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どうしてこうなった!


 こんにちは。アイヴィー・オルウェンです。


 先回に引き続き、というか、まだ何も進んでませんよね。


 結局、レベニスク公爵家がすごい家柄であるという事と私が如何に苦境に立たされているか、という事以外なにも伝えてませんでした。

 スミマセン。


 相変わらず、その、素晴らしいー、次期公爵様とのお見合いの最中です。

 といっても、まだ、麗しの次期公爵様のご尊顔賜ってないのですよね!


 ・・・なんでかって?


 そんなこと、知るかぁああああああ!!!


 むしろ、こっちが聞きたい!!こっちが聞きたいですよ!!!


 公爵家の立派なお屋敷(ってか、これお城だよ)の応接室に案内されてから、かれこれ、いつも以上にゆっくり飲んでる紅茶が、三杯目。


 その紅茶ももう無くなりそうなのですけど、今だ誰も現れる様子も無く。

 『御用の際はコチラを鳴らして下さい。』とロマンスグレーの執事さんが置いて行った、ベル。

 そして、『是非!!!』と言われてやってきた(姉上様の)お見合いで、所在無い私。


 拷問かぁああああ!!!!!


 精神攻撃かああああ!!!


 次期公爵様はドSなのかぁぁあああ!!!???


 闇魔法発動中で次元がくるってるのかぁああああ!!!?


 ふぅ・・・・ふぅ・・・。ごほん、再び、スミマセン。


 あ!!!そうでした。

 そもそも何故、私が、というか、たかが、男爵家の令嬢が、次期公爵様とお見合いする事になったのか、という話をしてませんでした!


 いやぁ、すっかりこの短い時間で家族にも公爵家にも恨み辛みがね、溜まってしまって・・・・。


 まず、我が家オルウェン男爵家の長女であらせられる姉上様について説明を。


 名前をウェンディと言います。


 姉上様は、生まれた当時から愛らしい姿だったそうで、『我が家に天使が舞い降りた!』と、父は偉く喜んだそうなのです。


 そんな姉上様は、父と母の愛を一心にうけ、スクスクと純粋で素直な・・・・、うん、天然人タラシへと成長します。

 そして、年頃の令嬢らしく、分かりやすーく、恋愛至上主義、肉食動物へと変貌しました。

 現在御年19歳。所謂、結婚適齢期ですね。はい


 そして、この私。現在14歳。普通でいえば、成り代わり等不可能。そう、不可能なのですよ!!!


 しかし、姉上様。我が家の天然人タラシ、姉上様は、その愛くるしさと礼儀作法は素晴らしいのに、その成人女性の身体的特徴である、お胸の山は随分立派なお山以外、未発達気味であらせられます。


 もともと、身長も早々に伸びやんでいらっしゃる様で、身長と愛くるしいほど純真無垢な童顔が相まってロリきょにゅ・・・


 ごほん。


 その姉上様の身体的特徴も相まって、年をいとも簡単に偽証・・・もとい、詐称できる見てくれでして。


 社交界でも、のに咲く薔薇とか言われてるそうで。


 野ばらって、褒めてんの?って思いましたが、本人である姉上様は『まぁ、可愛らしい花に例えてもらえて嬉しいわぁ』と、相変わらず天然発言してましたが。


 確か、野ばらの花言葉って孤独とか、純朴な愛とかだった気が・・・。姉上様、一体社交界で何やらかしているんだろ・・・・。


 話が逸れてしまいましたね。


 で、その愛くるしい姉上様、逆に前世記憶(享年アラサー年)のある可愛げの無い私ではありますが、所詮は14歳の発達途上の子供。


 日頃から母に、

 『黙ってるだけなら、まるで双子みたいねー!』と褒めそやされるわけでして。


 5つも離れているのに。


 うん、一体何故に5つも年の離れている姉上様にそっくりといわれなけらばならないのか!!

 5歳などという年齢差はいくらでも越えられる事が自分の姉によって証明されてしまった。


 ここは、あえて言いますが、私がふけている可能性は排除していただきたい!!


 そう、私がふけこんでいるのではなく、姉上様が若作りなだけなのです!!


 そんな姉上様に、現在、(胸以外)見た目だけはソックリな私は、いとも簡単に姉上様に成り代わる事が出来たのでしたー!


 はい、どんなインチキ商法か!!!ご都合主義かよ!!って声が聞こえて来そうですが、むしろ、私が声を大にして言いたい!!いや、言わせてください!


 ご都合主義か!!!


