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4 魔物たち、警戒する
「誰だろう?」
「見に行った方が良いね」
「待って。危険よ」
スニが止めた。
「どうして?」
ハルアはスニを振り返る。
「そこにいるのが、何も知らない連中だったら? 私たちの家のありかを知られてしまう」
「それもそうだけど……」
リートは事情が飲み込めないなりに、神妙な顔をして聞いていた。
ハルアが、ぶるりと身震いする。
「まさか、既にここに降りてきてるんじゃないだろうな……」
その場にいた全員が思わず黙り、耳を澄ませた。作業音が途切れることなく聞こえるばかりだ。
ニーがやれやれと言わんばかりに首を振り、立ち上がった。白い石の欠片を手にして、壁の地図に近づいた。
「少し、おどかしてやろうか」
「おい、よせよ」
「おどかすだけなら、神も目こぼしくださるさ」
そう言って、石で、井戸の印の周りに丸を描いた。ハルアもスニも、期待を込めて壁を見上げた。
だけど、