↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イザン:血の継承  作者: Salhi smail


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/172

マヤの叫び(まやのさけび)

その日、第三班にとっては地獄のように厳しい一日だった。

特にリーダーのラーカンに降りかかった痛みは、尋常ではなかった。

それは肉体的な痛みというより――まるで“死そのもの”を体験するような苦痛だった。


場面は変わり、隠れ家の中。

アズロンが椅子に腰かけ、その前には壁に寄りかかって気を失っているシグランの姿がある。


「……スカイがあの致命的な技を使ったな。俺の出番はないようだ。」

アズロンはそう呟き、静かに目を閉じた。


一方その頃、アルダのチームは白い怪物と激しく交戦していた。

アルダの攻撃は凄まじいが、敵もまた異様な強靭さを誇っていた。


「くそっ、まるで巨大な肉の塊を殴っているようだ!」

アルダは舌打ちし、岩に腰を下ろした。


「おい、みんな。見せてみろ。お前たちがどこまでやれるか!」


「はい、師匠!」とライドが叫び、

アスマとワーイルも構えを取った。


「この気味の悪い化け物を倒すなんて、本気ですか?」

ワーイルが不満を漏らす。


ライドが叫び、拳に炎をまとわせる。

まるで溶岩の塊のような一撃を繰り出すが、

怪物は片手で受け止め、その腕が溶けても、すぐに再生した。


「なんだと!?」ライドが目を見開く。


続けてアスマが風の嵐を放ち、怪物をわずかに吹き飛ばす。

だがその傷もすぐに癒える。


ワーイルが皮の剣を放つが、

剣は弾かれ、まるでゴムのように跳ね返る。


「無理だ……こんなの倒せるわけがない!」


アルダは腕を組み、冷静に見守っていた。

「弱音を吐くな。自分たちで攻略法を見つけろ。」


「方法があるなら教えてくださいよ!」ライドが叫ぶ。


「ラーカンたちの報告によると、あの怪物は“無属性の打撃”でしかダメージを受けない。

だが……お前たちにはあの少年、イェザンのような膂力はない。」


「まさか、あの落ちこぼれの方が俺より強いって言うのか?」

ライドが苛立つ。


「そうは言っていない。」アルダは目を細める。

「言葉の裏を読め。力だけが全てではない。」


その言葉を聞き、アスマの脳裏に過去の訓練の光景がよみがえる。


―――フラッシュバック―――


学院時代、アルダの指導で、三人は一匹の魔獣を相手にしていた。

だが、それぞれが勝手に動き、連携はバラバラ。

結果、アスマとワーイルが負傷し、ライドは死にかけた。


土壇場でアルダが飛び込み、三人を救う。


「お前たちの利己心は仲間を殺す。

 読め、行間を。力に頼るな。知恵を使え。」


―――現在―――


アスマは目を見開いた。

「……そうか。」


怪物が地面を叩き、衝撃で大地が裂けた。


「危ない!」ワーイルが叫び、間一髪でかわす。


怪物の腕が地面に張り付き、引き抜こうともがく。


「見つけた……!」アスマが閃いたように叫ぶ。

「足を固定して、同じ場所を集中攻撃するのよ!」


「なるほど!」ライドが頷く。


「ワーイル、氷で足を固めて!」


「了解!」

ワーイルが大量の氷を生成し、怪物の足を凍らせる。


「ライド、今よ!」

ライドが再び炎を拳にまとわせ、

渾身の力で怪物の顔面を叩きつけた。


だが、怪物はなお動こうとする。

そこにアスマが風の嵐を叩きつけ、足を切断した。


巨体が崩れ落ちる。


「面白いじゃないか……」アルダが微笑む。

「ライド、腰だ! そこが弱点だ!」


「任せてください!」

ライドが叫び、渾身の連撃を腰部に叩き込む。


怪物の再生が止まり、沈黙した。


「やったぞ!」ライドが歓声を上げる。

「終わった……!」アスマとワーイルも笑顔になる。


アルダは小さく呟いた。

「アスマ・カザミ……本当に天才だ。誇りに思う。」


だが、その直後――

残骸の中から黒い肉塊がうごめき、再び飛びかかった。


アルダが即座に前に出て拳を叩き込み、粉砕した。


「よし、ラーカンたちを追うぞ。」


――同じ頃――


ラーカンは地に倒れ、激痛に喘いでいた。

「ぐっ……があああ!」


その姿を冷たく見下ろすのは、カインとオウス。

イェザンは必死に見つめ、拳を握る。


「師匠……! 俺は何をすればいいんだ!」


マヤが歯を食いしばる。

「……何もできない……また、みんなの足を引っ張るだけ……」


オウスの冷たい声が頭に響く。

「弱虫め。」


その瞬間、マヤは叫び、全身から膨大なエネルギーを放った。

大地が震え、空気が震動する。


スカイが顔を上げた。

「……なんだ、このエネルギーは……!」


オウスが驚愕の目で振り返る。

「まさか……泣き虫が覚醒したのか!?」


イェザンが呟く。

「マヤ……こんな姿、初めて見る……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。