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157話 雷神の裁き

 神性開放をして魔神の姿となった美琴を見た八人は、存在そのものの次元が遥かに違うことを本能で感じ取っているのか、恐怖を浮かべて体を激しく震わせている。

 神血縛誓で本気を出さなければいけないので神立の雷霆までやろうかと思ったが、そこまで行くと模擬戦の本気ではなく殺し合いの本気になってしまうので、やめておく。


「どうしたんですか? あなた達が望んだんですよ? 私との本気の試合を」

「そ、そんなの、反則……」

「反則じゃないですよ、稲光(いなみつ)さん。私は昨日、そこにいる龍人さんの前で、神の血を使った制誓呪縛、神血縛誓で本気で戦うと縛ったんです。バカですよね。魔神としてとっくに覚醒していて実力差は明らかなのに、人間では手が出ないほど強くなる神性開放をしないでほしいなんて、一言も言わなかったんですから」

「さ、流石に神降ろしまで使うのは……」

「言ったじゃないですか、龍人さん。今日の模擬戦は本気で行くって。だから本気を出したんですよ」


 ぐるりと広場全体を見回して、他にも色々と小細工を仕掛けているようなので夢想浄雷の一振りで広場を更地にして均し、その小細工を根こそぎ破壊する。

 アモンの時とフルフルの時も長時間使わず、振るった回数も一回二回程度ですぐに解除していたし、覚醒以降も使うことはなかったので把握できていなかったが、やはり神性開放中は真打を時間いっぱいまで無制限に使えるようだ。


 ただやはり神性開放は、人間の体を魔神前席の肉体に書き換える荒業なので、直感で負担がすさまじいのが分かる。

 解除したら途端に猛烈な怠さが襲ってくるだろうが、ならそれまでにここにいる全員に、美琴に歯向かわせる気力すら奪うほどの恐怖と圧倒的実力差を叩き込めばいい。


「……いつまでも来ないなら、こっちから行きますね」


 そう言って一歩前に踏み出すと、全員体を震わせて美琴が近付いた分だけ後ろに下がっていく。


「う、うぁああああああああああああああああああああああああああ!!」


 一人、雷門海斗が恐怖を紛らわす様に叫びながら駆け出してくる。

 彼が両手でしっかり持っているのは、雷門家に伝わる呪具、渦雷(うずらい)

