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【悲報】ダンジョン攻略JK配信者、配信を切り忘れて無双しすぎてしまいアホほどバズって伝説になる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一部 第七章 雷神と小さい魔術師と月の魔術師とトンデモ兵器
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110話 派手な開幕

「眷属の皆さん、おはよう! 琴峰美琴のダンジョン攻略配信の時間だよ!」

「おはようございます、灯里です。ついにクランの制服に袖を通すことができました!」


”キタアアアアアアアアア!!”

”朝から美少女を見れるなんて、なんて最高なんだ!”

”なんかいつもと着物が違ううううううううううううううううう”

”美琴ちゃんも灯里ちゃんも、どっちも新衣装になっとる!?”

”揃って同じエンブレムついてるってことは、もしかしてクラン制服!?”

”かっこよすぎ&可愛すぎんだろ!”

”七鳴神の七つ金輪巴と、もしかして真打・夢想浄雷かな?”

”そこはお揃い衣装であって欲しかったけど、これはこれであり”

”クラン制服が可愛すぎるよりも、クランマスターが相も変わらずちょっとえっちが先に来る”

”それより今日は誰とのコラボなんですか!?”


 配信を始めると、相も変わらずすさまじい速度で流れているコメント達。

 今日は誰とコラボをするのだろうかというコメントも多く見受けられたが、それ以上に灯里と美琴の衣装が新しくなっていることについてのコメントが圧倒的だった。

 美琴の衣装が変わったのは、シンプルに猪原の暴走の時に破れてしまい、丁度クランが発足したこともあっていいタイミングだったから、そのまま変えた感じだ。

 視聴者達もそれを分かっているようで、前の衣装がよかったや、前の衣装もよかった、新衣装の方がずっといいなど、結構意見が分かれている。


「さて、本日はか・な・り、特別なゲストを招いたんだけど、みんな誰だか分かるかな? あ、新衣装似合っているよコメントありがとう」


”マジで誰だか見当もつかん”

”どうせまた可愛い女の子だろうな”

”百合化が止まらない”

”もしかして、最近探索者と配信者の両方を始めた華奈樹ちゃんと美桜ちゃん?”

”美琴ちゃんの親友兼マネージャーちゃんだと予想”

”美琴ちゃんはリアルお嬢様だし、派手なドレスを着て炎の呪術で大暴れしている、エセお嬢様なJK配信者かな”

”灯里ちゃんの友達だったりして”


「意外と分からないものなんですね、こういうのって」

「中には分かっててやっている人もいるかもしれないけど、事前情報何もなしでコラボするとしか言っていないからね」


 文字だけなので、モニターの前でどのような顔をして打ち込んでいるのか分からないため、額面通りに受け取らざるを得ないことが多い。

 果たして大量の送られてくるコメントの中で、分かっててあえて答えを外している人は何人いるのだろうかと考える。


「それじゃあ、答え合わせするね。本日お招きしたコラボ相手は……最近話題沸騰中の同い年の女子高生配信者、フレイヤさんです!」

「Hi, everyone! Thank you for coming to my colabolation stream! 美琴さんの視聴者の皆さん初めまして、フレイヤです」

「Nice to see you.フレイヤ様のマネージャー兼サポート役の、リタです。美琴様の眷属の皆様、本日はよろしくお願いいたします」


 綺麗な所作で頭を下げながら、英語と日本語を交えて挨拶するフレイヤとリタ。

 どちらも大人で優雅で上品な雰囲気をまとわせており、場所が場所ではあるのだが、どんな服装を着ていようとそれだけでまるでパーティー会場にいるような気分になりそうだ。


「はい、というわけで答えは、フレイヤさんでしたー。本当はフレイヤさんだけの予定だったんだけど、リタさんも一緒に付いてくることになっちゃった」

「フレイヤ様と美琴様であれば、どのような相手であろうと取るに足らないほどの実力者ですが、やはり心配ですから」

『ものの見事に、全員十代の学生で結成された臨時パーティーとなりましたね』

「字面だけ見ると、ものすごく心配しそうな人出てきそう」


 灯里が十五歳、他三人は十七歳と、成人が一人もいない。

 女子高生と中学生だけで組まれたパーティーという字面を何も知らない人が見れば、あまりにも危険だと大騒ぎしそうだが、美琴の配信の視聴者は誰一人として心配するようなコメントが流れない。


 むしろ、美琴の数々のすさまじい実績と灯里の卓越しすぎている魔術の腕、バズってから広まったフレイヤの数々の魔導兵装の超火力があるため、モンスターの方を心配するようなコメントが見られるほどだ。

 中には、メイド姿のリタが唯一の常識枠と言われている始末だが、彼女も一等探索者で、あの格好のままかなり戦えるため常識枠ではない。

 リタもただ黙ってついてくるわけではないので、そのうち彼女の戦う姿も一瞬で増えた視聴者達の前に披露されることだろう。


「正直な話、私達このまま深層行っても問題ないくらいの火力していると思うんだけど」

「それは私も思いました。ですが、私はまだ深層に行った経験がありませんし、灯里さんもいます。流石にそこまで行かないほうがいいでしょうね」

「となると、連携強化のコラボ配信みたいになるかも? 私、フレイヤさんとリタさんの戦い方は、動画で見ただけでしかないから」

「以前ルナさんも含めて同じようなことを行っていたのを拝見しましたが、あの時以上に連携には向いていなさそうなパーティーになりそうですね」


”超火力(雷神)と超火力(トンデモ破壊兵器)と超火力(成長モンスターな小柄ロリ)だからね”

”フレイヤちゃんがあんななんだ。メイド服のままダンジョン来ているリタさんが、一般的な一等探索者の火力をしているはずがない”

”きっと灯里ちゃんばりにやう゛ぇー威力の魔術使ってきそう”

”ていうかなんでメイド服のままなん?www”

”あのー、リタさん。なんでそんな胸元がっつり開いて谷間もがっつり見えて、構造的に背中もがっつり開いてるメイド服着てんの?”

