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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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105/120

地平線の向こうへ

(山頂の小屋)

山の肩に、ただ一つ小屋が立っていた。

時が忘れた世界の、最後の証人のように。

雲はその下をゆっくりと流れ、

風は山頂の秘密を護る古狼のように、周囲で唸っていた。

まばらな木々は曲がっていたが、

弱さのせいではなく……見てきたものの多さゆえに。

この高みからは、

海は遠く……穏やかで……必要以上に無邪気に見えた。

しかし、その平穏は嘘であった。


(ケナン、浜辺にて)

山の下の浜辺で、

ケナンは古い木の下に座り、背を幹に預けていた。

目は半分閉じ、

まるで海を見ているのではなく……その向こう側を見ているかのようだった。

微風が彼のローブをゆっくりと揺らし、

波は規則的なリズムで砂を打っていたが、

ケナンの心は……別の場所にあった。

深淵に。


(ヤザン、海底での修行)

そこ……水面下では、

光がかすかな糸のようにしか届かないその場所で、

ヤザンは修行していた。

ロープで巻かれた木の杭が海底に打ち込まれ、

その前に立つ少年……

彼の体は黒と白が絡み合うオーラに包まれ、

まるで二つの力が争い、彼を織りなしているかのようだった。

ヤザンは拳を繰り出す。

打つ。

蹴る。

そしてまた打つ。

その動きは確かで……均整が取れている……

まるで陸上で戦っているかのようだ、海底ではない。

周囲の水は一撃ごとに揺れ、

泡が飛び散るが、

彼の目は揺るがない。

完全な集中。

鋭い意志。

そして彼の体は……一撃ごとに、自らを再構築していく。


(ケナン、感応)

そして地上で……

ケナンはゆっくりと目を開けた。

まるで……

全てを感じているかのように。


(アズロン、怒りと苦悩)

カグラ国、森林の奥深くで

アズロンの一撃が岩を砕き……怒りが破片となって飛び散る。

ガシャン!

もう一撃。

ガシャン!

「我々は……無様な敗北を喫した」

彼の胸は荒く上下し、目は燃えていた。

「あの男は……我々を倒すのに何の力も振るわなかった。

その前に……あの少年にも敗れた」

彼は拳を握りしめ、血が滴った。

「屈辱だ……これは屈辱だ!」

スカイ:「首領——」

アズロンがかすれた声で遮った。

「我は黒き夜明けを創設した……そして自らの強さを確信し、ほぼ確信していた。

しかし、タゼル村で目にしたもの……ハマンとシャミルの対決……

我は……無力だと感じた」

彼は一瞬黙り、そして爆発した。

「そして、少年に敗北!

力をさえ使わぬ男に……敗北!!

ちくしょう……ちくしょう!!」

スカイが緊張して:「首領……まだ我々には成長する時間が——」

アズロンは苦く笑った。

「成長? 何の成長だ?

我々の失敗を忘れたか……あの日の?

決意したあの日を……」


(回想:暗黒大陸への挑戦)

(カグラ国の海岸)

アズロンは海の前に立っていた。

スカイ:「見てください……暗黒大陸はあの黒煙の向こうに……」

スカイが見る……そして目を見開く。

冷や汗が額を伝い、一歩後退する。

「か、首領……この恐ろしいオーラは?」

アズロン:「お前は遠くから純粋な力を感知できる……どう思う?」

スカイが躊躇いながら:「首領……あの煙を越える考えは捨ててください」

アズロン:「何? ここまで怯えるのか?」

スカイが震える声で:「全身が、これに近づくことは死を意味すると告げています」

アズロンが笑う……危険な笑みを浮かべて。

「これで一つ確信した……

暗黒大陸は……歴史を変える地だ。

力が我を待っている」

そして笑う。

「そして、我が名は歴史に刻まれる」

スカイが心配して:「首領! あの煙に挑戦した者たちは多くが命を落としています! これは狂気です!

世界最強の国々が最強の戦士たちを送りました……白骨となって戻っただけです!……歴史上最強の四人さえ失敗したというのに!」

アズロン:

「ハルン、賢者ザルンとその子ライス、ニムロドとその子ハマン……

彼らは障壁を越えたと言われる……だが、何らかの力が彼らを押し返した」

スカイ:「ならば我々に挑む意味がどこに!?」

アズロンが海へ一歩踏み出しながら。

「物事を……試す前に断るな」

スカイ:「首領! だ、駄目です——!」

しかしアズロンは小さな舟に乗っていた。

「ここで待て」


彼は黒煙に近づいていく……

そして突然……

海が荒れ狂った。

空気が重くなる。

息が詰まり始める。

そして……

恐怖を感じた。

内なる声が叫ぶ:

引け……引け!

歯を食いしばる。

「引かぬ!!」

そして突然……

全身を引き裂くような痛み。

叫び声。

手が骨に変わる幻覚。

そして何かが心臓を掴み……握り潰す。

舟が木っ端微塵に。

そして最後の瞬間……

無意識に後退し、必死に泳ぐ。

スカイが空中に現れる。

「首————領!!」

アズロンが叫ぶ。

「いや! 死にたくない! 離せ!!」

スカイが彼を掴み、時空を開き……海岸へ戻る。

アズロンの目が痙攣し……

体は震え……

完全なショック状態。

数日が経過……

アズロンは口を開かない。

そして壊れた声で言う。

「普通ではなかった……

手が骨になったと感じた……心臓が潰され……息が消えていくのを……」

そして……

ヒステリックに笑う。

そして黙る。

そして不気味に静かに言う。

「あれが……真の恐怖だ」


(現在:決意)

スカイ:「今、戻ることをお決めですか?」

アズロンが顔を上げ……暗い決意に満ちた目で。

「ああ。

二度と失敗はしない。

我が目的を果たす……

我が限界を超えてみせる」


(最終修行:水上戦)

数日が経ち……

ヤザンは水中で休みなく修行を続けた。

夕暮れ時、

彼はようやく修行を終え、水面へ上がる。

息をつく間もなく——

蹴り!