 ついでに、ご都合主義よろしく、胸の発達も姉上様に似てほしかったとは、いうまい。

 思っていても、いえない私の矜持なのです。


 それで、現在の姉上様というと。


 実は、若くして伯爵となったさるお方と、曰く、『今度こそ、本気の大恋愛中』なのだそうで。


 『今度こそ。』だそうですよ。


 もう、我が家も慣れっこです。姉上様の恋愛至上主義には。


 なのでね、流石の父母も、朝日が昇るより早く振られただの、ホレるた、だの言う姉上様が、何かの間違いで、時期公爵様のお気に召してしまったならば!!!将来、『何かあったとき』どうしたらよいのかと。と、考えた訳で。


 まぁ、『何か』ある訳ない、と身内として言いたい、けれど、言いきれない悲しさ。姉上様の自由さ。恨むなかれ。それが姉上様なのです。わかってます。それが、姉上様クオリティーなのです。


 という訳で、私が、身代わりになり、穏便にこのお見合いを無きものにせよ、という使命を受けているのですね。この使命を受けるにあたり、お母様曰く、


 『大丈夫よ!アイヴィーちゃんは、私たちの子供なのにとっても賢いもの!!』と。


 はい、14歳の幼気な、前世日本では反抗期真っ盛りの年頃の娘に何させてくれんだ。って話。


 そもそも!そもそも、ですよ。

 次期公爵様が一向に婚約者を決めないから、前公爵様であらせられる、現公爵様のお父様が、伝手をかなぐり捨てて、ありとあらゆる令嬢に声をかけ、縁談を組んで、それでもなぜか婚約者が決まらない次期公爵様のおかげで、我が家の野ばら(姉上様)に夜会でお会いした前公爵様が、

 『とりあえず、お見合いだけでも良いから!』と、懇願されたそうで。


 その後、正式なお手紙まで頂いて。姉上様、その夜会とやらで、一体、なにしくさった!!!


 で、当の本人である姉上様は、父母に事の顛末を説明するように言われたその場で、


 「よく覚えてないの~。だって、あの時、私、アラン様(件の伯爵様のお名前だそうで)に一目ぼれして、胸の高まりを抑えるのに必死でしたのよ~。(要約)」


 と、のたもうた。あな、恐ろしや、ときめきマジック。稀代の魔法使いもびっくりの記憶抹消能力!!!!


 ・・・・というわけで、再三になりますが、そんな姉の名代を父母から奉ったのであります。お願いだから、おねぇちゃんしかっりして!!!


 「はぁ・・・」


 ずっーと、長い事、一人内心荒れ狂っていましたが、気づけば、お昼過ぎに伺ったのに、もう、日が夕闇色に・・・・。はて?これいかに?


 『待て』といわれて待っていたのに、いつまでたっても、誰一人としてあらわれない。


 使用人、おそらくメイドさんもたまに無くなる紅茶を注いでくれるだけで、部屋にその気配すら基本無い様子。


 うん、いくらなんでも、これ普通に考えておかしいよね?おかしいよね?おかしくないわけないよね?


 ・・・どうしたものか。


 こんな長い時間放置するお見合いなんてそもそも、お見合いする気持ちすらないって事なのかな?


 うん、そうだよね!!!だったら、すごく、ありがたい!!むしろ、お見合いをこっちから、断られるように頑張らなくて済んでとってもありがたい!!!


 そういうことなら、初めから適当にあしらって帰らせてくれれば、尚、良かったのに!!!


 あ、でも、この中々味わうことのできない高級茶葉の香りを味合わせていただいたことには感謝しよう。それでもって、つでに、全然手をつけてなかったお茶請け(お茶請け言うな)


 ・・・ケーキスタンドの彼らに手を伸ばしてもいいのではないのだろうか?


 うん、私、クロテッドクリーム大好きなのですよね!!あの濃厚なクリームが下の上に乗っているときの高揚感!!!生きてて良かったって本気で思う!!


 と、とりあえず、人の気配はしないし、前後左右確認したし、このケーキスタンドにあるスコーンにたっぷり塗ったクロテッドクリームをば、頂かせていただこう!!


 本来は、サンドイッチからいただかないといけないのですが、いいよね?誰も居ないし。


 では、いざ、このスコーンに余すことなくたっぷり乗った、クロテッドクリームを、いただかん!!!!


 「――だから、俺は婚約などしないといっているだろう?!!!!」

 「ですが、―――!!!!」


 バーーーン!!!そういう効果音が正しいと私は思う。豪快に開いた扉、豪快に開いた私の口。


 そして、驚くほどの美貌の青年が口にする神にも等しい御言葉。これが笑わずにいられるだろうか?


 そのまま、ガブリとクロテッドクリームののったスコーンを食べて、咀嚼し、ゆっくりと飲み込む。

 口の中広がる幸福感と併せて、先ほどの美貌の青年の御言葉を聞いた私が、微笑まずにいられるだろうか?

 いや、いられない。とりあえず、一言。


 「――先にお茶をいただいておりましたわ。」


 そして、この不幸からの脱却をさせてくれるであろう、次期公爵様と思われる青年に感謝の気持ちをこめて、にっこり微笑んでみた。

野に咲く薔薇について。

アイヴィーは野薔薇と勘違いしていますが、ここでの野に咲く薔薇は、手折ってしまいたくなるほど美しい薔薇を手折る事で、その後もその薔薇がきれいに咲き続けることは無い。という、現象にかけて野に咲く薔薇といわれております。いわゆる不可侵条約みたいな意味合いで使われています。

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