16・アスルの贈り物 1
大分開いてもうたけど、久しぶりの投稿ですわぁ。
何時の間にかブックマークが在って、ポイント評価もされてました♪ おおきに♪
その後教室に戻った千尋は、先程同様に授業を受ける。その肩には相変わらずアスルが乗っているが、重力魔法のおかげで重さは感じない…しかし…。
「……」
先程の事があった為か、千尋はアスルを気にしてしまい、授業に集中出来ない。一方アスルの方は、特に気にした様子も見せず、千尋の肩に乗りながら、授業を聞いている。
千尋はなるべく考えない様にしながら、授業に集中する事にした。
やがて今日の授業も終わり、生徒達は帰り支度をして教室を出る。その中には当然、千尋の姿もあった。
「千尋。これからどうするの?」
千尋の横で翼を羽ばたかせながら飛ぶアスルが尋ねた。千尋は周りが自分を気にしていない事を確認して答える。
「えっと、バイト…仕事だよ」
「千尋は仕事もしているんだね…僕も付いて行って良いかな?」
「うん…学校と同じ様に見えない様にしていてくれたら、私は問題無いよ」
千尋の承諾を得て、アスルは千尋のバイト先に付いて行く事にした。
※ ※
「えっ!? ク、クビ…ですか…?」
小さなスーパーの事務所にて、千尋は自分の前に立っている中年の男性店員にそう聞き返した。アスルはその様子を黙って見ている。
「ああ」
「ど、どうしてですか!? 急に?」
千尋が戸惑いながら尋ねると、中年の店員は面倒くさそうに答える。
「君の伯母という人から、『甥は怠け者でいい加減な仕事しかしない』って連絡があってね。そういう噂があるんじゃ、これ以上働かせる事は難しくてね」
「そんな!? 私そんな事してません! ちゃんとしています!」
千尋は必死に否定するが、店員は全く信用せず、結局解雇の撤回はなかった。
千尋は途方に暮れながら、スーパーから出て帰路につく。
「千尋。仕事失ったの?」
アスルが心配そうに声をかける。
「うん…前にも別の所で働いていたんだけど、其処でも今回と同じ様なデマが流されて、首になったんだ」
「でも千尋はそんな事してないんでしょ? それなのに碌に話も聞かずに辞めさせるなんて…」
先程の店員の考えに、アスルは憤りを感じる。
「しょうがないよ…また新しいバイト先を探すよ…でも暫くは節約しないと…伯母さんから振り込まれるお金も、最低限だから…」
と、不安げな声で述べる千尋。
「……」
その千尋を見て、アスルは少し考えて聞いた。
「ねえ千尋…この近くに買取屋はあるかな?」
※ ※
千尋が案内したのは、先程のスーパーから少し離れた、駅の傍にある買取屋だった。中学生である千尋は全く利用しないが、目に付く場所にある店だった為、何となく覚えていたのであった。
「あそこだけど、アスル…買取屋に何かあるの?」
「ちょっと待ってて。僕が何とかするから」
そう告げるとアスルは、千尋をその場に待たせて、買取屋の方に飛んで行った。
「えっ、アスル!?」
構わず行こうとするアスルを呼び止めようとすると、アスルは肩越しに振り返って、ニッコリと笑った。
「大丈夫♪ 僕に任せて♪」
そう告げると、アスルは自動ドアを開けて買取屋へと入店した。
魔法によって、自分以外は認識出来ないアスルが、買取屋で何をするのか不安に思いながらも、アスルの帰りを待つ事にした。
三十分後…
「!」
暫くすると買取屋から、アスルがホクホク顔で出て来た。
「アスル、何をしていたの?」
そう尋ねる千尋に、アスルは無言で一つの封筒を渡した。
「?…!!!!!!」
その封筒を受け取って中を確認して、千尋は驚愕の表情を浮かべた。何故ならその中には、大量の一万円札が入っていたからだ。
千尋以外からは見えないアスルが、どうやって大金を手に入れたんや!?
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