだんだと。
単純接触効果で好きなったんじゃない。
僕は運命で君を選んだんだ。
「それ、もし割り勘で彼女できなかったら、わたしは奢られたから、付き合った女扱いなのかな」
あ、笑顔で怒ってる。
そんなことするから、世の男性は女は怖いってーー。
あ、ごめんなさい。そんな笑顔マックスにしないで。
「違う違う。これは、僕の業だよ。そう君は悪くない。」
なるほど、すごいな、悪いのは君じゃない。
「うん。わたしは一切悪くないけど」
あれ、効いてない。聞いてない。
「わたしが浮気されても許す女だと思う?」
「それが真の愛ならば、浮気なんていいじゃないか。僕の本気はすべて君に捧げている。これは愛の実験なんだ。僕が真の恋愛をするための」
「さてと、わたしの愛の実験にも協力してくれる」
ん、何かな、そのバールのようなものは。
僕は暴力には屈しない。DVされても、君への愛はなくならないよ。
「わたし、思うんだよね。本当に愛しているならば、甲子園に連れていってくれるように、同じ大学に行ってくれるって」
僕をT大に連れて行く気かっ!
無理だ。
僕はバカだ。僕は活字なんて読まない。文字なんて理系には無理だ。僕は、理系なんで、数学と物理だけの大学にいきます。
「大丈夫。人の気持ちの勉強しようか」
「あ、やべー。」
口から漏れてしまった。
「どうしてわたしは、恋人の間に挟まれてるの」
割り勘される系女子を、ファミレス、ザイゼに連れてきた。ザイゼですら、おごらないオレの財布の固結び。
「ぼくは今から、きみを割り勘で落とす」
「ごめんなさい。割り勘で落とすって何ですか?」
「いい。あなたは、割り勘でもこの浮気クズ男に好意を持つの。いいわね」
僕の彼女は、静かに言った。僕に筒抜けだけど。
「あ、はい」




