「お前と婚約破棄しお前の妹と婚約する」と言われても困ります~悪役令嬢の妹の奮闘~
はじめまして宝山紗希と申します。
このお話しを見つけてくださってありがとうございます!
初めて小説を書いたので読んでいただくことに緊張しておりますが
推し大好きすぎる主人公の奮闘を楽しんで頂けると嬉しいです!!
「アリーナ!お前とは婚約破棄する!俺はお前の妹ルナと婚約することにする!」
傲慢な口ぶりで話すこの男はまだ知らないここまで私の作戦であることを。
ー5年前ー
追いかけっこで遊んでいる最中」私は転び頭をぶつけたことで私は前世の記憶を戻した。
「え!!ここはゲーム「悪女成敗~聖女の奮闘日記~」の世界じゃない!」
目を輝かせて周りを見渡している私に
「あなたそんなところに座り込んで何をなさっているの?早く立ちなさいな」
それは私は前世で何度も何度も聞き直したボイスの声と同じものだった。
「アリーナお姉様!!」
「あ、あなたが私を「お姉様」だなんて頭でもぶつけたんではなくて!?」
あぁなんて可愛いんだ。言葉では冷たいことを言っていても照れているのが一目瞭然だ。
「は、早く部屋にお戻りになってはいかが!?」
休んでってことだよね。優しいな。
「はい!アリーナお姉様!」
私の返事にみんなびっくりしていたがそのまま部屋に向かう。
-----------------------------------------------------
一度整理してみよう。
私は前世「悪女成敗~聖女の奮闘日記~」の悪役令嬢アリーナをとてつもなく推していた。
ただどのストーリーでもヒロインであるアリーナの妹をいじめていたことで
婚約破棄・国外追放になってしまうのを逃れることは出来なかった。
「待てよ!今私はアリーナの妹・ルナだからゲームのバットエンドを変えることができるはず!!」
そうと決まれば作成を立てるぞ!
「できた!」
題して「アリーナお姉様の幸せ大作成」という計画書を作成した。
『1.アリーナお姉様の婚約破棄を阻止する 』
『2.アリーナお姉様の可愛さを世間に広める』
『3.アリーナお姉様と仲良くなる 』
これでいいだろう。最後のは私の欲望になってしまったが( ´∀` )
そこから私は計画通り進めた。
『1.アリーナお姉様の婚約破棄を阻止する 』
アリーナの婚約者はボルグル皇子という器の小さい男で女遊びが好きな最悪野郎である。
まあ一応この国の皇子で良い面だけ見せているので国民からの人望も厚い。
はっきりいってあんな奴と推しが婚約するのは嫌なのだがアリーナお姉様は彼に惚れている。
「推しの幸せが1番だよね」
ボルグル皇子に話かける度に私はアリーナお姉様の良さを繰り返し話した。
笑顔で聞いているので効果はあるのだと思う。
次の作戦
『2.アリーナお姉様の可愛さを世間に広める』
これはとても簡単だった屋敷に仕えている従者たちの中にも
アリーナお姉様を推す人は多くいたのでアリーナお姉様を推す会を結成しアリーナお姉様の可愛さを
変装し隠れて町に出ては市民に伝えていった。
また、そこでは思わぬ出会いもあった。
「失礼ですがあなたはルナ様では?」
綺麗な青色の目をした美男子が話しかけてきた。もちろん私にはそんな友人いないはず…。
「申し訳ございません。お会いしたことありましたか?」
美少年は微笑みながら「そのような返事をしてしまっては変装の意味がないのでは?」と
言ってきた確かにその通りなのだが結局誰なのかはわからないままだ。
「だからどちらさま!?」
私の質問に対してなぜか周りの従者がビクビクしている。
「はははっはは。そんな話し方してもらえたのは初めてだ!」
なぜか嬉しそうに笑いながらそういう美少年を不思議に思いながら見つめていると。
「こほん。失礼アリーナお嬢様の幸せのためによろしければ協力させて頂けませんか?」
結局誰かは答えてくれなかったがアリーナの幸せのためであれば猫の手でもかりたいので
すぐにうなずき協力してもらうことにした。
