14 リートたち、近道に案内される
彼女はもうずいぶん離れていた。3人は顔を見合わせ、小走りに彼女に追いついた。
「ここだよ、出入り口の2つめ」
彼女が示しているのは、大理石でできた階段だった。地上に続いているらしい。滑らかな石段には、砂粒1つ落ちていない。
「結構、整備されてるのね」
レイラが感心した。
「この上に、カテドラルの地下倉庫があるの」
「真神教の神殿に通じているのか?」
オグマがぎょっとして声を上げた。
「そうだよ。教父さんもこの階段を知ってる。時々こっそり降りてくるの」
「何のために?」
「いろいろ。肝試し、内緒話、気分転換。あたしたち、特に気にしないことにしてるの」
「危険じゃないのか。真神教徒は、魔物を憎んでいるのに」
「平気。あたしたちと仲良くできない人は、アマンドラから出て行ったから」
ランプを石段の片隅に置いた。ミーミーはまだ顔を曇らせているオグマを励ますように笑いかけた。
「真神教徒だって、そこんとこよく分かってる」
「砂漠の状況とは随分違うんだな」
オグマの暗い呟きに、リートは思い出した。まだ自分がとても小さかった頃、魔物を虐殺したせいでむごたらしい復讐をされたアミール(将軍)がいたっけ。
ミーミーはかまわずに先頭に立って迷路をすいすいと歩いて行く。
「アマンドラへの出入り口は、あと3つ。市街に出るのが2つ、鉱山の下に1つ。魔法使いや役人は、全部知ってる」
「そうか。じゃあ警戒した方がいいな」
「そう? 魔法使いは、皆わたしたちの味方だわ」
「甘い」
オグマがすかさず否定する。「さっき戦った時も、魔法を感じた。何人かの魔法使いは確実にあなたたちを裏切っている」
「だけど……」
ミーミーが困った顔をする。気まずくなってリートとレイラはそれぞれ別々の方向を向いた。レイラの顔の先には、魚を獲る網のようなハンモックを張り巡らせた遊び場があったし、リートは何もかもルビーでできた上等な部屋を見つけた。
「これ、なあに?」
2人が声を揃えて尋ねた時、ミーミーはオグマに詰められていたらしい。ほっとしたような顔で、ミーミーは2人の側に駆け寄ってきた。
「あのね、この部屋は__」
「後にしてくれないか。まだ3つの出入り口を回らなければならないんだ」
「うん、でも、時間は短縮できるわ」
「短縮? どうやって?」
「こっちに来て」
ミーミーは、細い横道に案内した。壁をくりぬいた穴に取り付けられた木の扉が、びっしりと並んでいた。その中の1つを叩き、ミーミーは言った。
「この扉を開けたら、市街地の下につながってる。近道よ」
「じゃあ、他の扉はどうなってるの?」
レイラが目を輝かせて隣の扉に触れた。
「そこは食糧庫」
扉を引くと、ベーコンの大きな塊やら、おがくずの中に埋めたりんごの木箱やら、小麦粉の袋やらがぎっしり詰まっていた。