 最上呪具に位置するその呪具の性能は、最上であるだけあって非常に強力。

 使えるのが雷一族の身と限定されているが、雷断と似て雷の蓄積を行い、雷断と違って好きなタイミングで放出ができる汎用性の高いものだ。


 そんな渦雷に紫電をまとわせて斬撃を放ってくるが、美琴はそれを左手を埃を払うようにさっと振って、弾いて霧散させる。

 渾身の一撃だったのだろうが、所詮は人間が作った呪具に過ぎない攻撃など、今の美琴に届きやしない。


「まず一人」

「っ!?」


 ドォン!! と雷鳴を響かせて海斗との距離を詰めた美琴は、彼の胴体に向かって真打を振るう。

 咄嗟に間に渦雷を差し込んで防ごうとするが、脆いガラス細工のように簡単に砕け、真打から美琴の手に人の体の肉を叩く不快感を伝えてくる。


 殺すつもりはないので峰打ちで叩き込み、殴り飛ばされた海斗は壁に激突してそのまま意識を失う。

 七つの巴紋を浮かばせ雷と同じ紫色に変色した瞳で見つめれば、殴った瞬間は確かに骨が砕けていたのだが、その損傷は一瞬で修復されていた。

 霊華がいる限り死人は絶対に出ないと言っていたが、その言葉に偽りはないようだ。

 ならばもう少し思い切りやっても大丈夫だろうと気持ちを切り替えて、残った七人に向きなおる。


「鬼じゃ、鬼がおるぞ」

「美琴お姉ちゃんやっちゃえー!」

「鬼というより魔神ですけどね」

「あまりにも可哀そうすぎるけど、自業自得なんだよなあ」

「み、美琴ちゃんって怒ると結構怖いんだね」

「いつもにこにこして優しいクールな美琴ちゃんでも、あんなふうにキレるんだな」

「おれ、元々そんなつもりはねえけどぜってー美琴ちゃんのこと怒らせない」

「あぁ、今美琴さんが砕いてしまった呪具、貴重なものだったでしょうに、もったいない」

「フレイヤ様はブレませんね」

「美琴ー、ほどほどにしてやりなさいよー」

「いえいえ、昌さん。ここは好きなだけ暴れろが正解じゃないですかね。今まで散々好き勝手やらせてたんですし」

「ルナちゃん、美琴さんが絡むと暴走気味になるね?」

「流石は美琴ね。キレてても綺麗」

「今のワンパン見てそんな感想言えるのはバアルくらいだろうな」

「こうして開放を見るの初めてだけど、怖いというよりも確かに綺麗が先に来るわね」

「ほぼ手加減なしの一撃でしたね」

「あの美琴がキレるなんてね」

「鳴海の時も、怒るどころか救ってやるって言ってたもんね


 企んでいたものを捻じ伏せたと分かった途端、美琴側の外野がうるさくなる。

 さっきまで心配していたくせにと言いたいが、この状態になってしまえばほぼ敵なしみたいなものなので、あのような反応をされるのは仕方ないだろう。

 でもああやって心配すらされなくなるのはなんだか癪なので、帰ったらあの中の誰かに美味しいものでも奢ってもらうか作ってもらおうと息を吐く。


 視線を正面の七人に向ける。

 それだけで全員体を激しく跳ねさせて、天鼓家次男に至っては白目を剥いて口から泡を吹いて気を失って倒れた。

 まるで自分のことを化け物のようにと思ったが、今はそれでいい。

 美琴と関わりがある人達全員に、今後一切の手出しも悪口も陰口も言えなくなるほど、バアルゼブルという恐怖を魂の髄まで叩き込む。


「さあ、どうしたんですか? さっきまであんなに威勢がよかったのに、随分と大人しくなったじゃないですか」


 じっと、龍人から目を外さずに言う。

 美琴の人生を台無しにしようとした張本人で、一族全体で見ても美琴を除けば最強格。

 呪術師としての階級は付けられていないが、扱える雷の量と長い間生きてきたことによる経験から、一等以上の強さを持っているのは確かだ。


 なので、龍人から挑んできてくれれば非常に助かる。

 そうしてくれれば、雷神を除いた雷一族最強でもなすすべなくボコられるほど、今の美琴は強いのだと教えることができる。


「幼い頃、私はてっきりあなたの孫娘だから雷が使えなくてもそっけなくもそれなりに優しくしてくれているものだと思っていました」


 しかし実際は、雷神の力が宿る可能性が高い宗家長男の娘だから、雷神の器たり得る存在だったから、優しくしていただけに過ぎなかった。


「雷神として覚醒したばかりの時、百鬼夜行の時の記憶の大部分をなくして自分が何をしたのか明確に分からなくなっていて不安になっている時、慰めてくれると少しでも期待していました」


 しかし慰めるなんてことは一切せず、むしろ名前を奪って死んだことにしようとして、この雷庭にある屋敷の中の小さな部屋の中に閉じ込めて、残りの数十年の人生を過ごさせようとした。


「お父さん達から説明を受けて全部理解して、雷神の力を持った私が離れたらもう執着しないと思ったこともありました」


 それどころか執着は酷くなるばかりで、しまいにはフルフルから大きな力を授けられた鳴海を雷神だと言い、結果的に魔神のせいだと批判などを上手く抑え込むことができたとはいえ、彼女の人生をめちゃくちゃにした。


