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第3話

   

 噂によれば、今から数年前。

 高校生カップルの初デートで、ここの13番テーブルが使われたという。

 その際、緊張した男の子が飲み物のグラスを倒してしまった。テーブルからも(したた)り落ちる勢いであり、彼が穿()いているズボンも酷く汚れた。

 その様子を「おしっこ漏らしたみたい!」と相手の女の子から笑われて、しかもこの出来事がきっかけでフラれてしまう。

 多感な思春期の少年にとっては大事件であり、彼は投身自殺してしまった。

 この少年の怨念が、問題の13番テーブルに染み付いて……。


 テーブル上にこぼれた飲み物をテーブルの裏側まで透過させて、強引にズボンを汚すことで、そこに座った者を辱める。そんな呪いが出来上がったという。


 田中から話を聞かされた時は「都市伝説にしても荒唐無稽」とか「怖い話というよりむしろ笑い話」とか思ったものだが……。

 実際に自分が経験してみて、初めて理解できた。

 ズボンの股間を茶色く濡らした状態で駅前から帰るのが、どれほど恥ずかしいことか。呪われた13番テーブルがいかに恐ろしいか、と。




(「13番テーブルの恐怖」完)

   

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