表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

救済2 世紀の大泥棒参上! その4

ー真白様の天啓から9日後ー


山田、古賀、ジェットは、閉館した下野美術館にいた。


「本当に今日でいいんだな?」


山田は古賀に確認を取る。


「はい。今日が、真白の信者が全員警備員として配備できた日です」


「んじゃ、行くか」


古賀とジェットは山田の後に続く。警備員の前に立つ。警備員はニコリと笑い帽子を取る。


「お疲れ様です。真白様の加護が在らんことを」


「あー、はいはい」


山田はうんざりと言った感じで返事をする。古賀は人のいい笑みを返し、ジェットは黒いキャップを深く被った。


「・・・真白の犬になって楽なのは潜入だな」


山田がポツリと言うと、古賀が案内図を見ながら道案内をする。


「その代わり、失敗すれば即死ですけどね」


ジェットは美術館の展示に興味があるのか、キョロキョロしている。山田たちが話している間にも、警備員が現れたが、全員にこやかに会釈するぐらいだ。


ちなみに、監視カメラの映像は古賀が誰もいないものと差し替え済みなので、カメラの視覚を気にせず、客のように堂々と廊下の真ん中を歩くことができる。


山田たちが雑談しながら歩いていると、目的の場所に到着した。


南アフリカの太陽と呼ばれる宝石が展示されている特別展示室だ。部屋は電気が消えているが、廊下から入るわずかな光に反応して、輝いている。


「・・・ついたか」


ジェットが、肩に抱えていたボストンバックを地面に下ろし、銃を迷いない動作で組み立て始めた。


その間に、山田と古賀は赤外線ゴーグルをつける。


「うわッ!どんだけあんだよ」


山田は文句を言う。山田が赤外線ゴーグル越しに見たのは、無数に張り巡らされた赤外線センサーだ。幾重にも重なった赤外線センサーは手編みのセーターのようになっている。


「少し待ってくださいね」


古賀が、赤外線ゴーグルで見えているデータをノートパソコンに繋げて解析を始めた。しばらくすると、解析完了の通知音がなった。


「角度割り出せました」


「こっちも組み立て完了だ。いつでも撃てる」


山田はどうだ?と言わんばかりに2人の視線が彼に集中する。


「〜ッ!!なんで俺ばっかり肉体労働なんだよ!!」


山田は、来ていた服を脱ぎ、身体のシルエットがわかるぐらい、タイトな作業着姿になった。


そう、犯行予告当日は厳戒態勢の警備がされるため、素人の侵入は無理と判断した4人は、警備が手薄な日に本物とレプリカを入れ替えることにしたのだ。


「マジで、うまく行くんかこの作戦全部!!」


山田が文句を言いながらも、手袋をつけて準備を進める。


これから、青桐が考えるトリック(詐欺)のために、あたったら即警報の綱渡り作戦が始まる。



青桐が考えたトリックのため、本物のダイヤモンドを泥棒キッズが盗む前に盗み出すことになった。山田、古賀、ジェットの3人。


それぞれが、準備を終えた。


「ジェットさん、右に2、下に5のポイントを撃ってください」


「了解」


古賀の指示で、ジェットは引き金を引く。赤外線センサーの網目を縫うようにまっすぐ弾道が伸びる。壁に着弾すると、ジェットは銃身から伸びる線を慎重に引っ張った。


この線は、特殊な釣り針で大人2人がぶら下がってもきれないほど丈夫である。


ジェットはその紐を持って、展示室から反対の壁に向かうと、その壁に特殊な装置をつけ、その糸をくくりつけて、特殊な鋏で糸を切った。


最後に、体重かけてひっぱり取れないか確認すると、山田の方を見る。


「・・・できたぞ」


「わかった」


山田は、少しストレッチをするとジェットが仕掛けた糸に腰につけたベルトをくくりつける。


「山田さん、急いで」


「わかってる」


古賀のノートパソコンに入っている計算ツールで、山田の体が通ってもぶつからない最適な場所に、ジェットの狙撃技術を応用して、糸をつけた。


赤外線センサーの配置は、30分ごとにランダムに切り替わる。そのため、30分以内に盗み出す必要があるのだ。


