14・お昼休みに
少しずつアクセスが伸びてきた! おおきに♪
たまに千尋の一人称を『僕』にしてまう…本当は、『私』なのに。
その後も授業は続き、やがてお昼休みになった。教室ではクラスメートが弁当を取り出すが、そんな中千尋はカバンを持って教室を出た。その隣ではアスルが飛んでいるが、クラスメートからはアスルは認識されない。
「椎名って何で昼飯、教室で食わないんだ?」
「知らないのかよ? アイツ、弁当持ってきてないんだぜ?」
「マジ? やっぱ親が死んでるから、作ってくれる人が居ないんだな」
「でもそれって自業自得だろ?」
「……」
そんな会話を聞きながらも、千尋は気付かないフリをして、教室を出る。
「……」
アスルはそんな千尋の顔を、無表情で見つめる。
※ ※
千尋とアスルがやって来たのは、外にある学校内の人気の無い場所であった。
「私は此処でいつも、お昼休みを過ごしているんだ」
千尋は置かれているベンチに腰を掛けながら、アスルに説明をする。聞かれる前に答えたのは、アスルが此処の説明を求めると考えたからだ。
「千尋はどうして、教室で過ごさないの?」
アスルは千尋が教室を出た事に疑問を感じていたらしい。
「えっとね…私、お昼は食べないから、お弁当は持ってきていないんだ…だから一人だけ食べていないと気まずくて…」
「どうして?」
「えっと…食費の節約…」
「…じゃあ、これを作ったのはまずかったかな…」
そう言ってアスルが千尋の前に、爪の生えた手を差し出すと、手の上に小さなカバンが現れた。
「えっ? 私のお弁当入れ!? それより、何処から現れたの!?」
「これは空間魔法による収納なんだ。これも入れてあるんだよ」
そう言うと今度は、アスルの背以上の長さを持つ、杖が現れた。
「これは僕が使う杖なんだ。魔導師は皆使うんだ」
そう言うと杖は消えてしまった。先程のアスルの言葉から、空間魔法という魔法で、出したり消したりしているらしい。
「…その魔法が凄いのは分かったけど…どうして、私のお弁当を?」
千尋は何故かアスルが、自分の弁当を持ってきている事に戸惑う。
「千尋が作るのを忘れて、学校に行ったと思ってね。それで作ったんだけど…ごめん。迷惑だったよね?」
申し訳なさそうに言うアスル。そのアスルに千尋は慌てて告げる。
「迷惑じゃないよ! 私が勝手にそうしているだけだし…アスルが作ってくれんだもの。食べてみたいよ!」
と、アスルを励ます様に言うと、アスルは微笑みながら差し出してきた。
千尋はベンチの上で、弁当を開けてみる。
「うわぁ、凄い!」
弁当の中身は、色とりどりの食材で作られた弁当であった。
「家に在った食材を、勝手に使ってしまったんだけど」
「良いよ。今日はお金も振り込まれる筈だから、帰りに食材を買うから。それより食べて良いかな?」
「うん!」
「いただきます!」
千尋は付属されている箸で、おかずを食べてみる。
「!!! 美味しい! アスルは料理が上手なんだね!」
味は絶品らしく。千尋はアスルに称賛の言葉を投げかける。
「この世界に来る前に、色々としていたからね。料理もその内の一つなんだ」
「そっか…あれ?」
その時千尋は、ある事に気付いた。
「? 千尋…泣いているの?」
アスルが指摘したとおり、千尋の目からは涙が流れていた。
「あ、あれ? どうし…て…久しぶり…に…自分以外の…人が作ったのを…食べたから…かな…」
弁当に涙が落ちない様に、必死に拭う千尋。その千尋の頭を、アスルは優しく撫でてあげた。
本当はもう少し書きたかったのですが、次回に持ち越しですわぁ。
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