苦難の後には救いがある
真実の衝撃 ― 騎士の崩壊
(Shinjitsu no Shōgeki – Kishi no Hōkai)
医者の言葉のあと、ヤズンはベッドの上で凍りついた。
目は大きく見開かれ、心は信じることを拒んでいた。
マヤは泣き崩れ、シーグランは一言も発せずに立ち上がり、重い足取りで部屋を出ていった。
彼はラーカンの前に立ち、震える声で尋ねた。
「師よ… 医者の言ったことは本当なのですか? もう… できないのですか? すべて終わったのですか?」
ラーカンは深くうなだれ、悲痛な声で答えた。
「残念だが… そうだ。」
医者は立ち上がり、帽子を直しながら言った。
「申し訳ないが、私はこれで失礼する。」
そう告げて部屋を去った。
その瞬間、ヤズンがベッドの上で叫び声をあげた。
「いやだあああ!」
熱い涙が彼の頬を伝った。
ラーカンは静かにマヤに目を向けた。
「放っておけ… 今は一人にしてやろう。」
ラーカンとマヤは部屋を出て扉を閉めた。
廊下に残ったシーグランの顔は蒼白だった。
ラーカンはそのまま病院を離れ、外の壁際に立つと拳を振り下ろした。
ごうん、と壁がひび割れた。
彼は苦渋に満ちた声で叫んだ。
「くそっ!」
その時、不意に冷たい笑みを浮かべた男が現れた。
シャーメルである。
「ラーカン捕獲者よ… 壁に罪はあるのか?」
ラーカンは息をのんだ。
シャーメルは皮肉めいた声で続けた。
「そんなに取り乱すことはない。ヤズンの容態はどうだ?」
ラーカンは視線を落とし、震える声で答えた。
「彼は打ち砕かれてしまった… 私には、何もできなかった。」
シャーメルは曖昧な笑みを浮かべ、背を向けた。
「そうか… では、ついて来い。」
希望の花 ― シャーメルと薬草との邂逅
(Kibō no Hana – Shāmeru to Yakusō to no Kaikō)
シャーメルはラーカンを伴い、街の中心にある薬草店へ入った。
ラーカンは不安げに彼を見つめ、ヤズンのことが頭から離れなかった。
シャーメルは扉を押し開けながら言った。
「やあ… 元気にしているか?」
店主は微笑み、落ち着いた声で答えた。
「ええ、健康であればこそです。」
シャーメルは自信ありげに言った。
「以前、お前に渡したあの薬草を受け取りに来た。」
店主は軽くうなずき、声を潜めて答えた。
「はい、ここにあります… あなたの命じた通り、必要な時まで隠しておきました、シャーメル様。」
ラーカンはもはや抑えきれず、一歩前に出て問うた。
「その薬草でヤズンを救えるのか?」
シャーメルは静かに微笑み、彼を安心させるように言った。
「焦るな… すぐにわかる。」
店の中は濃い薬草の香りに満ち、棚には瓶や乾燥した葉が並んでいた。
店主は小さな木箱を差し出し、黙って下がった。
シャーメルは箱を受け取り、木の椅子に腰を下ろすと、ラーカンを見据えた。
「ヤズンが気絶した理由を知っているか?」
ラーカンはすぐに首を振った。
「いや… ただ、彼の体が急に崩れ落ちたようにしか感じなかった。」
シャーメルは口元に微かな笑みを浮かべた。
「人の体には隠された流路がある。『気の門』と呼ばれる七つの点だ。尾骨から頭頂にかけて伸びるその門を、力が調和して流れる時、人は安定する。だが、力が激しく暴れれば、その門のいくつかは身を守るため閉ざされ、体は崩壊する。ヤズンに起きたのは、それだ。」
彼は木箱を開けた。青い光がほのかに広がり、ラーカンは思わず後ずさった。
「これは… 何だ?」
シャーメルは厳しい声で答えた。
「青龍花だ。極めて稀少で、ウトラ村近くの禁じられた森にしか咲かぬ。一枚の花弁で閉ざされた門を再び開き、乱れた力を調整する。」
ラーカンは光に目を凝らし、息を呑んだ。
「だが… 危険ではないのか?」
シャーメルは箱を閉じ、深くうなずいた。
「その通りだ。単独で用いれば、体を内側から焼き尽くす。だから他の薬草と調合する。根の強さを与える朝鮮人参、流れを鎮めるセージ、血圧を和らげるカモミール。まずセージとカモミールを煮出し、次に人参を加え、最後に花弁を一枚だけ投じるのだ。」
ラーカンは小さく息をつき、低く問うた。
「それで… ヤズンは助かるのか?」
シャーメルは彼の肩に手を置き、真剣な眼差しを向けた。
「均衡は戻るだろう。だが、以前と同じように立ち上がることを期待するな。門が開かれたとき、ようやく本当の道が始まるのだ。」