影が動き出す
これまでの出来事の後──
指揮官アドナン・カグチ、アミール・リコザ、ナダ・ヒカリ、アナス・コラミの四人で構成されたチームが、
シーグラン捜索の任務を終え、首都への帰還命令を受けた。
帰還の途中、彼らはアルマザ帝国領内のとある村に立ち寄る。
村に入った瞬間、アドナンは異様な空気を感じ取った。
村人たちは彼らの姿を見ると、言葉を交わすこともなく家へ逃げ込むのだ。
アドナン:「この村……何かがおかしい。以前はこんな雰囲気ではなかった。」
ナダ:「どうかしましたか、先生?」
アドナン:「この村は“タジール”と呼ばれている。
帝国でも最高級の革を生産し、腕の立つ職人たちで有名だ。
多くは首都で働いているはずだが……」
不穏な沈黙の中、彼らは首都へ向けて再び歩き出す。
その頃、高い崖の上。一本の大樹の影から、三人の謎の人物がチームをじっと見下ろしていた──。
場面は変わり、アルマザ帝国軍の要塞。
将軍ライデン・リコマは執務室で報告書に目を通していた。
ノックの音。
部下:「将軍、使者が入室を求めています。」
ライデン:「誰だ?」
部下:「名乗ろうとしません。ただ、“将軍への届け物”があると。」
ライデン:「……通せ。」
フードを深くかぶった男が入室し、静かに頭を下げる。
謎の男:「今月分の“お届け物”です、将軍。」
ライデン(受け取りながら):「よかろう……下がれ。」
(一瞬沈黙の後)「待て。次からはもっと慎重に動け。
これ以上、我々に疑いの目を向けさせるな。
次回はこちらから時間と場所を指定する。」
謎の男:「御意、ライデン将軍。」
男は音もなく部屋を後にした。
首都の政庁では、アドナンが任務報告書をアーダへ提出していた。
アドナン:「やあ、アーダ。ラーカンはどこだ?」
アーダ:「病院で療養中さ。少し前に報告内容を口述してくれたよ。」
――フラッシュバック。
ラーカンがアーダに出来事を語る中で、
アドナンはイザンの変貌とシャーメルの言葉を思い出していた。
「イザンの中にある力……それは彼自身を壊しかねない。信じてくれ、アドナン。」
アドナン:「ラーカンは大丈夫なのか?」
アーダ(苦笑しながら):「問題ないさ。
どうやら看護師たちの優しさに惚れ込んでしまったみたいでね。
しばらく退院する気はなさそうだよ。」
アドナン:「ははは……。」
場面は病室へ。
包帯を取り替える看護師に、ラーカンは顔を赤らめながら小声で呟いた。
「……なんて心地いい時間なんだ。」
アドナン:「敵はどうだった?」
アーダ:「強敵だったよ。報告を提出したら詳しく話す。」
アドナン:「そうか……ところで、“タジール村”について報告しておきたいことがある。」
担当官:「タジール? 何かあったのか?」
アドナン:「村人が異様に口を閉ざしていた。何かを隠しているような……。」
一方その頃──
死の谷では、シーグランが地面に寝転がっていた。
ハーマンが彼の腹を蹴り上げる。
ハーマン:「起きろ! 寝ている暇などない!」
そして別の場所。
シャーメルの後を、微笑みを浮かべたイザンがついて歩いていた。
二人が滝の前に立ち止まると、シャーメルは静かに口を開いた。
「イザン……話しておかなければならないことがある。
“黒き暁”の構成員を、試験中に惨殺したのは……お前だ。」
イザンの瞳が大きく見開かれる。
「な……何だって!? シャーメル先生!?」
――そして、物語はここで幕を下ろす。