「そして今、あなた達は戻るつもりがないと言い続けている私を、どんな卑怯な手段を使ってでもここに縛り付けようとしている。あなた達が崇めているのは雷神ではなく、この権能そのもの。そりゃそうですよね。一族の使う雷の力は、初代に迎えられた伴侶が眷属になることで得た力で、それを上手いこと眷属化を解除させずに後世に繋げて来たもの。言い換えれば、あなた達の力は私の力から来たものなんですから」


 だから雷神を崇めていると口では言っていても、真に崇めているのは厳霊業雷命ではなく、その権能なのだ。


「こんな力に縋って生きているような一族、恥ずかしくて仕方がありません。性根を叩き直してやりますから、四の五の言わずにかかって来なさい」


 挑発するように左手で手招きにしながら言う。

 ようやく、残った六人が覚悟を決めたかのように美琴に向かってくる。


 天鼓家長男が大上段に刀を振りかざしながら突っ込んでくるが、基本は雷の力に頼り切りの戦い方をしてきたのだろう。

 あまりにもお粗末な動きすぎて見ていられず、これ以上無様な動きを見ないようにと強く踏み込んでから、左手で思い切りみぞおちを殴って膝を突かせる。

 その後ろから稲光家長男が天鼓家長男を踏み台にしてくるが、持っている呪具ごと真打の峰打ちで地面に叩き落とす。


 静雷家当主が刀を左手に持ち、右手に雷を収束させて槍のようにして投擲してくるが、それを左手でぱしっと弾き飛ばしてから、お手本だと言わんばかりに伸ばした左手から雷撃の槍を飛ばして意識を刈り取る。

 完全に怖気付いた瓦鳴家次男は、吹っ飛んできた静雷家当主を見て腰を抜かし、その場に座り込んでがちがちと歯を打ち鳴らす。

 流石に完全に戦意喪失した相手をいたぶる趣味はないので、残りの二名、雷鼓家当主と雷電家先代当主の龍人を見やる。


「み、みんな、い、一撃、で……」

「ば、バカな……。い、いくら相手が雷神様とはいえど、精鋭中の精鋭を集めたというのに……」

「確かに、精鋭ですね。極限なまでの、雑魚の精鋭です」


 眷属としての能力は破格だ。何しろ、覚醒以前でフルフルのものでさえ、あの黒い雷にはそれなりに苦戦していたくらいだ。

 ならば魔神最強の名をほしいままにしていたバアルゼブルの雷を使える眷属なら、武術がまともではなくてもその力だけで一定の強さの怪異をゴリ押しで祓えてしまうだろう。

 そんな戦い方に甘え切っていたからこそ、こんな目も当てられない惨劇が広がっているわけだが。

 というか、よくあの弱さで生きてこられたなと感心すらする。


 美琴は最強格の魔神だし、格そのものが全くの異次元なのは仕方がない。

 だがそれは怪異にも言えることで、怪異と一括りにしているが中には、最近は灯里の家で大人しくしているそうだが白雪のような発生方法が怪異に似たいるだけの神も存在する。

 圧倒的格上を前にしても、恐怖を感じていてもそれを極力表に出さず内側で制御することで、やっと怪異とまともに戦うことができる。

 というか、そうでもしないと逃げ場がない状態で格上とぶち当たった時、生き残る可能性が著しく下がる。

 もっとも、今回ばかりは戦意を喪失してしまったり、今までは雷だけでどうにかできていても瞬殺されてしまうのは、本当に仕方のないことだ。


 雷鼓家当主と龍人が圧倒的なまでに開いている実力差に絶望した表情を浮かべ、構えている刀の(きっさき)がぶるぶると震えている。

 これがもし相手が龍博であれば、可哀そうだからとここでやめていただろう。だが相手は、一族の繁栄のためにと一人の少女の人生を、未来を犠牲にすることをいとわないどころか、それを強制することこそが正解だと思っている狂人達だ。

 だから美琴も手加減などしない。


 いつまでもかかってこないので、美琴から距離を詰める。

 まずは雷鼓の方に向かい、悲鳴を上げながら逃げようとしたので移動先に回り込み、がむしゃらに振り回してきた呪具を峰打ちで粉砕しながら胴体を強く叩いて、十数メートル先の壁まで吹っ飛ばす。