彼はエドと言い。私が町でアリーナお姉様の素晴らしさを広める良い方法を一緒に考えてくれて
アリーナお姉様の悪女と思われていた行動や言動の誤解を解き、
市民のアリーナお姉様を推す会まで作られるくらいアリーナは人気者となった。
もちろんアリーナお姉様本人は知らないけれど( ´∀` )
そして最後の作成であり私の1番の幸せな時間
『3.アリーナお姉様と仲良くなる 』
アリーナお姉様は妹のルナを警戒していたので始めは全然話してもらえなかったが
粘り強くアリーナお姉様をお茶会に誘って最近では週に3回程度は
一緒にお茶会をすることが出来ている。
少し心を開いてもらえたのか笑顔を見せてくれるようになった。
そしてボルグル皇子の相談もしてくれるようになった。
「わたくしがもっと凛とした女性になれば、彼も優しくしてくれるのかしら。」
アリーナお姉様が自分ばかり責めるようになってしまっていてとても心が痛んだが
あと少しの辛抱だからねと思いながら彼女を励ました。
ー現在ー
そして現在に戻る。
ボルグル皇子がさっきから意味の分からないことばかり騒いでいるがそれはほっておこう。
ボルグル皇子の婚約破棄宣言にショックを受け震えているアリーナお姉様に駆け寄り
「アリーナお姉様」と声をかける。
「わたくし…目が覚めましたわ…彼は1度だってわたくしを見てはくれていなかったのね…」
綺麗な涙を流しているアリーナお姉様に少し見とれてしまったが今はそれどころではないと
自分に言い聞かせる。
「ボルグル皇子!」
私は大声で一番の敵の名前を呼ぶ。
「あぁ!ルナ!待たせたね!ようやく一緒になれるんだ!」
こいつは何を言っているんだろうと思いながらも
「わたくしあなたと婚約なんて望んでおりませんわ!!」
アリーナお姉様に寄り添いながら強い口調で言い切る。
「な…何言っているんだ!私のことが好きだからあんなにお茶会でも話してきたのだろう??」
「あれはお姉様の素晴らしさを伝えたくてお話ししていただけですが」
あぁアリーナお姉様の良さを伝えるためと思っていたのに裏目にでていたのかと反省。
しかし他の作戦は成功している。
「かわいそうに!ルナ!君はアリーナにいじめられているから本当の想いが言えないのだな!」
「いえ!わたくしはいじめなど受けておりません!」
私の話が馬鹿皇子に通じるわけもなく。
「アリーナ!お前を国外追放にする!」
よし!想定通り!
「かしこまりました…」
涙を流しながら返事するアリーナお姉様。
それと同時に会場から声が上がる。
「アリーナ様はそんな方ではない!」
「そうよね!ルナ様も違うといっているのに…」
会場がアリーナお姉様の味方となりボルグル皇子は驚いている。
「ルナ様と婚約ってどういうことですか??」
「わたくしとするって言ったではないですか!」
ボルグル皇子の顔が青ざめていくのがわかる。
自分がわざと招待しなかった浮気相手の方々全員目の前に揃っているのだから当然だろう。
しかし私はアリーナお姉様にこのような仕打ちをした人に容赦はしない。
「国外追放??私もアリーナお姉様と一緒について参ります」
「あなた何言っているの!?だめよ!」
驚いているアリーナお姉様に笑顔を向け手を引く。
「それではごきげんよう♪」
「おい!待て!」
会場の全ての人から責められているボルグル皇子を無視して会場を後にする。
-----------------------------------------------------
「ルナ。あなたはこの国に残りなさい。わたくしは1人で大丈夫。」
馬車の中で弱りきった声でアリーナお姉様が私に言う。
「ごめんなさい。お姉様わたくし全て知っていたの。こうなることも。」
私の謝罪にアリーナお姉様は優しく微笑む。
「何となく感じていたわ。だって今まで避けていたのに急にわたくしとお茶会がしたいなんて
変だと思いながらも楽しくて。まさか国外追放まで知っていたのは驚きだけど」
あぁやはり推しには叶わないなと思いながら
「安心して!お父様とお母様にも了承済みよ!
