蛇の目
外 – 静かな森 – 昼
小さな小鳥が軽やかに飛び回り、くちばしでミミズをつかみ、空腹で口を開けたひな鳥たちの口に運ぶ。
巣の下で…
暗い色の蛇がゆっくりと、しかし恐ろしいほどの静けさで這い進む。
草をかき分けながら、幹に向かってゆっくりと登っていく。
枝にたどり着くと、蛇は顎を開き、一気にひな鳥たちを襲った。
小鳥は叫び、必死に守ろうとするが無駄だった。
まるで蛇が獲物を無慈悲に呑み込むように…
この世界も弱者に容赦しない。
そして、その恐ろしい蛇の目の奥から…
私たちの物語が始まる。
対決
シグランは驚愕の表情でユズンを見つめ、つぶやいた。
シグラン
「な、なぜ…どうしてこんな力があるんだ!?」
ユズンは素早くエヴリンの方へ向き直る。
エヴリンの目が見開かれた。
エヴリン
「あっ!こっちに向かってくる!」
指を動かすと、シグランが突然盾のように飛び出す。
シグラン
「くそっ!!」
ユズンは間一髪で止まり、拳はシグランの顔の寸前で止まる。
シグランの額から汗が一滴落ちた。
そして、激しい連続攻撃が始まる。
シグランの拳をユズンは全てかわすが、反撃はしない。
木の陰で
スカイが不安げに見守る。
スカイ
「介入して任務を終わらせるべきか…?」
アーゾンは穏やかに微笑む。
アーゾン
「少し待て…見てみろ、この戦いは面白い。
まさに二つの宝石だ。」
スカイ
「まだ小さいが…将来は素晴らしい。」
アーゾンの声色が変わる。
アーゾン
「聞け、スカイ…あの少年が欲しい。」
スカイ(驚き)
「まさか…リーダーは彼を組織に加えたいのですか?」
アーゾン
「こんな宝石を失うわけにはいかない。」
スカイはアーゾンを見つめ、目に欲望と不安が混ざる。
スカイ(小声で)
「リーダー…最も恐ろしいのは、この視線です。」
戦闘再開
シグランはエヴリンの操作のもと、さらに力強く攻撃する。
拳は炎を帯びていた。
シグラン
「くそっ!どうやって…!」
ユズンに向かって打ち込む。
ユズンは両手で受け止め、後方に滑るが倒れない。
シグラン(叫ぶ)
「聞け、この愚か者!全力でかかってこい!」
ユズン
「傷つけるかも…」
シグラン(にやりと笑う)
「傷つけるだと?夢見るな!俺はお前より強い…勝てるはずがない。」
フラッシュバック – 数年前
審判が中央に立ち、声を響かせる。
審判
「第一試合…シグラン・ザラン!」
観客は歓声に包まれる。
ユズンは固まった。
ザラン…?父の一族なのか…!?
審判が続ける。
審判
「対戦相手…フドス・ユズン!」
観客はざわめく。
「この一族は誰だ?」
「弱そうだ。」
ユズンは震えながらリングに入る。
初めての戦闘だった。
審判
「開始!」
シグランは稲妻のように突進し、一撃でユズンを倒す。
シグラン(笑う)
「退屈な戦いだ…すぐに終わらせる。」
ユズンは何度も立ち上がる。
体中に傷とあざがあるが、諦めない。
シグラン(怒り)
「なぜ諦めない、弱者め!」
現在に戻る
ユズンは目を細める。
少し頭を上げ、呼吸が荒く、目には痛みと記憶の影が映る。
ユズン(小声でつぶやく)
「くそっ…こんな形で対決したくなかったのに…」
拳を握り、声を強める。
ユズン
「よし…でも後で文句は言うな。」
猛烈な速度で突進する。
エヴリンが指を動かすと、シグランも向かい合う。
だが…
ユズンは消えた。
ただの消失ではない。
声さえも消え、背後に小さな空気の渦が巻き起こる。
理解できたのはアーゾンだけ。
アーゾン(微笑む)
「見つけた…」
ユズンはエヴリンの目の前に現れる。
全員の目が見開かれる。
エヴリン
「信じられない…!」
シグラン
「速さが増している!」
スカイ
「これは…異常だ!」
ユズンは蹴りを放つ。
衝撃で空気が震え、エヴリンの腰に直撃。
樹にぶつかり枝が折れる。
彼女は意識を失い、やがて人間の姿に戻る。
シグラン(傲慢に)
「よし…回収してチームに戻る。」
ユズン
「え—」
ユズンとアーゾンの対面
ユズン(心の中で)
「まさか…アーゾン?黒の夜明け団のリーダーだと…?」
シグランは歯を食いしばる。
シグラン
「この瞬間を待っていた。お前には借りがある。」
アーゾンは冷たい笑みを浮かべる。
アーゾン
「ふふ…子供が大きくなり、強者に挑むとは。しかし…今こそ興味が湧いた。」
ゆっくりユズンに指を向ける。
アーゾン
「お前だ。黒の夜明け団に加わらないか?
俺と一緒なら多くの戦いが待っている…そして騎士団の束縛から解放される。」
ユズンは固まる。
人生で初めて「必要とされている」と感じる瞬間だった。
スカイがそっと背中に手を置く。
スカイ
「そうだ、少年…加入しろ。今までの失敗作たちよりもお前は優れている。」
シグランはユズンを見つめ、動かぬ彼に苛立つ。
シグラン(心の中)
「誰かに選ばれるなんて…絶対に許さない。」
シグラン(叫ぶ)
「かかってこい!」
首都 – 病院
シャミルがラカンの部屋を出る。
シャミル
「今どこにいる?寄るそうだが。」
ラカン
「任務に出た。」
シャミル
「こんなに早く?」
ラカン
「彼もシグランもマヤも同行していた。突然、監察官ダリウスが訪れ、タジル村で仲間を援護するよう命じた。」
シャミルは目を見開く。
シャミル
「なぜまずギルドに呼ばなかった?」
ラカン
「最高司令官からの直接命令だ。」
シャミルは低くつぶやく。
シャミル
「…最高司令官…?」
ラカンは静かに頷く。
シャミルは「何か怪しい」と考えつつ、その場を去る。
瞬時に消えた。
ラカンは小声で呟く。
「一体、何が起きているのか…?」
皇宮
シャミルはハマンのオフィスに急ぐ。
秘書は驚き立ち上がる。
秘書
「シャミル様、いらっしゃい。どうなさいました?」
シャミル
「最高司令官に会いたい。」
秘書
「残念ながら…今は誰にも会いたくないそうです。」
シャミルは身を固め、ゆっくりドアを見る。
何かがおかしい。
目を見開き、つぶやく。
シャミル
「…予想通りだ。」
そして瞬時に消える。
秘書は叫ぶ。
秘書
「どこへ!?」
森 – シャミルの視点
シャミルは樹上を駆け抜ける。
「くそ…ユズンの秘密を知ったのか!?
奴は排除しようとしているのか!」
その瞬間、ハマンは闇の中に潜み、そのオーラを隠して二人の戦闘を見つめていた。
終わり – 蛇の象徴的な結末
暗い裂け目が開き、蛇はまるで小さな獲物を呑み込むように空間を吸い込む。
その顎が閉じると、腹は重く落ち込み、全ての終焉を告げた。