「最後はあなたです」


 最後の一人となった龍人は、顔を真っ青にして全身が激しく震えていた。


「言っておきますけど降参なんて認めません。あなたは、あなただけは、何があっても逃がしません」

「ひっ……! う、うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 悲鳴のような気合を上げながら龍人が斬りかかってくる。

 他の六人のように一撃で叩きのめしてもいいが、龍人だけはそれだけで終わらせたくなかった。

 なので左からの振り払いを右手一本で持っている真打で軽く受け止める。


 美琴が右手一本で持っているからと、強く力を込めて押し込もうとしてくるがびくともしない。

 押し込めないと気付いた龍人は刀を引いて、左の肩目がけて突きを放ってくるが、刀の腹を左手の甲で叩きながら外に逸らす。


 姿勢を崩しかけた龍人だが、踏ん張って姿勢を整えてから外に逸らされた刀を戻しながら逆袈裟に斬りかかってくる。

 決めているルールとして一本でも取ることができれば無条件で雷庭に戻るなので、その斬撃を軽く弾く。


 諦め悪く何度も斬りかかってくるが、やはり強すぎる美琴を相手に恐怖が勝っているのか、太刀筋はブレブレだ。

 龍博であれば、顔に恐怖の表情を浮かべこそするだろうが、行動にまでその感情が出てくることはないだろうなと、長いため息を吐く。

 良くも悪くも、強い力を自在に使えることが前提でい続けた弊害。


「諦められない……! 諦めてたまるものか……! 命様には、何が何でもこの雷庭に戻っていただくのだ……!」


 息も絶え絶えとなりふらふらになりながらも、なおもそのくだらない目標のためにと立ち向かってくる。

 上段に構えて間合いを詰めてきて全身を使って振り下ろしてくるが、それも右手一本で持つ真打でやすやすと受け止められる。


 鍔迫り合いの形になり龍人は目いっぱい力を込めて押し込もうとしてくるが、当然美琴には敵わない。


「……そこまで必死になって、どうしても私をここに縛り付けたいんですか」

「あ、当たり前です……! 我ら一族の繁栄には、どうしてもあなた様の御力とその血が必要なのです……!」

「……そうですか。もういいです」


 どこまでも自分本位で、どうしようもないクズ。

 もうこれ以上何を言ったって無駄だし、これ以上何をしたって無駄だ。

 鍔迫り合いしている龍人の刀を軽く弾いた後、くるりと刀を持ち直して素早く振るい、刀身を十分割する。

 一瞬で武器を失った龍人は、柄だけになった自分の呪具を揺れる瞳で見つめる。


 それでもまだ諦めていないのか、柄を捨てて拳を握って殴りかかろうとしてくるが、もうこれ以上の戦いはこれ以上ない無駄な時間なので、手っ取り早く戦意を喪失させることにする。


「諸願七雷・七ツ神鳴(ななつのかんなり)───鳴雷神(なるかみ)


