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ティーパーティーへのお誘いは・・・

 帰宅後、すぐにお父様に次期公爵様からティーパーティーに誘われそうだ、という話をした。


 まず、お父様は、

「話はわかった。とりあえず、ウェンディがオイラー伯爵とそのティーパーティーに出かける予定が無いか聞いてから、対策を練ろう。」と仰られた。


 え?もう、そんな仲になってるの?!って驚かずに居られない。

 さすが、肉食系女子。進行が早い。

 妹のような、ヘボ式進行では理想の相手との結婚は掴めない、恋愛とは強引に推し進めるものなのだと。そーゆー事ですね?姉上様。

 というか、初めて姉上様の恋愛至上主義に感心しましたよ。

 正に今、魔王の手によって、強引に推し進められそうな気配が漂ってなければ、こんな事気づかなかったよ。気付きたくも無かったけれど。

 あ、でも、私は、推し進めたくないから、姉上様を見ならう必要もヘボ進行である事も間違って居ないから、問題無いですね!

 むしろ、姉上様を見習って、グイグイ推し進めたら、自分の首がグイグイ引き締まっていくところでした!危ない!危ない!


 「では早速お姉様にお伺いしてくれませんか?」

 「わかったよ。そうしよう。」


 お父様から承諾を得たところで、ロビーから姉上様帰宅の知らせが聞こえてきた。


 タイミング!タイミング良すぎですよ!姉上様!


 早速、お父様が、執事に申し付けて、お姉様を呼び寄せ、ティーパーティーの招待の是非を伺った。


 「ウェンディ、今日、我が家に公爵家からティーパーティーのお誘いがあったのだが、その、オイラー伯爵が、エスコートしてくれるという話は出てきているかい?」


 あくまでも、何食わぬ顔を心がける父男爵。隣で、アイヴィーは、おとなしく様子を伺っている。


「まぁ、お父様、私とアラン様の事が心配なんですの?」

「まぁ、我が家の大切な娘だ。心配しない方がおかしいだろう?」

「心配しなくても大丈夫ですわ!きちんとエスコートのお話受けておりますの。ただ・・・研究所で今行っている研究の提出が、ティーパーティーと同じ日ですの。だから、アラン様には今回行けそうに無いって、先程お断り申し上げてきたところでしたのよ。」


ため息をつきなが、目をふせるウェンディ。


これを見た男が一体何人手を差し出さずに居るのだろうか。と、アイヴィーが思っていると、安心した父男爵が、安堵の声を漏らした。


「そ、そうか。それは良かった。」

「まぁ、お父様、娘が研究ばかりしていて、結婚出来なくても良いとおっしゃるの?そんなの、あんまりですわよ。」

「い、いや、そうではない、が。いつまでも家に居て貰いたいと思う親心も理解しておくれ、ウェンディ。」

「お父様ったら!そんな事言ってると、私はともかく、アイヴィーなんて、あっという間に行き遅れになってしまいますわよ。」


 いきなり、話題をふられ、驚きつつもアイヴィーは、返答する。


「な、お姉様、私は、関係ないでしょう!」

「関係ない、では有りませんわよ。貴女もう学園の最終学年なのですよ。お母様が何も仰られないから、こうして姉がお母様に変わって申しているのです。アイヴィー、これから先の事少しは考えていて?貴女、素材は悪くないのだから、もう少し、殿方と親交を深めなさいな。」


 簡単に親交を深めろというけれど、深めたら、確実に姉上様スクリーニングが入ると分かっているから、下手に男性とかかわり持たないようにしていのに!

 そう、私が、必要以上に男性と関わらないのは、姉上様にいたいけな少年たちが、天然毒牙にかからないためのボランティア!!決して私がもてないとか、そういうことなのではなく、これは、ボランティアなのです!!


「これでも十分、深めております。それに、その事で、お姉様やお父様にご迷惑おかけするつもりは有りませんから、ご心配には及びません。」

「まぁ、貴女の親交を深めるとは、この素敵なお手紙を下さった相手の誘いをお断りする事なのかしら?」


 あ、あれは、確か、姉上様が件の伯爵とであったときの夜会へ一緒に参加してくれないか、という内容の手紙!!

 姉上様が出席することが分かっていたから、用事があるといって断ったのは確かですが、何故それを姉上様が知っているのか!

 それに、あれは、姉上様に見つからないように丁重に葬り去ったはず!!何故それを、姉上様がお持ちなのでしょうか!?

 え?なんで、普段お惚け天然女子なのに、こと恋愛に関しては情報捜査局もビックリの的確な物証までもちだしてくるのか。


「ど、どうしてそれを?」

「この日、貴女一日家にいたでしょう?私だって、鬼ではないのだから、貴女が誘われていると知っていたら、一緒に夜会に行きましたのに。」


 ため息をつきながら、ウェンディは、アイヴィーに言った。


 だから、私に誰かエスコート相手がいれば、まず間違いなく姉上様スクリーニングという名の審査が全身くまなく、そして、中身まで、チェックされるのですよね。

 その上で、姉上様のおめがねにかなわない相手と判断された場合は、たとえ妹のエスコート相手であろうと、その天然人身掌握術をもってして、排除されるのです。

 そのおかげで、過去、私が一体何人の男友達をなくしたとおもっているのですか!!

