表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

深夜の公園のトイレから聞こえる赤ちゃんの声

作者: 荒木パカ

私はダイエットのために深夜にランニングをしている。

その日は夕方にがっつり仮眠を取ってしまったため、変な時間に起き、深夜の3時にランニングに出掛けた。

真夜中ではあるが、都心近くということもあり、外は街灯で明るく、車も少数だが走っているのが見受けられる。

なんなら歩行者もいて、すごいなと感心していたくらいだ。

そうこうしてランニング道中の小さな公園に差し掛かったとき、突然の尿意に襲われた。

都心といえど深夜3時の公園は不気味なので、どうしようかと思ったが、人間尿意には勝てない。意を決してトイレに入った。

小さい公園のトイレにしては意外と綺麗だったので一安心し、用を済ませていると、耳に微かな音が聴こえてきた。

「あぅあぅあぅ・・・ あぁぅあぅぅ。」

びっくりして手元が狂い、少しおしっこを手にかけてしまったが、その事で少し冷静になれた。

よくよく聴くと、この微かな声、まるで子どもの泣き声のようにも聞こえる。しかも個室の方から聞こえてくる。

脳裏によぎったのは、捨て子。トイレで産み落とされた赤ちゃんが残されているのではないか。そうおもった。

普通に考えればトイレで産み落としたにしても、男子トイレで産むわけないだろうと思うが、その時の私は結構パニック状態でそこまで考えが及ばなかった。

勇気を振りしぼり、声が聞こえてくる個室を覗く。

中には蓋の落とされた便座。確実に声は中から聴こえてきていた。

恐怖もあるが、もしも赤ちゃんだったらもっと大変である。

私は蓋を開けた。

そこにいたのは、猫であった。

「何見てんだよ。」っと言ってきそうなくらい無愛想な顔をした黒猫であった。

その猫はのっそりと中から出てきて、ぺたぺたと音を立てて個室を去っていった。

ぺたぺた音がしているのは、後ろ足が便器の水で濡れていたからである。

私は手を洗ってランニングに戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