”ミニスカ谷間と背中見えメイド服だけでもエロいのに、黒ストッキングに白レースガーターリングとか性癖バーゲンセールしててスコ”

”これ幼い子供が見たら、性癖拗れそう”

”四分の三人で、一部の空間のゆがみが発生してそう”


「……最近私も美琴さんと同じ道を進んではいますけど、あなたの方から流入してきた視聴者のコメントの量が多すぎて混乱しそうです」

「そのうち慣れるよ」

「果たして慣れていいことなのかどうか」


 ふぅ、と右手を腰に当てながらため息を吐くフレイヤ。


「よし、それじゃあコラボ相手の紹介もできたことだし、早速進みましょう」

「今日はほぼ一日潜っているとはいえ、時間は有限。ずっと同じ場所に留まっているわけにはいきませんものね」

「では、前衛はお二方にお任せしてもよろしいですか? わたしは灯里様と共に、お二方のサポートに徹します」


 歩き方や体捌き的に、近接武器を持って戦う前衛だと思っていたが、後ろに下がったので後衛のようだ。

 魔術師だから全員が完全に後衛というわけではないので、彼女はあくまで前衛もできる後衛なのだろう。


「戦い方的には、あなたはがっつり前衛なんですけどね」

「このチャンネルの主はフレイヤ様ですから。わたしはあくまでマネージャー兼メイドにすぎませんから」

「マネージャーでメイド……」

「灯里様、何か不思議なことでも?」

「い、いえ! 何でもないです」


 灯里がリタの言葉を小さな声で呟き、リタがそれについて聞くとやや慌てた様子で首を振る。

 前に昌と一緒にいるところを、学校の友人といる時に会ったと言っていたから、その時に何かあったのかもしれない。


『お嬢様。前方からモンスターの反応です』

「ここ安全地帯じゃないし、少し賑やかにすればそりゃ来るよね」


 ブレスレットから雷薙を取り出して構え、すぐに迎撃できるようにする。


「美琴さん、ここは私が。新しく開発した魔導兵装の試運転がしてみたいんです」

「……上層で兵装使うって、ちょっとオーバーキルすぎじゃないかしら」

「雷神であるあなたには、言われたくないですね」


 どこかに隠し持っているのであろう、容量を無視してものを詰め込める道具の中から、いわゆるガンランスを取り出し、それを構える。

 それがどのような効果を持つ魔導兵装なのか分からないが、少なくとも絶対に上層で使うようなものじゃないのは確かだ。


 魔力を込め始めたのか、銃口部分に光が収束していく。

 哀れにも、そんな状態のガンランスを構えたフレイヤの前に現れたのは、上層モンスター代表のゴブリン達だ。その数、十体程度。

 声がした方向にやってきてみれば、そこには見目麗しい若い少女が四人もいる。ゴブリンからすれば、自分の性欲の捌け口と子孫を残す母体が四人もいてラッキー程度に思っているのだろう。

 だからこそ、ますます光が強くなるのを見て、何も知らないでいることは怖いなと遠い目をする。

 しかもよく見ると、弾丸を込めるであろう弾倉部分に五つの弾丸の形をしたメーターが付いていて、魔力を込めた分だけそれが赤くなっていく。


 嬉しそうな声を上げながら、軽い足取りで走ってくるゴブリン達。

 しっかりとモンスターの勉強をしている灯里は、どうしてあんなに嬉しそうにしているのかを理解して、怯えたように美琴の後ろに隠れる。


 ゴブリンとフレイヤの距離が十メートル程度になった瞬間、彼女がグリップ部部分に付けている引き金に指をかけ、ガチンッ! という音を立てて引く。

 その瞬間、大爆音とともに銃口に込められた魔力が解放され、正面に向かって指向性を持った爆撃が放たれる。

 五つの爆撃音が重なって鳴り響き、最後の最後まで何も知らなかったゴブリンは、一瞬で消し飛んだ。


「うん、いい具合ですね。でももう少し反動抑制があってもいいかもしれないですね。チャージにも少し時間もかかっていましたし、少しだけ引き金が引きにくいことも分かりました。まだまだ改良の余地はありますね」

「もうそれ以上強化しなくたっていいくらいのトンデモ兵器になってるんだけど」

「やるからには徹底的に、です。私はロスヴァイセ家の娘で、職人ですから」


 ガシャン! と音を立てて弾倉が上にスライドして出てきて、その中から赤熱した巨大な空薬莢が排出されて、金属音を鳴らして地面に落ちる。

 フレイヤはまだこれ以上改良するようだが、今見た様子だと下層のモンスターなら余裕でワンパンできる。

 彼女は一体何を目指しているのだろうと、一瞬で全弾装填完了させて弾倉を戻すフレイヤを見てしみじみ思った。


「下手したらあなた、魔神を倒せる武器とか作るんじゃないかしら」

「そこまで行けたらいいですね。さ、砲撃機能の試運転もできましたし、次に行きましょう」


 恐らくまだ他機能が残っているのだろう。

 ガンランスをしまうことなく歩いていくフレイヤの後ろを、美琴と灯里は他に何を持っているのだろうと若干の怯えを見せながら、リタはいつも通りだと言わんばかりに迷いなくついて行く。

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