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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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83/110

分枝と本源

一部の傷は塞がらない…

それは、癒えるためにあるのではなく、

証人として残るためにあるからだ。


あの夜語られたことは、物語の終わりではなく、

遅すぎる理解の始まりだった。

真実は、ついに語られる時が来ても、

常に解放をもたらすわけではない…

時には、心を一層重くするだけだ。


小屋の静寂の中で、

燃えていたのは火だけではなかった。

窓の外に降っていたのは雪だけではなかった。

内側では、もっと深い何かが裂けていた。

見えるものではないけれど…

その痕跡が、これから来るすべてを変えていく。


イザン: 続けてください、おじさん…

たとえ、その先に待つものが

僕を壊してしまうとしても。


(フラッシュバック)

イザンに語られなかったこと、

ケイナンが言い尽くせなかったこと…

それは、彼の言葉の間にある沈黙、

そして、読者だけが知り得る真実として残されたものだ。


(フラッシュバック) ニムロドとその子ハーマンが住む家で

ハーマンはライスを見る…

しかし、知っている彼ではない。

一つの目、赤く、恐ろしく、

瞬きもせずに彼を見つめている。

白い煙と濃い黒が混ざり合い、

彼の首に絡みつく、

締めつける…

締めつける…

声が胸の中で潰されそうになる。

叫ぼうとする…

しかし、声が出ない。


突然——

ハーマンは飛び起きる。

息は荒く、胸が激しく上下する。

額と首は汗で濡れている。

暖炉の火はまだ燃えており、

壁に踊る影を落としている。

彼の傍らで、

ニムロドが黙って座り、

ゆっくりとナイフを研いでいる。

鋭い音が鉄を擦る…

静寂の中の規則的なひび割れ。

振り返りもせず、

重々しい落ち着いた声で話す。


ニムロド: 「ようやく目が覚めたか。」


ニムロド: 「何があって、あんなふうに自分を投げ出し…

ライスのために命を危険にさらしたのだ?」


ハーマンが突然振り向く。

目を見開き。

口がわずかに開く…

しかし、言葉が出ない。

沈黙。

ニムロドはナイフを研ぎ続けながら、

金属音が虚しさを満たす。


ニムロド: 「お前が自分のしたことを理解できていないのはわかっている。」

(一瞬、間を置く)

「しかし、私にとっては…

お前は正しいことをしたと思う。」


ナイフを研ぐのをやめる。

少し顔を上げる。


ニムロド: 「むしろ、賢者ハールーンのお前への敬意は増し…

今や、私よりもお前を愛するようになった。」


ハーマン: (声を低くして、ためらいがちに)

「父上は…?」


ニムロドが微笑む。

かすかな微笑み…

表している以上のものを秘めている。


ニムロド: 「彼はお前に、貴重なものを与えた。」


ハーマン: (さらに混乱して)

「どういう意味ですか?」


ニムロドが一歩近づき、

声がより深くなる。


ニムロド: 「伝説の血、ジランの血が…」


ハーマンの目がさらに見開かれる。


ニムロド: 「今、お前の血管を流れているのだ、息子よ。」

「お前は今この瞬間から…

絶対的な力を求める全ての者が憧れた、その血の継承者の一人となった。」


ハーマンが拳を強く握りしめる。

息が乱れる。


ハーマン: 「血の力…?

私には…おっしゃっていることがわかりません…」


暖炉の火が突然勢いを増し、

その名に反応したかのようだ。

そして沈黙が戻る…

前よりも重く。


ニムロドはナイフを研ぐのをやめる。

ゆっくりとナイフを上げ、

火がその輝く刃に反射する。

呟くように、まるでハーマンにではなく…

自分自身にも話しかけていないかのように。


ニムロド: 「しかし、この世界は…

お前たち二人のためには広すぎないかもしれない。」


一瞬黙り、

そして、より低く、重々しい声で付け加える。


ニムロド: 「これは将来…

『本流』と『分流』との間の…

争いを引き起こすかもしれない。」


言葉は、覆すことのできない判決のように落ちる。

ハーマンの目が凍りつく。


— 第82章からのフラッシュバック —


荘厳な瞬間…

ライスの目が赤く染まり、

黒い煙が白っぽい色と混ざり合い、

彼の体から立ち上る。

魔獣が彼に向かって突進する。


ハーマン: 「バカ…!」


魔獣が近づく。

ハーマンが目を閉じる。

そして——

目を開ける。

ライスが彼の前に立っている。

魔獣が彼の背後に倒れる、

魂の抜けた死体。


ハーマン: (愕然として頭を上げて)

「なにを…した?」


— 現在に戻る —


ハーマンがゆっくりと立ち上がる。

窓に向かって歩く。

雨が降り始める、

雫がガラスを流れ落ちる、

まるでまだ書かれていない運命の線のように。

ガラスに映る自分の顔を見つめ、

そして、かすかに…

謎めいた微笑みを浮かべる。

囁くように。


ハーマン: 「もしかして…

あのライスが持っているような…

力が、僕にも備わるのか?」


外では、

雨が強くなる。

内側では、

一つの疑問が生まれた。

それは、彼から決して離れない。


賢者ハールーンの宮殿では、

見えない重さで張り詰めた空気が漂っていた。

賢者の怒りは叫び声ではなく、

濃密な沈黙…

壁そのものが躊躇うほどの沈黙だった。

ハールーンが怒るとき、

バトゥールは息子を慰め、償おうとする

ライスは中庭の縁端に座っている 母バトゥールが近づいてくる


バトゥール: (優しく)「ライス、息子よ。これは嘘の代償よ。最初から正直に話していれば、許してくれたかもしれないのに。」


ライスが彼女に向かってゆっくりと顔を上げる。言葉はない。すると突然、ハールーンが傍らを通り過ぎる。

ライスは一言も発することができない。

彼の怒りは言葉で表現されるのではなく、

行動によって…

あるいは、その欠如によって。


外では、

マルワンが宮殿の中庭に立ち、

閉ざされた扉を見つめていた。


マルワン: (独り言のように)

