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龍神湖のStorry  7

徹は東京に向かった。

一人で車を運転していると昨日からのことが夢のように思えた。あの街を離れ奈々子とも離れると昨日からの出来事が現実離れしてるので夢なのかと思った。しかし、携帯に入っている奈々子からのメールを見るとやはり現実のことだった。


自分が奈々子に言った 「生まれる前からあなたを探してました」という言葉も自分の意志でなく、もう一人の自分が奈々子に言ったとしか思えなかった。徹は自分の知らない自分を探そうと心に決めた。そのためにも東京に帰って荷物を持ってもう一度あの街に戻って調べてみようと考えていた。


3時間程で自宅に着いた。1日しか経ってないのに5日くらい留守にしたような気がする。ああいう経験をすると時間の感覚が狂うのか 自分の部屋が懐かしく感じる。


冷蔵庫にあった缶ビールをあけた 。ビールが勢い良くのどを通っていくのがわかる。ビールを飲んだら眠気が襲ってきた。バックに一週間分の服と下着を詰めると寝てしまった。


徹が目を醒ますと朝の9時だった。手元にある携帯を見た。奈々子からの着信もメールはきてなかった。もっとも奈々子からは朝メールるような話はきいてないから着てなくてもいいのだが徹は奈々子からの おはよう というメールを心のどこかで期待してたのか少し寂しかった。

しかし奈々子の控えめな性格からするとまだつきあいはじめたばかりの相手にメールを送るタイプでもなさそう。こちらから送ろう 奈々子は自分から送らなくても徹からのメールを待っているのに違いない。メールすればすぐに返事はくるはずだ。


おはよう いま起きました。お昼過ぎにこちらを出ます。3時頃には着きます。


奈々子にメールした。奈々子はすぐに返事をくれるだろう。奈々子の几帳面な性格からして返事を後に回すことはしないだろう。メールをおくってから歯を磨いて顔を洗った。携帯を見たが奈々子からの返事はきてなかった。すぐに返事が来ると思ってたので肩透かしをくらった。時計を見るとまだ10時前だ。多分カフェが忙しいのだろう 客が立て込んでるのにメールをするわけにもいかない。慌てることはない 徹はつぶやいた。


メールをしてから二時間たったが奈々子からのメールはきてなかった。徹は少し不安になった。昨日は僕と亡くなった彼氏とのイメージが重なってそれがゆえに僕に惹かれてたのだが一人で一晩過ごしたら気持ちが醒めたのか?


そんな思いが頭をよぎった。しかし、もしそうだとしても礼儀正しい奈々子が返事をくれないとは思えない。気持ちが変わったなら変わったと返事をするはずだ。

奈々子からの返事があったのはそれから30分たったころであった。


メールの返事は


「すみません 体調が悪くて寝込んでました。返事も打てなくてご迷惑かけました。こちらに着いたらメールください」


と書いてあった。徹は返事が来たことに安堵したがメールの返事も打てないほど体調が悪いのが気になった。


徹は 「今からこちらを出ます」とメールを打つと車に乗った。


民宿に着いたのは14時過ぎだった。


15時からの宿泊の受付だったが、部屋の準備ができていたので待たずに部屋に通してくれた。徹は奈々子にメールを打った。今度はすぐに返事があった。体調が良くなったので16時くらいに民宿まで来ると書かれていた。奈々子が来るまではまだ一時間半くらいはあるので ネットでみどり湖のことを調べてみようとパソコンを立ち上げた。〇〇市 みどり湖と入れると検索結果が並んだ。もう一つ検索のキーワードをやして生贄と入れてみた。


江戸時代に生贄をささげた記述がのっていた。


天保6年(1835)に生贄をささげたことが書いて有った。天保の大飢饉、江戸時代の四代飢饉と言われる飢饉が日本全国を異常起床で苦しめたときである。そのときに村に長雨が続いた。前年は冷夏で苦しめられ米をはじめとする農作物のできが悪く 今年は長雨で苦しめられていた。2年続けての不作は村人にとって餓死をも覚悟しなければならない。村人は龍神様がお怒りになっていると思っていた。その怒りを鎮めるためには生贄をさしだすしか選択肢はなかった。村に住む16歳までの未婚の女性が条件になる。村にはその条件に当てはまる女性は20人ほどいた。その中で器量のよい おけいと云う15歳の少女が選ばれた。捧げる場所はみどり湖ではなくみどり湖の奥にある鍾乳洞の龍神様の隠れ家であった。


そこまで読むと徹は手に汗をかいているのに気づいた。部屋の中はエアコンで冷えていた。

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