 ある男友達は、姉上様へ懸想し、見事に姉上様にふられて、疎遠に。ある男友達は、暫く姿を見せなくなったと思ったら、そのまま疎遠に。男友達はすべて、私の預かり知らないところで疎遠になっていってるのです!

 おかげで、年齢イコールで誰ともお付き合いできていませんよ!!

 それに、姉上様が、勝手に私の男友達に声をかけないで下さい!!と何度訴えても、姉上様は反省どころか、止める気配すらないじゃないですか!おかげでこっちは、男性不信気味ですよ。


「それは、遠慮申し上げます。」


 うん。知ってる姉上様が鬼ではないということは。

でも、姉上様が恋愛至上主義の肉食女子だということも同時に知っているのです。

 そして、妹思いなのも知っているのです。

 その妹への思いが重いのも。

 

「あら?相変わらずアイヴィーは私にはつれないのね。」


 ぐすんと鼻をすすり、目じりの涙をぬぐうウェンディ。


「違います。お姉様が――――!!!」


 姉妹の話がヒートアップしそうなところをみはからって、父男爵が、声をはさんだ。


 「まぁ、まぁ、二人共、落ち着きなさい。とりあえず、ウェンディ、部屋に戻りなさい。着替えさせる前に呼んで悪かったね。」

「そうですわね。では、お父様、アイヴィー。失礼いたしますね。」


 そういって、先ほどまでの涙はどこへ消えたのか、ウェンディは、さっさと席を立ち、部屋を後にした。

 そして、部屋に残された、父男爵はアイヴィーに向かって、肩をたたいて言った。


「アイヴィー、という事だから、レベニスク次期公爵様のお誘いも断っても大丈夫なようだよ。」

「そうですね。では、早速、お断りの文をしたためてきます。」

そういって、アイヴィーも意気揚々と部屋を出て行った。


残された部屋で、父男爵はポツリとつぶやいた。


「我が家の娘たちは、本当に似たもの姉妹だなぁ。」





アイヴィーが意気揚々と次期公爵に返信を出してから数日後。


「お父様!!!大問題です!!」


バーンを勢いよく扉を開いたアイヴィー。


「ど、どうしたんだい、アイヴィー!!!」


 驚きつつも、父男爵は返事をする。アイヴィーは、つかつかと勢いよくひらいた扉と同じ勢いで、父男爵の前までやってきて、手紙を差し出していった。


「お断りの文のお返事に、このような回答を頂いてしまいました!!!」


差し出された手紙の内容は以下の通りである。


『貴女の事を知りたいと思うのに、貴女はいつも私から遠ざかろうとする。これでは、いつまでたっても、貴女との距離は縮そうにない。とはいえ、研究の邪魔をしたいわけではない。せっかくなので、この機会に貴女の妹君をティーパーティーの間お借りして、貴女について質問する権利を授けてはくれないだろうか?(要約)』


「これの何が問題なんだい?」


 手紙を読み終わった父男爵が、そう尋ねてきた。


「だって、私が偽お姉様ってバレてしまいます!」

「大丈夫だよ。お前達姉妹は、見た目はとても良く似ているけど、そんなもの、いくらでも誤魔化せるし、何より話てみれば、別人だと、すぐ分かるさ。」


 ニコニコと、人のよさそうな笑顔を向けて、アイヴィーを励ます父男爵。この前似たもの姉妹と言ったのを既に、忘れた様である。


「だからって、バレないとは言い切れません!」

「とは言ってもね。アイヴィー、オイラー伯爵はこのティーパーティーに出席するみたいだし、ウェンディのまま、次期公爵様とお会いする事になったら、それこそ、問題だらけなのでは?」


 そういって、父男爵は、手紙を机におき、笑顔を深めてアイヴィーに言った。


「う、たしかに、そうですね・・・。」

「そういう事だから、宜しく頼むね。」


 有無を言わせない笑顔で、手元の手紙をアイヴィーに返すと父男爵は、再び、手元にある、資料を読み始めたのだった。

 こうなっては、いくらアイヴィーといえど、邪魔をするわけにもいかず、素直にうなずくだけだった。


「・・・分かりました・・・・」


 男爵家とはいえ、貴族社会で爵位を賜り、維持しているだけはある。

 アイヴィーが久しぶりに、普段は優しいだけの父の威厳を感じた瞬間だった。

お父様、お姉様、初登場。


ここで、簡単ではありますが、日頃からご覧下さる皆様に感謝申し上げます。

いつも、ご覧頂き、また、ブックマークやポイント評価して頂き、まことに有難う御座います。

このような、拙い文章を読んで下さる皆様のお陰で、少しずつではありますが、ストーリーを進められております。有難う御座います。

また、これから先、なんとか完結までたどり着けるように努力する所存ですので、暖かく見守って頂けたら、幸にございます。


既に投稿されものについての誤字脱字につきましては、完結後、随時修正する予定で御座います。その際は、活動報告にて、報告致しますので、ご確認の程、宜しくお願い致します。


ごま豆腐

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