番外編『欠番資料』
記録番号:――
作成日時:不明
作成者:記載なし
本資料は、
通常の分類手順に従っていない。
参照項目が存在しないため、
照合は行われていない。
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【概要】
当該期間中、
処理対象として認識されなかった事案が
一件、存在していた可能性がある。
ただし、
発生日時・場所・関係者について
確定できる情報は残っていない。
当番表との照合を試みたが、
該当欄は空白であった。
欠勤記録ではない。
代理対応の記載もない。
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【経過】
掲示板ログ内に、
該当事案を想起させる語句が
断片的に確認された。
ただし、
当該語句は複数の文脈で使用されており、
特定の事象を指すものとは判断できない。
統計的逸脱も認められない。
対応履歴は存在しないが、
未対応として扱う根拠もない。
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【判断】
本件については、
判断に必要な前提条件が不足している。
問題が顕在化していない以上、
処理を行わないことは
判断の放棄には該当しない。
よって、
本資料は参考扱いとする。
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【備考】
本資料は、
いずれの分類にも属さない。
再参照の必要性は低い。
ただし、
同様の欠番が複数確認された場合、
記録体系そのものの再点検が
必要になる可能性がある。
現時点では、
その兆候は認められない。
以上。
この物語では、
誰も間違った判断をしていません。
制度は適切に機能し、
登場人物たちは誠実に振る舞っています。
それでも、
何も起きなかったという結果だけでは
説明しきれない感覚が、残ります。
それは失敗でも、抑圧でもなく、
ただ 使われなかった反応です。
それらは処理されず、
記録にも残らず、
問題にもなりません。
だからこそ、
今もどこかで、
静かに生成され続けているのかもしれません。