山田は、古賀とジェットの仕事を信じ、全体体重を糸に預ける。身体が横になり、背が宙に浮いている状態だ。山田はその状態で糸をたぐるようにゆっくりゆっくりと進めた。


赤外線ゴーグルの視界を頼りに、身体が当たらないよう慎重に慎重に進んでいく。


赤外線センサーの配置切り替えまで、後23分


幾重にも重なっている赤外線センサーは、古賀の計算ツールによる解析をもってしても、山田が3cmぐらいの感覚を空けて渡れる隙間しかなかった。


彼の髪の毛一本一本レベルで言うと、1cmでも頭がブレると、赤外線センサーに当たってしまう。


古賀とジェットは手に汗を握りながら、山田を見守る。やがて山田は、目的の宝石まで辿りついた。


「フーッ」


山田は息を吐く。宝石が展示されている周辺は誤作動防止のため、赤外線センサーは無い。束の間の休憩をしていると古賀が話しかける。


「山田さん、少々お待ちください。ケースのロックを遠隔で開けます」


「おう、頼むわ」


しばらくすると、山田の背後からケースが解除音がなった。山田は身を捻り、本物とレプリカを入れ替える。


「古賀〜閉じてくれ〜」


山田はそういうと、その言葉を合図にケースが自動で施錠された。それを確認し山田は元来た道を戻る。


赤外線センサーの配置切り替えまで、後6分


山田は、足の先から髪の毛一本一本まで気を使い、ゆっくり戻る。


赤外線センサーの配置切り替えまで、後2分


山田の足が、出てきた。そのまま、腰、胴、頭と進んでいく。


赤外線センサーの配置切り替えまで、後35秒


山田が完全に出て、糸を離した瞬間。ジェットは壁につけた特殊装置のスイッチを押す。


キュルル!!!


装置についている巻き取りが作動し、展示室の壁についた吸盤がその衝撃で外れる。そして、弾道の軌道をなぞるように戻っていく。


赤外線センサーの配置切り替えまで、後4秒


完全に巻き取りが完了した。


赤外線センサーの配置切り替えまで、後0秒


ピー


短い音と共に、赤外線センサーの配置が切り替わった。


「異常なしです」


古賀が赤外線センサーが警戒モードになっていないことを確認した。


「あーー!!つっかれた!」


山田は安心したのか、今までの緊張を外に出すように叫んだ。


宝石を盗み出し、下野美術館を後にする。山田、古賀、ジェットの3人。だが、ジェットがずっと押し黙っている。


「どうしたんだ?ジェット」


ジェットはキャップのツバを掴みながら、ぶつぶつ話している。山田と古賀はジェットの口元に耳を傾ける。


「美術館で宝石を盗み出すなんて、次⚫︎大介さんみたいだ・・・生きててよかった・・・」


(聞かなきゃよかった)


山田は何度目かわからないため息をついた。



下野美術館から出て、古賀の隠れ家の一つへ戻ってきた、山田、古賀、ジェットの3人。そこには、電話で何やら会話している青桐の姿があった。


「あ、!はい〜ありがとうございます〜!ほなまた〜!」


山田たちが戻ってきたタイミングでちょうどよく電話を切った青桐は、細い目を釣り上げたいつものにっこりした笑顔で出迎えた。


「いやはや〜さすが!お早いですね〜」


「青桐は何してたんだよ?」


山田は荷物を下ろしながら、青桐に話しかけた。


「いや〜次の仕掛けをね・・・?」


「根回しは完璧というわけですね」


古賀が、青桐の段取りの良さに感動する。


青桐自体は、詐欺師として裏世界で有名だが、彼が裏切ることはあり得ない。


今回の救済において、指名された4人は、失敗すれば一連托生であるからだ。つまり、真白の犬同士の裏切りをしても、自分の首を絞めるだけである。


「・・・次俺らがすることはあるのか?」


ジェットの問いに、青桐は少し考える。


「う〜ん?古賀さん以外はないですね。当日にちょっと、泥棒キッズと遊んでもらうぐらいです」


「「?」」


青桐の言い分に疑問を覚えた、山田とジェットだが当日になってその理由を知ることになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