 範囲を雷庭ギリギリまで絞ることで威力を上げ、後ろの七つ金輪巴から溢れたエネルギーを真打にありったけ乗せて、大上段に構えてから振り下ろす。

 まず先に地面に特大の裂傷が深々と刻まれ、遅れて大轟音の雷鳴が轟く。


 今の攻撃は龍人に当てていない。当てていたら、いくら霊華の結界があるとはいえ、跡形もなく消し飛んでしまえばどうしようもないだろう。

 他の一族の連中も今日は全員この屋敷にいるし、この広大な敷地は今でも構造を把握しているので、どの家にも今の鳴雷神は当たっていない。


 夢想浄雷の名を開放することで使える攻撃を除けば最強の一撃を真横で使われた龍人は、耳から僅かに血を流して意識を失っていた。

 一瞬で霊華の結界によって修復されたようだが、鼓膜が今ので破れていたようだ。

 ぶっちゃけこの男に関しては、一生耳が聞こえなくなってもいいと思っているのだが。


「勝負あり、ですね。この戦い、美琴さんの勝ちです」


 卑怯にも最初から美琴の力を封じようとするところから始まったこの一対八の模擬戦は、美琴の圧勝という形で終了した。

 霊華の宣言を聞いた後、右手に持つ真打を体の中に戻してから、神性開放を解除せずに深く息を吸う。


「雷一族宗家雷電家現当主、雷電美琴の名において。私の実父雷電龍博を除いた全ての一族から眷属としての力を剥奪します! そして、今まであなた達が散々見下しバカにし続け暴力を振るい、果てにはその人生すら奪おうとした雷門鳴海を私の眷属とし、雷の力を使えることとします!」


 そう声を張り上げると、前もって知らされていた美琴と共にここに来たメンバー以外全員がどよめく。


「また、今後雷神が誕生するのは私の直系の子孫のみとします! 今後永遠に、私の直系以外の一族の中からは雷神は生まれることはありません!」

「そ、そんな! 命様、お考え直しを!」


 真っ先に春鳴が抗議の声を上げ、それに続いて他の一族の面々も抗議の声を上げる。


「するわけがないでしょう。いつまでも私の力だけに縋り続けるのですから、自立させるには縋る対象を奪ってしまった方が手っ取り早いです」


 言うことを言うだけ言った後で、美琴は神性開放を解除し元の姿に戻る。

 どっとすさまじい疲れが押し寄せてきて、体中に重りを付けているかのように重くなる。だが気分は不思議とすっきりとしている。


「言っておきますけど、今の宣言は一族の血を通してのものですので、あなた方がこれから先どのような手段を取ろうとも、私が将来結婚してその間に生まれる子供以外で雷神の力は宿りません。仮にあなた達が私のことを凌辱して無理やりその間に子供を作っても、あなた達の血が混ざっている以上絶対に雷神の力を持つ子供は生まれませんので、余計なことは考えないでください」


 感情のこもっていない冷たい声で突き放すように言い、重い体を引きずるように龍博達のところへ戻る。


「鳴海、どう?」

「……まさか、こんな形でこんなタイミングで、この紫電を使えるようになるなんてね」


 現状龍博を含めたった二人の眷属となった鳴海は、右手に小さく紫電をまとわせながら、困ったように眉尻を下げながら言う。

 長い間ずっと、雷が使えないからと実の両親から暴力と暴言を受け続けてきた。

 頑張って頑張って一位を取ってもほめてもらえず、一位を取れなかったら酷い暴力を受ける。

 それは全て、雷を使うことができなかったことから来ていた。


 今の彼女は霊華に保護されている。もう二度と、雷門家に戻るつもりはない。

 褒めてほしい、認めてほしいと願い続けていた両親から離れた後で、美琴から直接眷属にしてもらって力を得て、代わりに龍博と自分以外全ての一族が力を失った。


「どうって、今聞いたわね? そんなの、気にくわないクソヤローどもが落ちぶれたのを見れて、最っっっっっっっ高に決まっているでしょ」


 今までに見たことのない眩しい笑顔を浮かべながら言う。

 これで彼女は、完全に開放された。

 神の力を抑え込むとかいう封神釘も完全に消し炭となり修復不可。雷の力を完全に失い、呪力も魔力も持たないただの人間となり、戦う力を失った。


 今後、雷電家を除いて雷一族は呪術界から居場所を失い、最終的には消滅するだろう。

 信じ崇めていた者から全てを奪われ、散々見下し続けてきた一人の少女に力が宿った。

 今まで散々好き勝手やってきたのだし、いい加減罰を受けるべきだったのだ。


 こうして、長い間続いてきた一族の悪習は完全に潰え、その後で霊華との連携で一族はもう未来永劫雷電家と鳴海に関わることができなくなった。

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