08・アスルの世界の番事情
少し短いですわぁ。
千尋とアスルは、向かい合う様に湯船に入浴していた。
「ねえアスル。聞きそびれていたから、色々と聞きたい事があるんだけど?」
千尋がアスルに尋ねる。
「何かな? 僕で答えられる事なら、何でも聞いて」
アスルは快く承諾する。
「アスルって何歳くらいなの?」
「そうだね…人間でいう、17歳くらいかな?」
「僕より年上なんだ…アスルって小さいけど、アスルの世界のドラゴンって、アスルくらいの年齢だと、皆そのサイズなの?」
「ああこの姿ね…ううん。皆大きいよ。僕の今の姿は、魔法で小さくなっているんだ。この姿の方がこの世界では、活動しやすいからね」
「じゃあ本当は大きな姿をしているんだ」
「うん。そのうち見せてあげるね」
「うん」
そこで一旦会話が途切れて、千尋は意を決して尋ねる。
「ねえアスル…アスルは僕と…その…結婚したいって言ってたよね…?」
「…うん」
我ながら恥ずかしいと思っているのか、アスルは頬が少し赤くなる。
「アスルの世界では…その…同性同士や異種族同士での結婚が可能って言ってたけど、ドラゴンと人間の夫婦も居るの?」
「うん。牡性のドラゴンと男性の人間同士や、牝性のドラゴンと女性の人間同士の番も居るし、牡のドラゴン同士や男性の人間同士、牝のドラゴン同士や女性の人間同士の番も、珍しく無いよ!」
「す、凄いね…日本では同性同士の夫婦は、認められていないから…」
「そうみたいだね…あっ、それ以外の番同士もあるよ?」
「…どんなの?」
少し怖い感じがするが、千尋は好奇心かどうか不明だが、アスルに尋ねる。
「えっと…ドラゴンと巨大イカとの番とか…」
「イ、イカ…!?」
「あとはドラゴンとユニコーンとか…」
「あっ、ユニコーン居るんだ…」
ドラゴンが存在する世界なので、ユニコーンが居ても、可笑しくなかった。
「あっ! そういえば、スライムとの番も居たね」
「ス、スライム!?」
何となく千尋は、スライムと番のドラゴンが、スライムに食べられているか、スライム塗れになっている姿を想像してしまった。慌てて頭を振ってイメージを振り払う。
「だから…僕が千尋を好きになるのは、変な事じゃないんだよ」
と、千尋の方に近寄って、上目遣いで見上げながら、アスルは言う。
「さっきも言ったけど、僕は千尋のペースで、関係を築きたいんだ…だからゆっくりと関係を築いていこう…」
千尋が好きだという気持ちが有りながらも、アスルはあくまで千尋の気持ちを最優先にするつもりであった。
「……」
千尋はそれに、何も答えられなかった。
その後話していたからか、話の内容だからか、或いは興奮してしまったからか、千尋とアスルは少しのぼせた様な感覚に陥り、浴室を出たのであった。
イカのくだりは、タコと悩んだんですが、イカにしたという…どうでも良い事で悩んでもうた。
スライムのくだりは、ある作品のオマージュで出したという考えもあるんですわぁ。
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