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神々戦線  作者: イーオ
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8 剛力園 剛気(ごうりきぞのごうき)

穏やかな昼下がりの午後。血の滲むような修行を終えたガクトは木陰で休んでいた。そこに同じクラスの生徒が走ってきた。


「ガ、ガクト!!のんびり休んでる場合じゃないぞ!!ば、番長が3ヵ月ぶりに今日、学園に登校してくるらしい!!」


「!?何ぃ~?ついに姿を見せやがるか。どれ、どんなやつか一目見といてやるか」


「馬鹿かお前は!?近づこうもんなら即、殺される!そんな化け物だぞ!?」


「聞けば見たことあるのは学園の数人しかいねえみたいじゃねーか。噂に噂を上塗りして過大評価してるだけかもよ。俺が見てきてやるよ。本当の姿を。どこに現れんだ?」


「知らないからな。おまえと話すのはこれが最後かもな。喧嘩部の部室にくるだろうよ!」


「番長ゴウキか、、、」


ガクトはスッと立ち上がり、ゆっくり喧嘩部の部室のあるほうへ歩きだした。


「お、おい!!喧嘩部にはエリカもいるんだぞ!ホントに死ぬからな!!もう知らねえ!じゃあな!!」


ゆっくりゆっくり歩くガクトと同時に、この学園に凄まじい邪気が近づいてくる。

暗雲がたちこめ、やがて豪雨にみまわれた。あたりで竜巻が発生し、落雷があちこちに降り注ぐ。この世の終わりがきたような昼下がりの午後へと激変した。

縄張り(部室のある校舎跡地)へ足を一歩踏み入れたガクト。


「!!!」


あきらかにさっきまで感じなかった人の気配を背後に感じたガクト。振り向くと、おさげの髪に、女とは思えないほどの巨体でイカつい女が立っていた。その女が放つ、恐ろしい殺気に、ガクトは背筋を凍らした。


「ここがどこで、私がだれで、んで、誰が今からここに来るか分かってんだろ?貴様」


「当たり前だ。お前がエリカちゃんか。だが俺は番長を見にきたんだ。お前に用はねえ。」


「あ?貴様か。新入生で大魔王の血が入ってるとかゆう威勢ばかりの雑魚は。米粒ほどにしか感じない、チャチなオーラでそこまで去勢張るのは笑えるよ。」


「じゃあ、笑えよ。」


次の瞬間、拳が地に着くほど大きく振りかぶったエリカ。


「じゃあな。粉も残らない神の拳を喰らえ。


エリカが闘気を放出する!ガクトは防御体勢に入ったが、一瞬で自分が死ぬのを悟った!!鍛え抜いた魔眼がよりいっそう死を悟らせる。


「コ、コイツは、、、!!!甘かった!!化け物がぁぁぁ」


振りかぶった拳を放つ。

「神の拳」


「ライトニング ホーリー シールド ~光より愛をこめて~」


「!!!!」


光り輝く巨大な壁が、ガクトの前に現れた!!エリカの神の拳が光の壁にぶち当たる!!衝撃で空間が揺れ動き、中和された威力のエリカの拳は、ガクトの顔面スレスレ、寸での所でで止まった。光の壁はその衝撃で弾け散った。


「コユキ!」


「流石ねエリカ。私のシールドを貫通するのは計算上不可能なはずなのに。相変わらず美しいわ。アナタの拳は。」


光の壁をつくりだしたのはコユキだった。


「た、助けられたのか?おれが、、、このハゲに、、、くっ!!!」


「なぜ生かす?この雑魚を。」


「傍聴人として。私たち学園のトップを噂ばかりで目の当たりにしたことのない生徒が多すぎるわ。生かして帰す。そして改めて私たちの恐ろしさを知らしめる。高みを目指す生徒達の士気を上げる。それが学園全体のレベルを上げる事に繋がるのならそれがいいわ。」


「なるほどな。だが今回だけの特例だ。次はない。立ち入り禁止のこのゴウキの縄張りに近づいてくるなら、ある程度強いやつじゃないと認めない。」


「ええ。分かったわ。ガクト。あなたも拾った命を大事になさい。そして、私たちがどれほど次元の違う強さを持つか、改めて知るがいいわ。」


脱力感にみまわれ、茫然とただ立ち尽くすガクト。


「、、、、、今はまだ勝てねえけど、いつかてめえらをぶっ倒す」


「雑魚が。」


「そんなことよりもうじきゴウキがここへ来るわ。」


「私が許してやっても、ゴウキは見るなりこの雑魚殺すんじゃねえか?」


「大丈夫よ。ところでゴウキは何しに学園へ?」


「聞いてねえな。まー本人から聞くのが早いよ。」


邪気が押し寄せる。大地がざわめく。大気が震える。全身に見えない無数の針が突き刺さるほどのオーラを感じる。


「ぐっ、、、!!!」


「ガクト。結界に入りなさい。サンシャイン テリトリー~太陽に溺愛された区域~」


まばゆい暖かい結界が、ガクトを包みこむ。激痛を感じたゴウキの邪気が中和された。


「コユキか。コイツ、すげえ。」


そして現れた。

天界神立神風超等学園番長、剛力園 剛気(ごうりきぞの ごうき)。

身の丈2㍍はあろうデカさと鍛えぬかれた巨体に、風神雷神のようなちぢれた髪型。すべてを喰らいつくさんとする鋭い眼光。

ガクトは今まで見たことのない、この恐ろしい化け物を前に金縛りにあった。


「コユキぃぃぃ、久しぶりだなぁぁあ。あとエリカちゃん。あと誰だそいつぁぁあ。」


ガクトを睨み付ける。ガンとばされただけで、ガクトは失神しそうになった。


「まぁぁぁ、どうでもいいぃぃ。コユキぃぃ、お前に話があってきたんだよ。ちぃと付き合えやぁぁあ。」


「分かったわ。理事長室に参りましょう。エリカまたね。ガクト、分かったかしら?これが私たち学園トップの実力者たちよ。逃げ出すのもよし、追い続けるもよし、あなたの好きになさい。ここまでこれたなら、そのときはお相手するわ。」


そうゆうと、ゴウキとコユキは校舎の方へと歩いていった。かつてない絶対的強者を前にガクトは心底震えていた。


「何ブルってやがる。とっとと失せろ雑魚。」

エリカに首根っこを捕まれ、学園の遥か彼方に放り投げられてしまった。


番長ゴウキ。

神の化身コユキ。

神の拳を持つエリカ。


その高みへと登るべく、ガクトはまた一歩前へ踏み出したのだった。


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