継承者の夢、雨の終焉
黒き暁の組織に捕らわれたシグランを救出する任務の最中、
時空間を操る技「時空術」と、もう一つの恐るべき能力を持つスカイ・ファイルによって状況は悪化していった。
そして――その混乱の中、ついに組織の首領「アズロン・マヒ」が姿を現す。
アズロンは地面に倒れ、満身創痍のラカンに冷たく言い放った。
「この程度か? 以前のような力はどこへ行った? ははは……哀れだな。」
アルダが叫ぶ。
「ラエド、ワーイル! ラカンとマイヤを守れ!」
イザンが応じる。
「イザン、オスを助けろ! 俺が首領を相手にする!」
しかし、オスが怒鳴る。
「助けなどいらない! 邪魔をするな!」
アルダはアズロンへと歩み寄り、包帯を解いた。
「強いな……だが、この胸の高鳴りは久しぶりだ。あの時、ラカンと競い合った時以来だ。」
アズロンは不敵に笑う。
「自信があるようだな……」
アルダが構えを取る。足元が震え、大地が唸る。
そして瞬く間に距離を詰め、アズロンの顔面に渾身の拳を叩き込んだ。
アズロンは吹き飛ばされ、石壁が砕ける。
スカイは目を見開く。
「ば、馬鹿な……首領に一撃を!?」
アスマ:「さすが、師匠!」
ワーイル:「強い……これなら希望がある!」
ラエド:「いつか、俺も師匠のようになりたい!」
イザン(心の中で):「アルダ師は……ラカン師と同じ強さを持つ。」
アズロンは笑いながら立ち上がる。
「ははは……面白い! アルマザの騎士たちよ、貴様らの力……侮れんな!」
閃光のような速度で激闘が始まった。
その一方で、オスとスカイの戦いも激化していた。
オスは水の矢を放ち、スカイは時空を歪めてかわす。
背後に瞬間移動したスカイがオスを殴り飛ばす。
「弱いな……あの波の少女の方がまだ強いぞ。」
オスの瞳に怒りが燃える。
彼は全力を解放し、雨が降り注ぐ中、水の矢が空を覆った。
スカイは回避しきれず、いくつもの矢を受けて吹き飛ばされる。
イザン:「やった、オス!」
オス:「黙れ!」
スカイは不敵に笑い立ち上がる。
「それが全力か? もっと見せてみろ。」
倒れていたカインが微かに動き始める。
スカイ:「地獄の苦痛!」
マイヤは恐怖に震え、ラカンが叫ぶ。
「オス、気をつけろ!」
イザン:「まさか……!」
オスは笑う。
「ははっ、ラカンのようにはいかないぞ!」
地面から無数の腕が現れ、今回は長い剣を握っていた。
「遅い、避けられる!」とオスは呟く。
だがその瞬間――
目を覚ましたカインが背後から鎖でオスを縛り上げた!
動けぬまま、剣が腹に突き刺さる。
カイン:「俺を忘れたか? 俺が倒れたと思ったか?」
皆が息を呑む。
マイヤ:「兄さん!」
イザン:「オス!」
ラカン:「くそっ!」
アスマ:(口を押さえ)「信じられない……」
ラエド:「裏切りやがった!」
ワーイル:「剣が……完全に貫いた……」
アズロン:「仲間が一人死んだところで何だ? まだ多いだろう? だが……全員が今日生きて帰れるとは限らんな、ふふふ。」
突然、スカイが怒鳴る。
「誰が俺の戦いに口を出せと言った!?」
スカイは剣を引き抜き、そのままカインの胸に突き刺した。
「お前は用済みだ。」
カインは絶命。場の空気が凍りつく。
オスはまだ立っていた。血を流しながら、震える声で言葉を紡ぐ。
「まだ……死ねない……俺は強い……俺こそが……ハスミの継承者だ……!」
だが、身体は崩れ、視界が白く霞んでいく。
回想 — オスの過去
窓の外に雨が降りしきる。少年のオスは、その光景をじっと見つめていた。
翌日、大広間に一族の長老たちが集まる。
水の王座に座るのは父、メズロア。
オスは幕の陰で耳を傾けていた。
メズロア:「今日、ここに宣言する……オスには“水の紋”が現れなかった。」
ざわめきが広がる。
「では……誰に?」
メズロア:「マイヤだ。」
「女の子に!? 一族の歴史で初めてだ!」
メズロアは目を閉じ、静かに言い切った。
「規律は明確だ。紋を宿す者こそ、正当な後継者だ。たとえ、それが幼子でもな。」
幕の陰でオスは拳を握りしめ、涙が頬を伝った。
「俺が本当の後継者だ……なぜ、あいつなんだ……!」
現在
オスは血まみれで地に倒れていた。
マイヤが駆け寄り、膝の上で兄の頭を抱く。
「兄さん……お願い、目を開けて!」
オスは微笑み、震える手で妹の頬を撫でた。
「泣き虫な妹よ……」
そして、かすれた声で言った。
「……ごめん……」
だが心の奥では、別の言葉が渦巻いていた。
(本当は、ずっと憎んでいた……。なぜ俺じゃない? でも……お前は悪くない。お前には罪はない。)
その手が静かに地へと落ちる。微笑みを残したまま。
マイヤの悲鳴が夜空を裂く。
「いやあああああああああっ!!」
雨が強く降り、血と水が混ざり合う。
オス・ハスミ――
継承を夢見た男は、結局“痛み”だけを受け継いだ。
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