ケナンが不意を突く。

しかしヤザンはかわし……

次の瞬間、彼の背後に立っていた。

「ケナンおじさん……これが最後の訓練ですか?」

ケナンが微笑む。

「ああ」

そして素早く彼に襲いかかる。

二人は激しく水面で交戦した。

彼らの打撃は平穏を許さず……

海面は衝突の反響に満ちた。

そして二人は後退する。

ケナン:「ヤザン……準備はいいか」

ヤザンが熱を込めて:「はい!」

ケナンが軽やかにヤザンの脇へ——

拳!

ヤザンが心の中で呟く。

……遅く感じる。

再び絡み合う。

ケナンが攻め、ヤザンが防ぐ……

そして突然——

ケナンが止まる。

「戦いは終わりだ」

ヤザンが驚いて:「どうしてケナンおじさん?

ケナンおじさん……わざと本気で攻めないんでしょう?

僕を傷つけるのが怖いの? これは……僕への侮辱です」

ヤザンは一瞬黙り、そして頭を下げる。

「すみません」

ケナンが静かに彼を見つめる。

「お前のその気遣いは理解できる……」

ヤザンは黙る。

ケナン:「さて……お前との修行は終わりだ」

ヤザンがショックを受けて:「え? だ、駄目です……もっと教えてください!」

ケナンが去ろうと背を向ける。

「持たぬ者が与えることはできぬ」

ヤザン:「理解できません……」

ケナンが振り返らずに。

「なぜなら……お前は単純に、もう我より強くなったからだ」

そして歩き去る。

ヤザンは水の上に立ち尽くし……

呆然とする。

「……何?」


(小屋での対話)

小屋に近づき、ヤザンは小声で言った。

「ケナンおじさん……侮辱するつもりはなかったんです」

ケナンは火を吹きながら笑う。

「はっ! 少年が我を気遣う日が来たか! ふふふ」

ヤザンはうつむく。

ケナンが、より穏やかな口調で。

「お前は多くを経験した……愛する者を失うことは容易ではない。それは理解できる。

むしろ……美しいことだと思う。お前が我を大切に思ってくれているなら、それは我の誉れだ」

ヤザンが微笑む。

「ええ、ケナンおじさん……あなたは僕にとって大切で、重要な人です」

ケナンが微笑む。

「ありがとう」

ヤザンが座る……そして沈黙が訪れる。

ケナン:「ヤザン」

ヤザン:「はい、おじさん?」

ケナンが真剣な眼差しで彼を見る。

「『自分の方法で復讐する』と言った時、お前は何を考えていた?」

ヤザンは少し黙り、そして立ち上がる。

「ケナンおじさん……帝国を打倒したいんです」

ケナンがショックを受けて:「それは狂気だ! どうやって?」

ヤザン:「あなたが想像するような方法ではありません」

ケナン:「では、どうやって?」

ヤザン:「帝国の体制を崩壊させ……全ての人を受け入れ、公正な新たな体制を築くんです」

ケナンは少し黙り、そして。

「だが、どうやって? 一人でやるのか? 戦って?」

ヤザン:「まだわかりません。

ただ、その考えが頭から離れないんです。いつ? どうやって? それは今の僕にはわかりません」

ケナンがため息をつく。

「一見すると子供じみた考えに思える……だが、お前が急がず機会を待つなら、それは健全な考えだ」

ヤザンが窓辺へ向かう。

「だから……この世界について、もっと多くのことを学びたいんです」

ケナン:「今のところ、我はお前の決断を支持する。だが気をつけろ……お前は指名手配され、賞金首だ」

ヤザン:「わかっています」

ケナン:「そして、旅はどこから始めるつもりだ?」

ヤザンが躊躇いなく。

「暗黒大陸からです」

ケナンが笑う。

「世界で最も困難な地から始めるのか? 確かに逆説的だな」

ヤザンが振り返り、決意に満ちた瞳を向ける。

ケナンが呟く。「なんてこった……本気で固執しているようだな」


(カグラ海岸:新たなる出発)

アズロンとスカイが海岸に立つ。

アズロン:「スカイ……さあ、歴史を作ろう」

スカイ:「承知、首領」


(空中:決別)

巨大な鳥、ジャーハの背中で、

ヤザンがケナンの横に立ち、風が四方から吹き荒れる。

ケナン:「確かなのか? 後悔しないか?」

ヤザンが興奮した笑みで。「むしろやる気が増しました。後悔しません」


(地上:交錯)

アズロンとスカイが立つ。

アズロンが一歩前へ——

轟音!

何かが地面を強打する。

ヤザンがアズロンとスカイの間を真っ直ぐに通り過ぎる……ちらりとも彼らを見ずに。

二人はその場に凍り付く。

スカイが低い声で。「……オーラが恐ろしい。前回対戦した時よりさらに強力だ」

アズロン:「聞け少年——」

しかしヤザンは止まらない。

静かに水上を歩いていく。

スカイが驚愕して。「あれは……水上歩行だ」

アズロン:「あの少年、難しい技術を習得したか……」

ケナンがアズロンとスカイの横に降り立つ。

アズロンが振り返る。「本当にあの子を行かせるのか?」

ケナンが腕を組み、微笑む。

「彼が決めることだ。我ではない」

スカイ:「これは狂気です……必ず死にます」

影の中から、

カグラ国の兵士たちが静かに見守る。

ヤザンが遠ざかり……

水平線に消えていく。


第105章 終わり

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