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仮面舞踏会が二人を呼んでいます?

短いですが、投稿します。

 その日、イザベラが研究室に居るアイヴィーに向かって、声をかけてきた。


 「アイヴィー!! お聞きなさい! これが、私の最後の砦なのです!!」


 大きな声でそうイザベラが言うと、アイヴィーの目の前に一つの用紙を見せた。

 そこには、【仮面舞踏会のお知らせ】と書かれたカードがあった。


 「イザベラ……まさか、貴女ここに行くつもりなの?」

 「当たり前でしょ!? 何をおかしな事を言ってらっしゃるの??」


 そういって、イザベラは腰に手を当てて、胸を張った。


 仮面舞踏会とは、その名の通り、仮面を被って行う舞踏会である。

 身元不明という事を除けば、至って普通の舞踏会……と言うわけでもない。

 身元不明な分、一夜のアバンチュールを目的に現れる男女も数多く居る。

 そして、仮面という不明瞭な感じが、男女の心に新たな恋を芽生えさせるのである。


 「でも、イザベラ。これで素敵な殿方にお会いしてもその後、続いて婚約したというお話はあまり聞かないわよ?」


 アイヴィーが、眉を顰めてそう言うと、イザベラは、心得ているというふうに頷いてから、アイヴィーに言った。


 「分かっているわ。でも、私もう24になったのよ?にじゅうよんに!! これが、どういう事かお分かりになりまして??」


 そう言ったイザベラは、心底焦った様子でアイヴィーに詰め寄った。

アイヴィーは眉を寄せて心底困った表情をすると、詰め寄るイザベラを手で押し止めて答えた。


 「分かった、分かりましたから! ちょっと、離れて下さいませ!」


 アイヴィーに押し止められた身体を離してイザベラは、胸の前で腕を組んで、鼻息あらく息を零すと、言葉を続けた。


 「それで――アイヴィー、貴女も参加なさいませ」

 「はあ?」


 あまりの突然の宣告に思わず素っ頓狂な声を出して答えるとイザベラが、こほん、と咳払いして続けて言った。


 「私一人でこんな危ないところに行かせるおつもり? 私これでもまだ純潔ですのよ?」

 「でしたら、行くのをお止めになればよろしいのでは無くて?」

 「それが出来ないから、こうしてお誘いしてるのでしょう?」

 「――でしたら、何がそんなに魅力的なのか仰って下さいまし」


 アイヴィーが諦めた声でそう言うとイザベラは、よくぞ聞いてくださいました!と言って言葉を続けた。


 「仮面をつけていると言うことは、私を年齢で排除したりしないという事ですわ!」

 「それが理由ですの?」

 「他にどんな理由が?」

 「……お好きなお方がご参加なさるのかと」


 アイヴィーが、そう答えるとイザベラは、キラキラとその目を大きく広げて輝かせると

 「その手が有ったわ!」と言って、アイヴィーの手をにぎった。


 「ですから、アイヴィー貴女も参加しましょうね!」


 有無を言わせずにイザベラに詰め寄られたアイヴィーは、溜め息を落として、

 「分かったわ」と、イザベラの提案を受け入れた。


◇◆◇◆◇


 帰国して暫くたったヴィルベルトはやっと、目の前の仕事が落ち着きを見せたところで、息をついた。

 そこへ、ヴィルベルトに声をかけてきた人物が居た。


 「やぁ、ヴィルベルト!! 久しぶりだな!!」


 声をかけてきたのは、デビッドであった。デビッドは、ヴィルベルトの机に腰を添わせて寄りかかると、ヴィルベルトに言った。


 「喜べ!!お前の帰国祝いを開いくぞ!!」

 「帰国祝いは、もうして貰ったが?」


 ヴィルベルトが椅子に座ったまま、デビッドにそう答えると、デビッドは、腕組みした手からもっている手紙をひらひらとゆらして、「みてみろ」とでも言いたげに、ニヤリと口元を歪めて、ヴィルベルトに視線を寄越した。

 ヴィルベルトはその手紙を手にとり中身を確認すると、再び封に終い、机の上に投げて、言った。


 「私は、行かないぞ」

 「何でだよ? お前、相変わらず一人なんだろう?」

 「なんだ、その言葉は。お前も相変わらず、一人なのだろう?」

 「だから、な!今回は、独り者同士、久しぶりに軽く手鳴らしに行かないか??」

 「私はもうそういう事はしない。お前ももう28になるのだろう? もう少し真面目に相手を探せ」


 ヴィルベルトはつまらなそうに腕組みをしてそう答えると、デビッドが、なにやら思い出した顔を浮かべて、ニヤニヤと楽しそうな顔をして言った。


 「もしや、未だにあの令嬢を忘れられないのか?」

 「だったら何だというのだ」

 「あの令嬢は止めておけ。今、ジョシュアと結婚秒読みともっぱらの噂だぞ」

 「……ジョシュアと?」


 ヴィルベルトが驚いたように目を開いて、そう答えると、デビッドが腕組みをしたまま、うんうんと顔を上下に動かして頷き、そして、哀れみの目を向けてヴィルベルトの肩にてを乗せて言った。


 「だから、な? 新しい出会いを探しに行こうぜ?」


 ヴィルベルトは肩に乗せられた手を反対側の手で払うと、不機嫌に眉を寄せて言った。


 「今回だけだからな。」

今日で、この連載の投稿始めて一ヶ月が経っておりました。

ここまで続けられたのも、一重に閲覧くださる方やブックマークしてくださる方々のお陰だと思っております。


ここに改めて、感謝申し上げます。ありがとうございますm(_ _)m


今後とも皆様のお力のもと、少しでも楽しんでいただけるものを書いていけたらと思っておりますので、今後ともお付き合いしていただければ、幸いにございます。


ごま豆腐

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