わたくしはどこまでもアリーナお姉様についていくんだから!」
「まぁ。あなたは本当に手がかかるわね」
とどこか嬉しそうに笑いかけたアリーナお姉様は今までで一番穏やかな表情だった。
-----------------------------------------------------
「そろそろかな」
馬車が止まる。コンコンとノックに「どうぞ」と私は返す。
「さすが!本当にやり切ったんだね!」
自慢げに「まぁね」と笑い彼を見る。
そこには笑顔のエドともう1人男の人…いや!たくさんの従者がいる!?
「エド!どういうこと!?」
驚く私にエドは「1から説明するね」という。
「実はアリーナ嬢にうちの兄上様が惚れてしまって何かチャンスはないかなって思ってたんだよ。
そしてちょうど町にいってみたら君がいてボルグル皇子の悪行も知ることが出来て、
婚約破棄するなら兄上様がどうしてもチャンスが欲しいって…」
後ろの男性がエドを軽く叩き前に出る。
「エドワード!ここからは私に直接言わせてくれ!」
そしてアリーナお姉様の手を取る。
「アリーナ嬢、この前パーティーで君に会った時から聡明な君に心惹かれてしまったんだ。
このような卑怯な方法で申し訳ないが私に少しでもいい、君と過ごす時間をくれないか?」
顔を赤くしているアリーナお姉様は私に目を向ける。
アリーナお姉様も嬉しそうだし、私の勘も良い人そうと言っているので笑顔を返す。
「わたくしで良ければ…」
照れながらアリーナお姉様が返事をする。
可愛すぎ!!
「エドワード。色々ありがとうな。アリーナ嬢に屋敷を案内してくる。」
エドに小声で何か伝えアリーナお姉様と屋敷へ向かっていった「頑張れよ」と聞こえたけど何をだろう。
「…って!まって!?屋敷って何!?」
私の計画ではエドに隣国の町の家一つ先に借りてもらい、
そこでアリーナお姉様とのんびり過ごそうとしていたのだ。
「落ち着いて!」
エドが私をなだめる。
「エド。あなたさっきエドワードって言われてたわよね…?まさか!あなた!」
「騙すつもりではなかったんだ。申し遅れました私、スクリュー・エドワードと申します。」
歴史が苦手な私でも知っている。隣国で数々の戦場で活躍を残してきたエドワード皇子。
だから従者はビクビクしていたのかと納得。私は隣国の皇子様になんて話し方をしていたのだろう。
「申し訳ございません。」
前世の技流れるような土下座をしようとするとエドに止められた。
「何しようとしているんだ!むしろ僕の方こそごめん。
君の前では素の自分でいられたんだ。始めは兄上のために声をかけた。
しかし、君と過ごしてとても楽しかった。ありのままの僕を受け入れてくれた。
ルナ嬢、よろしければ私と婚約してくださりませんか。」
自分がプロポーズされるなんて誰が思っただろう。
びっくりしすぎて口が閉じない私にエドが「僕と婚約したらアリーナお姉様とずっと一緒にいられるね」
「!?///」
少し意地悪な笑顔で言うエドにキュンとしてしまった。
まさかアリーナお姉様以外にキュンとしてしまうとは。
「アリーナお姉様といられるならいいかも!」
少し意地悪な返事にエドは「僕と婚約受けてくれるってこと!?」と素直に喜んでいる姿に
笑ってしまった。
私の推しがアリーナお姉様以外に1人増えるなんてね。
「アリーナお姉様~!」私はそう叫びながら屋敷へエドと向かった。
お姉様には大声だしてはだめと叱られてしまったけれど「ありがとう」と抱きしめてもらえた。
ああああ!推しに抱きしめてもらえた幸せ!
「アリーナ嬢、そういうのはぜひ兄上にお願いいたします。」
少し膨れてエドがいう。それに少し困っている顔のお姉様を抱き寄せるエドの兄上様のカーデ皇子。
推しが幸せで私も幸せだなと感じる。
よし!これからも推しと私の幸せのために頑張りますか!
-----------------------------------------------------
お父様とお母様のお話しでは、
パーティー会場でたくさんの批判を受けたボルグル皇子はアリーナお姉様と私を追放したことで
国民からも批判を受けさらには今まで行っていた不正まで見つかったみたいで
国王から国外追放されたそうだけどそれはまた別のお話し…ということで。
END
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
私の作品をここまで読んで頂ける方がいることがありがたいです!
今後も作品投稿していきたいと思うのでよろしくお願いします!