31 学園祭崩壊
ミカが闘技台の上へあがる。
「待てこのやろー。今闘ったばっかでそんな早くやれっか!!なめてんのか!!」
「たしかに、いま見せた魔眼極って技、どうみても限界を突破する技だよね?相当体力減らしてるよね。このままじゃ優位に立ちすぎて勝負としては成立しないと思うよ。」ミカがマキゼンに言った。
「なにを勘違いしてる。生死をかけた戦闘ならそんな理屈は通用しないだろう。これは理事コユキの判断だ。覆ることはない。」
「おいハゲ!!!どうなってんだ!?」
コユキが観覧席からやってきた。
「ガクト。闘うか、負けを宣言するかのどちらかになさい。仮に、ミカが一戦目から闘い、二戦目にアナタが控えていたとしても、ミカが優勢とわたしは計算している。それはエリカ、嵐、ゴウキにも全く同じことが言えるわ。よほどの番狂わせがない限り、シードとして置かれた順位で順当に勝者が決まる。強いて言えばアナタとアポロのどちらが勝つか以外は結果は見えていると言っても過言ではないわ。」
「は?」エリカも闘技台へ上がってきた。
「コユキ、今の聞いてたら私じゃゴウキは倒せないって言ってるようにも捕らえられるけど、なに言ってんのかわかってんのか?」
「そうだね。わたしとエリカが闘ってもエリカの勝ちが見えてるってことでしょ?それで学園祭で闘わせてなにがしたいの?」
学園祭は一変して変な空気へと変わった。
「とりあえず話は以上よ。行程はそのまま、ガクトがミカと闘うならそのまま二戦目を始めなさい。」
「おいコラハゲ。ここまでコケにされて、そーですかで済むと思ってんのか。」
「そうだな。ちょっと舐めすぎだ。この日のために調整してきて結果が見えてるだ?お前の決めた盤面で将棋の駒みたいに動かされんのはここまでだ。今すぐ私と闘えよコユキ。」
荒れる学園祭。
「先生方、ただちにモニターを止め観覧席を遮断して下さい!」想定外の出来事にマキゼンが学園祭を一時中断した。
「わたしもこのままじゃ戦わないよコユキ。エリカに賛同する。」
「まあ、待てや」
「!!」
会場奥から番長ゴウキが現れた。
「海賊ぅ、エリカちゃんよぉぉ、前座は前座らしく黙って従えや。お前ら、根本が間違ってんなぁ、なあコユキ。」
「そうね。」
「なにが間違ってるって?」エリカが言う。
「お前らがやってんのはお祭りだぁぁ。試合だ。俺様もコユキも、おそらくはあのケモノも違う。俺様たちがやるのは生死をかけた戦闘だ。次から次にくる敵をぶっ倒して最強なんだよ。これ以上茶番共がワケわかんねぇことほざいて俺様たちの戦闘の邪魔すんなら今すぐぶっ殺すぞぉああ?」
ゴウキが殺気を浴びせる。
「エリカ、ミカ、ガクト。アナタたちにゴウキや嵐ほどの覚悟があるようには見えないわ。何度も言うようだけど、それでは結果は予想の範疇で収まる。学園祭を放棄するか闘うか、自分で決めなさい。」
急遽狂い始めた学園祭の結末はいかに。