「賢者様はお分かりだ…

そして、言葉ではなく、実際にお仕置きをなさる。」


早朝、

賢者は宮殿を出た。

彼のローブは動かず、

歩みは落ち着いているが、

彼の周りの沈黙はどんな嵐よりも重かった。


マルワンが急いで近づく。

マルワン: 「賢者様…どこへ?」


ハールーンは両手を背中に組み、

振り返らず…

答えない。

マルワンはすぐに理解する。

もう質問は無用だ。


賢者は道を進み続け、

ニムロドの家の傍らを通り過ぎる。

たった一瞥だけ…

一瞬の視線を投げかけ、

そして、まるでその場所が最初からそこになかったかのように歩みを続ける。


マルワンが一瞬躊躇い、

そして走り出す。

ニムロドの家に着く。

その前に立ち、

息を整える。


マルワン: 「賢者様に何があったのですか?」


ニムロド: (落ち着いて、冷静に)

「おそらく…

ライスが彼に嘘をついたことと、

あの出来事が気に障ったのでしょう。」


一瞬黙り、そして付け加える。

ニムロド: 「しかし、彼らはただの子供です…

子供は遊びと冒険が好きなものだと、あなたもご存知でしょう。」


マルワンが首を振る。

マルワン: 「ええ…

しかし、賢者様が心配されたのは、彼らが命を危うくしかけたからです。」


マルワンがハールーンの去った方向を見つめ、

そして、声を潜めて言う。


マルワン: 「しかも、賢者様は息子にはっきりと警告されていました…

遊びで森に行くことを。」

二人の間に沈黙が戻る。

そして、どこかで、

賢者の怒りは

変わり始めていた…

決断へと。


丘の上の孤立した場所で、賢者ハールーンが一人立っていた。

音もなく…風もなく…ただ重い沈黙が場所を包む。

彼は目を閉じ、ゆっくりと頭を上げ、突然消えた。

光も、爆発もなく、ただ微かな動き、まるで大地自体が起こったことを認識するのが遅れたかのように。

世界の別の端で、ハールーンは禁断の森の縁にあるオタラの村に到着した。

村の中では、赤い目が静かに見守っている…待っている。

ハールーンは静かな足取りで歩き、手を背中に組み、周囲を気にも留めない。

突然、すべての魔獣が村の中心へ向かって集団で襲撃を開始した。

空気が震え、鋭い叫び声が場所を満たす。

ハールーンはゆっくりと手を上げた。

一歩…そして魔獣たちは一瞬止まる。

彼の手には小さな板のようなもの、まるで風自体が彼の動きに応じたかのように。

魔獣たちは混乱して後退し、迂回しようとするが、彼は攻撃の中を驚くべき軽やかさで動き、

触れることなくいくつかを激しく押しのけ、他のものの進路を遮る。

一つ、また一つと、彼を取り巻く神秘を乱すことなく。

魔獣たちは、その力と数にもかかわらず、ハールーンの軽やかな一歩が大地に触れる以外は、一つの動きに支配されているかのようだった。

最も強力なものさえ、彼を襲うはずだったが、次々と彼の前に倒れた。まるで見えない力が彼らを押しのけているかのように。

ハールーンは立ち止まり、ゆっくりと振り返り、静かな目で彼らを見つめた。

囁くように、まるで誰にも話しかけていないかのように。

ハールーン: 「私はただ手を振っただけだ。」

その瞬間、村全体がこの力の威厳を感じた。

魔獣たちは消え去り、あるいは退き、静けさが戻った。しかし、それは…どんな嵐よりも胸を重くする静けさだった。


彼をそこに残そう。


賢者の宮殿に戻る。

中庭では、

ライスとハーマンが授業を待っていた。

ライスはうつむいて立っている。

ハーマンは恥じらいに包まれている。

彼らの近くには、

ニムロドとマルワンが立ち、

城門の外を見つめている。

突然——

遠くに閃く…

そして、不自然な速さで動く影。

賢者ハールーンが遠くから現れる。

彼のローブが風になびく。

マルワン: (ほっとした様子で)

「来られました…」

ニムロド: 言葉を発せずに見つめる。

驚きが彼の顔をよぎる。

(心の中でつぶやく):

この男…見かけ以上に神秘的だ。

突然、

ハールーンが立ち止まる。

静かで断固とした声を上げる。

ハールーン: 「マルワン…来なさい。」

マルワン: 「はい、賢者様。」

ハールーン: 「子供たちを呼びなさい。」

マルワン: 「はい。」

ハールーンがニムロドに振り向く。

ハールーン: 「準備をしておきなさい。

明日、氏族長たちとの会議がある。」

ニムロド: (驚いて)

「…承知しました。」

ライスとハーマンが近づく。

ライスはまだ地面を見つめている。

ハーマンは緊張して立っている。

ハールーン: 「よく聞きなさい。」

一瞬、間を置く。

ハールーン: 「今日から…

戦闘訓練を始める。」

ライスの目が輝く。

微笑む。

ライス: 「はい!」

ハールーンが冷たく彼を見る。

ハールーン: 「微笑むな。

訓練は容易ではないぞ。」

ハーマンが拳を握りしめる。

彼の目は熱意に輝く。

ハーマン: (独り言のように)

「そうだ…これだ…

この世界で最も強き者の下で訓練する…

それは、私を無敵の存在にする。」

沈黙が訪れる。

そして運命が…

その進路を変え始めた。


第83章 終わり

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