影剣クラミ
病院 — ラーカンの病室
静かな病室。窓から差し込む柔らかな光。
ベッドに座るラーカンの周りには、弟子のスゼン、マヤ、そして父ハーマンとの修行で大きく変わったシグランが立っていた。
和やかな会話が続く中——
コン、コン。
ノックの音。
マヤが扉を開けると、
そこには 監察官ダリウス が立っていた。
ダリウス:
(シグランを見る——その瞬間、記憶が過去へ飛ぶ)
フラッシュバック
ダリウス:
「タジル村から多くの苦情が届いた。
倉庫管理の兵士たちが“異常がある”と言っていてね。
状況を確認するため、部隊員を派遣した。」
ハーマン:
「だが……彼らだけでは力が足りん。」
ダリウス:
「確かに。
ラーカン隊が必要だが……彼は前回の任務で負傷し、今は入院中です。」
ハーマン(瞳に怒気):
「ならば……ヒカリの息子の部隊を送れ。」
ダリウス:
「ですが、隊長の“ラーカン・ヒカリ”はまだ——」
ハーマン(鋭い声で):
「……彼“抜き”で行かせろ。」
ダリウス(青ざめながら):
「は、はい……申し訳ありません!」
現在へ戻る
ダリウス:
「すぐにタジル村へ向かえ。
仲間たちを支援してほしい。」
ラーカン(立ち上がろうとする):
「待て……俺も行く。隊長は俺だ!」
ダリウス:
「ダメだ。君はここに残れ。
彼らはもう子供ではない。
新帝国部隊の正式な一員だ。
そしてこれは“総司令官”からの命令だ……従ってもらう。」
ラーカン(悔しげに):
「……総司令官め。」
シグランを見ると、シグランは静かに微笑む。
ユズン(يزن):
「新しい任務か……」
マヤ:
「私たちだけで行くの?」
ダリウス:
「これが道順だ。
外に三頭の馬が用意してある。急げ。」
外 — 馬場
三人が馬に乗る……
ただ一人、ユズンだけが固まっていた。
マヤ:
「どうしたの?早く乗って。」
ユズン(顔が真っ赤):
「じ、実は……馬に乗ったことがなくて……」
シグラン:
「はぁ!?お前、本当に何もできないな!」
マヤ:
「じゃあ、私の後ろに乗ってもいいわよ。」
ユズン(心の声):
「マ、マヤの後ろ!?いや……シグランは絶対嫌がるし……くそ、どうすれば……」
マヤ:
「ほら、早く!」
——次の瞬間。
ユズンはシグランの後ろに飛び乗った。
シグラン:
「おい!!降りろ!俺の後ろに乗るな!」
マヤ:
「ど、どうして私の後ろは嫌なの!?」
ユズン:
「絶対降りない!!」
二人が馬上で揉める。
そして——
馬が突然暴走!
ユズン(しがみつきながら):
「し、しっかり掴まってえぇぇ!!」
シグラン:
「離れろ馬鹿ぁぁ!!」
マヤ:
「待ってってばぁぁ!!」
タジル村 — 戦場
燃えるような戦闘の中心。
イヴリン:
「くそっ……しつこすぎる!」
アドナン(الخيوط تحاصره):
「まだ動けないのか……この糸、どうにか切らねぇと!」
ルーカス は毒針をアミールへと放つ。
アミールは雷で弾くが、
背後からの一撃を避けきれず——
足に命中。落下。
アドナン:
「アミーーール!!」
ルーカス がアミールの首を掴み、木に叩きつける。
倒れているナダの横を通りながら:
ルーカス:
「邪魔だ。」
——容赦なく蹴り飛ばす。
アドナン:
「テメェぇ!!」
クララ:
「ルーカス、女の子には優しくしなきゃ〜? ふふ。」
ルーカス:
「敵に性別は関係ない。全員潰す。」
その時——
黒い火花 が、倒れていた アンス の体から立ち昇る。
帝都 — ハーマンの執務室
窓際に立つハーマン。
その目が突然大きく見開かれる。
ハーマン(低く):
「……確かめねば。」
静かに部屋を後にする。
タジル — 覚醒の瞬間
ルーカスはアミールを持ち上げ、再び殴りつける。
ルーカス:
「弱すぎる……」
その瞬間——
闇の波動が爆発。
全員が振り返る。
アドナン:
「なっ……これは……
アンス!?」
ゆっくりと目を開けるアンス。
アンス:
「……俺、気絶してたのか……?」
目に映るのは、倒れるナダ、動けないアドナン、
そしてアミールを弄ぶルーカス。
ルーカス:
「起きたか。
ちょうどいい……次はお前だ。」
クララが巨木の根を放つ。
アンス——
黒い影の剣を顕現させ、
一瞬で全てを斬り裂く。
クララ:
「そ……そんな……!」
イヴリンが糸を放つが、
アンスはただ一歩踏み込み、正確に切断。
イヴリン:
「糸が……!どうやって見たの!?」
アドナン:
「これが……アンス・コラミ。
無口だが……
やる時は完璧にやる男だ。」
章の終わり
コラミ一族の子——
アンスが目を覚ました。
闇の気配の正体は?
そして、この戦いの行方は——?
その頃、
ユズン、マヤ、そしてシグランは
タジルに近づきつつあった。
作者から読者へ
読者の皆さん、本日は思うように楽しませられず申し訳ありません。
しかし——次回からは本物の伝説級展開が始まります。
皆さんの期待を必ず満たしてみせます。
ここから物語は大きく“転換”します。




