09・我慢出来なかった事
ちょっと短い上に…書いてて危なかった…。
浴室から出ると千尋は、アスルに体を拭くタオルを渡して、自身もタオルで体を拭いた。そして寝間着を着こんだ。
一方アスルの方は、先程来ていた上着を再び着込み、両足にベルトを巻いた。
「アスル。その上着は洗濯はしないの?」
台所に置かれている小型洗濯機に、来ていた服や下着を入れながら、千尋がアスルに尋ねる。
「うん。この法衣は魔法の力が込められていてね。汚れ等は自動で綺麗になるんだ」
どうやらアスルが来ていた上着は法衣らしく、魔法の力で洗濯不要の様だ。
「便利だね…その足のベルトも?」
「これはアクセサリーかな」
ベルトは只の飾りらしい。
その後洗濯機を回した千尋はアスルと共にリビングに行き、ソファーに腰を掛けた。そしてブラシで髪を梳かそうとした。
「千尋。僕がやってあげるよ」
「本当! お願い」
千尋はアスルにブラシを渡して、アスルに背中を向けた。アスルは少し背を伸ばして、千尋の髪を梳かし始めた。
『綺麗な髪だな…』
千尋の長い髪を見ながら、心の中で思うアスル。
「……」
千尋の髪を梳かしながらアスルが見つめるのは、髪の間から見える、千尋の白い首筋と、柔らかそうな右耳であった。
『…綺麗な肌…それに…綺麗な耳…』
元の世界で千尋に一目惚れしてから、アスルは千尋に美しさを感じていた。それは千尋の全てに感じていたのであった。
アスルは鼻先を、千尋の右耳に近づける。
「…スンスン…」
そっと右耳の匂いを嗅ぐアスル。その瞳は潤んでおり、顔は少し赤く染まっている。
「スンスン…スンスン…」
千尋の髪を梳かすのを止め、夢中で匂いを嗅いでいる。
『…良い匂い…たまらない…我慢…出来ない…』
抑止力が消えかけているアスル。すると口を小さく開けると、中から薄ピンク色の舌先が出てきて、千尋の耳に触れようとする…。
「あの…アスル…?」
「!?」
髪を梳かするのを止め、何故か匂いを嗅ぎ始めるアスルに、千尋は戸惑いの声をかける。
「どうしたの?」
「あっ…ご、ごめん。何か良い匂いがして…」
慌てて誤魔化すアスル。幸いにも舌先で触れようとしたのは、千尋は気付いていない様だ。
「シャンプーの匂いかな?」
「そうじゃないかな? 続きやるね」
そう千尋に告げると、アスルは再び千尋の髪を梳かし始めた。
『ダメダメ…千尋の事は愛しているけど…千尋の同意を得てから…』
千尋と愛の行為を行いたい…そう思いながらも、アスルは絶対に千尋の意思を優先すると考え、自分を自制心を改めて強く持った。
アスルは食べようとした訳ではありまへん! 別の意味で食べようとしましたが…。
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